第38話
フフフフフ。エタったと思いました?
残念ー。全然エタってません。
という訳で、お久しぶりです。
タイトル変更のお知らせです。
【チートだけど異世界でスローライフを送るために死ぬ気で努力してみる(仮)】
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【娘よ、大志を抱け】
「お母さん、洗濯物取り込んで来るね。」
「お母さん、畑仕事して来るね。」
「お母さん、花畑行って来るね。」
「お母さん、お墓まいりして来るね。」
「お母さん、武器作って来るね。」
「お母さん、社会のゴミ掃除して来るね。」
「お母さん、家の掃除するね。」
「お母さん、学校の先生とお話して来るね。」
「お母さん、修行して来るね。」
「お母さん、収穫して来るね。」
「お母さん、今から絵本読むね。」
「お母さん、洋服作るね。」
こんな感じで毎日お母さんという言葉を刷り込んでいる。
あぁ、早くお母さんって呼ばれたい。
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今日、娘が言葉を発した。
「おぁあん。」
え?
思わず、大根の収穫を止めてしまう。
背中の娘を見る。
「おあーあん。」
いま、お母さんって言ったよね!
絶対言ったよね!
何この子、メッチャ可愛いんだけど。
まだしっかり話せていないこの感じが、もう本当にたまらない。
最高のアクセントになってる。
表情筋が硬直してなかったら、絶対蕩けてたね。
うん。
娘、可愛い。
嫁に出したくない。
もしもチャラい男連れてきたら、即座に殺しちゃうね。
そういや、離乳食っていつから食べさせるべきなんだ?
うーむ、分からん。
……アリィに聞いてみるか。
トゥルルルルルルルルルル
スマホが音を立てる。
はぁ、仕事か。
スマホを手に取り、通話を始める。
「もしもし。」
「もしもーし、邪神で合ってるかー?」
はぁ。
「合ってるぞ。」
「あっ、邪神なんね、ハハハ。
いやぁさぁ、最初会った時は男だったのにさぁ〜、まだ女なんだなー。」
「……で、要件は?」
「なんだよー、からかっただけじゃねぇかよー。そんな拗ねるなよー、全く可愛いやつだなー。」
そう言い、電話越しにカラカラ笑う。
「で、何の用だ海神。」
ここまで上司をからかう奴は、そうそう居ないぞ。
「全く……フィネールって、名前で呼んでもいいんだゾ☆あ、後用事ね。」
うわぁ、マイペースだなぁ。
「酒! 酒が無くなったからくれ! 頼む!
お願い! 娘の頼みだろ! な! 父親として、聞いてくんない?」
「うわぁ。図々しいな。」
おっと、思わず口に出してしまった。
「おいおい……幾ら何でも、親が娘に言う台詞じゃないぜ?」
「はぁ……今度そっちに行く。」
ククッ、こうも気楽に接してくれると、やはりこっちも楽でいいな。
「あんがとさーん。」
だが。
ククク、バカめ。
私がそう簡単に引き下がるとでも?
「娘を連れて行くがな。」
「………は?」
「じゃあな。」
「あっ!ちょ、待っ!」
電話を切り、通話を終了する。
さて、行きますか。
邪神の状態になり、娘を抱きかかえて転移する。
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「来たぞ。」
俺が転移したのは、この世界の神なら誰でも来ることが出来る世界である。
まぁ、ここは更に上の、極一部の神しか入れない場所だが。
「お、おい! 娘ってどういう事だ⁉︎」
海神が、切れ長の目をかっ開いて青い長髪を振り乱し、躓きながらもこちらへ全力で走ってくる。
オマケとばかりに、キョヌーをタユンタユン揺らしている。
身長が172cmの俺に対し、身長が190cmはある海神が走ってくると、威圧感とかがあってちょっと怖い。
でも、おπはアザす。
……娘みたいなもんだけど。
「この通りだ。」
そう言って、抱きかかえている娘を見せる。
「っ⁉︎ ……そういう事か。」
海神は驚愕に目を見開き、そして納得で黙り込む。
「あいつらに伝えておけよ。後、酒はお前の家に置いておいた。」
俺は海神に、珍しく真剣に言葉を伝える。
「……なぁ。」
「……なんだ?」
普段元気の有り余る海神が、珍しく覇気の無い声で俺に質問をする。
「本当に……やらないとダメなのか?」
俯いた海神が、俺にそう問う。
その問いに俺は何も答えず、家へと帰った。
「なぁ……本当にダメなのか?」
海神の呟きは、虚空に消えていった。
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2歳の娘の日常生活
「石」
「いし」
『石』
『いし』
こんな感じで午前中は、日本語とこの世界の言語を教えている。
日本語は、暗号に使えるからね。
「よーか、たべたい。」
娘の声で時計を見てみると、時計の針は10時を指していた。
もう、そんな時間か。
娘のおやつの時間である。
「少し、待っていてくれ。」
「うん!」
ヒマワリが咲いたような笑顔で、娘がそう答える。
やべぇ。
マジ天使だわ。
脳内メモリに保存しておく。
〜〜〜
「きゃー!」
ちょっと前におやつとお昼ご飯を食べたばかりだというのに、元気にあちこち走り回っている。
子供は元気だねぇ。
おやつの時間まで、延々と走り続ける。
やっぱり子供は元気が一番だね。
うん。
木を垂直に登り、木々を跳んで移動している。
うんうん。
魔力の循環もしっかり出来てるようだね。
私が魔力を解してあげたからだね。
お陰で、無意識に魔力を操っているね。
魔力の操作って、結構難しい筈なんだけどなぁ……なんか、アレだけ努力した自分がアホみたいだな。
魔力を無意識に操ってるとか、それが遊び目的でやってるって、子供はすごいなぁ。
いや、エルフだからかなぁ。
うーん。
パタパタ走り回っていた娘が、走るのを止める。
くぎゅぅ〜
「おやつ!」
子供、それは無限の胃袋を持つ生物の事である。
〜〜〜
「帰るぞ。」
「はーい。」
走って転げて木に登って川で泳いで、お陰でドロドログチャグチャである。
娘と手を繋ぎ、家……というより、風呂へと直行する。
娘は、風呂が大好きである。
「バンザーイ」
「ばーい」
娘の服を脱がしてやる。
もちろん、娘と一緒に入る。
「目を瞑れ。」
「ん!」
頭からお湯をかけ、大体の泥を落とす。
そして、髪を洗ってやる。
髪は傷まないよう、丁寧に洗ってやる。
こんなに綺麗な髪なんだから、傷ませるなんて勿体無い。
先ずは泥を落とし、次にしっかり丁寧に頭を洗ってやる。
「あわわー」
娘が頭に手をやり、泡を触っている。
和むなー。
お湯をかけ、泡と汚れを落とす。
「目、開けてもいいぞ。」
「ん!」
次は体を洗ってやる。
「ニハハハハ!」
くすぐったいのか、体を捩らせ、笑い声を上げている。
あぁ、メチャクチャ可愛いな。
風呂に浸かり、溺れないように支えてやる。
「ふぃ〜。」
おいおい、顔が蕩けてんぞ。
可愛すぎるぞ。
あぁ、ずーっと一緒に居たいな。
まぁ働いて貰わないと困るから、ギルドマスターぐらい強くなって、外の世界に出て貰うが。
この世界は危険だからね。
無双出来るぐらい強くないと困るよ。
風呂から上がり、夕食を食べる。
が、娘は器用なのか既にフォークで食事が出来る。
スゲー。
「美味しいか?」
そう聞くと、
「うん!」
と、満面の笑みで返してくれる。
可愛いなぁ。
頭を撫でてやると、耳をピクピクさせる。
エルフ耳は、感情で動くらしい。
嬉しいのかな?
食後すぐには寝ず、絵本を読んでやる。
そして、
「……といれ。」
地獄のトイレトレーニングである。
いつから始めるのか、いつ終わるのかイマイチ分からんが、早いに越したことは無いだろう。早いのかも分からんが。
そして、就寝。
娘と一緒に寝る。
「むぎゅ〜。」
娘が私に抱きついてくるので、もう精神的にダメ。失神しそう。
このまま昇天するかもしれない。
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3歳の娘の日常生活
「おかーしゃん。」
今日も娘は可愛いです。
天使です。
いや、女神です。
やっぱり、子供の内に綺麗な景色を沢山見せたいので、大陸を回っております。
山の上、森、湖、草原、川など、綺麗な所をたくさん回っています。
ここは異世界。
地球ではないので、まさに幻想的な景色が、至る所にあります。
幻想に、間違いはありません。
仕事しない理由の一つでもあります。
景色を眺めて、ダラダラする生活は最高です。
綺麗な景色を見せる度、
「ふぉぁぁぁ……。」
と言って、開いた口が塞がらない娘が可愛いです。
天使です。
いや、女神です。
道中魔物に遭遇しますが、威圧すれば逃げてくれるので、無益な殺生はしなくても済みます。
そして、砂漠を歩こうが、極寒の地を歩こうが、火山や海底を歩こうが、私達は呼吸も出来る上に、気温も最適化してあります。
超安全で快適な旅行です。
娘も大喜びで、お母さん嬉しいです。
娘にペチペチ叩かれて、ヘブン状態です。
「ん?」
魔力が一点に集まっている。
転移魔法だろう。
「げっ……。」
魔力を感知したと共に、真っ白な髪と髭を蓄え、黒のローブを纏った、如何にも魔法使いな爺さんが現れた。
「久方ぶりだな、セルバルドー。」
そう返事しておく。
「そ、そそそそうですね。」
セルバルドーは目を泳がせ、冷や汗をダラダラ垂らし、挙動不審になりながらも、そう答える。
見た目が老人から、若い男性に変わった。旧知の仲だから、変装を止めたんだろう。
「……で、なんか聞こえた気がしたんだが、気のせいか?」
若干威圧しながら聞く。
「そ、そそそそうっすよ。
ハ、ハハッ! ハハハハハッ!」
セルバルドーは、そう笑い飛ばす。
……無理やりだが。
「そうか、気のせいか。」
納得した様に呟く。
「そ、そうっすよ。」
クケケケケ、これだからセルバルドーを弄るのは止められないんだよ。
おっとっと、そうだ。
「で、なぜこの人気の無い、鬱蒼とした森の奥の、人に知られていない湖に転移したんだ?」
弄りはまだまだ続くぞ。
いいネタを見つけたからな。
「そ、そりゃあ、たまたま見つけた場所で、綺麗だったからだよ。……目、目の保養のためだよ。」
「ほう、そうか……では、これはなんだ?」
そう言って虚空を掴み、薄い本を取り出す。
「あっ!?」
そう言って、セルバルドーは懐を探し始める。
「無い…… 無いっ! 無いっ!?」
焦ってる焦ってるぅ!
「では、こいつは?」
もう一度虚空を掴み、奴の家にある薄い本を取り出す。
「あっ……そんな……。」
セルバルドーはそう言い、膝から崩れ落ちた。
「目の保養とは、これらの事か?」
そう言い、セルバルドーの前に出す。
「あっ……いや……。」
目を泳がせながら答える。
「そうか、なら要らないな。」
「嘘です! 嘘ですからやめて下さい! それが生きがいなんです!」
「やはり、貴様は死ぬべきだな。」
養豚場の豚を見るような目で、セルバルドーを見下す。
「やめて下さい!」
「嘘だ。」
そう言って、ニッコリと笑ってやる。
まぁ、目は前髪で隠れ、口角は少ししか上がらないので、笑顔では無いだろうが。
「それよりも早く、早く返して下さい!」
「ほれ。」
そう言って、大人しく返してやる。
「……何か企んでるな。」
「その通りだ。」
「……お願いだから、巻き込まないで下さいよ。」
「チッ!」
「ちょっ!? 舌打ち大きい! てか、あからさま過ぎるだろ!」
「イチイチうっせぇ野郎だな。ウゼェんだよ。」
「えっ、ちょっ!?」
「そんなんだから未だに童貞なんだよ。」
「違います! 初めての相手に捧げるんです!
てか、地味に傷ついてるんで、やめて下さい!
童貞はデリケートなんです!」
「これだから童貞はキモいんだよ。」
「貴女だって処女でしょ! 結婚適齢期余裕でかっ飛ばしてるでしょ!」
「知ってるか? 私は子持ちだぞ?」
「クキーッッ!」
どこから取り出したのか分からないが、ハンカチを噛みしめている。
初めて見たわ。
「あァァァんまりだァァアァ!」
「なんでないてるの?」
「気にしなくていいぞ。」
泣き叫んでいるので、しばらく放置する。
「ふう……。」
「勝手に賢者タイムに入るな。」
本当に、こいつは面白い奴だ。
絶対電波受け取ってんだろ。
「さて、本題に入ろうか。」
「え、入るの?」
「お前の所の学園の過去の教科書、そして入試問題を全てくれ。」
「え? なんで?」
「娘の勉強のためだ。お前は学園長なんだ、簡単だろう?」
頭が良くないと、将来生きていけないからね。本当はずーーーーーーーーーーーーーーーーっと一緒に居たいが、ダメ人間は作りたくないのでボツ。
どこの世界でも、人間は戦争大好きだぜヒャッハーなので、必然的に生き残る可能性を高める冒険者になってもらうしかない。
「あ、そう……分かった。学園に入学するのか?」
「温室で育てるのと荒野で育てるの、どちらの方が強く逞しく育つ?」
冒険者になった方が、社会の厳しさが分かるぞ。
「まぁ、そう言うと思ったよ。でも、俺みたいにスパルタを受けたら、絶対生徒全員心が折れるぞ。」
「所詮、その程度と言う訳だ。」
「そうなんだけどさ、どこも戦力は欲しい訳よ。社会も厳しいのよ。だから、温室でもいいから、力をつけてあげるんだ。俺みたいに、悔しい思いはさせたく無いからな。」
「……そうだな。」
空気が重くなる。
「……ま! いつまでも過去に囚われてちゃ、ダメって事だな!」
「そう……だな。」
……。
「では、また会う日まで。」
「そうだな。(出来れば会いたくないなぁ)ボソッ」
「何か言ったか?」
「い、いや! 何でもない!」
「そうか……あ。」
「な、なんでしょう……?」
「しっかり消臭しろよ。」
「……。」
「またな。」
セルバルドーが顔を真っ赤にしているが、そんなの知らない。
「うすいほんって、なーに?」
娘が目を輝かせながらそう聞いてくる。
きっと、絵本の一種だと思っているのだろう。
「……知らなくていい事だ。」
あいつ、後でボコボコにしよう。
ここまでお読み頂きありがとうございました
誤字脱字指摘、アドバイス、評価感想等
お待ちしております。
そして、醸し出されるシリアル臭。
え? シリアスじゃないかって?
いやぁ。私にシリアスは無理ですよ。
学園? 今の所やる予定はありませんね。
やるとしても、書き溜めするでしょう。
やったらラブ無しのコメディでしょう。
学園編やって!
という意見が多数寄せられましたら、やってみようかと思います。
まぁ、意見が来ることは無いでしょうが。