第35話 何事も、2作目より1作目の方が面白いが、これまでの話はエピソード0的な立ち位置である。
よく、雨にも負けず、風にも負けず、素人の下手な鬱展開とグロ要素に耐え、ここまで来た。
さぁ、ハッピーエンドはもう、すぐそこだ‼︎
……多分、微グロと微鬱注意
「コォォォォォォ、カァァァァァァァァ……」
呼吸を整え、落ち着ける。
まだだ、まだ怒りをぶつける時間では無い。
奴は、絶対にぐちゃぐちゃにしてやる。
負の感情をしまい、普段の俺に戻る。
取り敢えずは、イザナミの居る場所へ向かうか。
足に力を入れ全力で跳ぶ。
が、やはり届かない。
ならば、翼を生やし、飛ぶまでだ。
背中から、漆黒の、翼と呼んでいいのか分からないナニカが生える。
……飛べるなら、問題ない。
俺は、地獄の天井を向かう。
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「準備は出来たわ……いつでも来ていいわよ。」
ドゴン‼︎
大きな音と共に法廷の床が割れ、爆ぜ飛んだ。
「転生の資格を得てやったぞ……イザナミ。」
「やはり、私の予想は正しかったわ。いいわ、やり直しをさせてあげる。でも、まずはその力について教えてあげるわ。」
「分かった。」
俺は、椅子に腰を下ろす。
「無事、転生の資格を得るどころか邪神の力を奪うとは思わなかったわ。では、説明を始めるわ。」
「頼む。」
頭を下げ、願う。
「まず、その力は神力と言って、神様だけが持つ力よ。使い方は簡単。本能に従うだけ。」
「そんなに簡単なのか?」
「さっき翼を生やしたばかりでしょう。」
「それもそうか。」
「後は、六神通はいつでも使えるわ。」
「そうなのか。」
六神通ってのは、6つの凄い力の事だ。
神速通
自由に隠れたり、現れたり出来る。
他に、自由に空を飛べる力
天耳通
凄い聴力
他心通
他人の心を知る力
宿命通
自分の過去世(前世)を知る力
天眼通
森羅万象を見通す力
漏尽通
自分の煩悩が尽きて、今生を最後に、生まれ変わることはなくなったと知る力
「それと、神力を使った技の事を、神術というわ。後、神力は信仰で増えるか、他の神を殺して奪うかのどちらかよ。」
「ふーん。」
「次に。」
「なんだ?」
「神力は、使わなければどんどん溜まる事と、何度も使えば慣れて、色々な事が、少量の神力で出来るようになるわ。
それと、神力は、扱いが上手ければ相手に触れただけで盗めるわ。」
「すごいな。」
「最後に。」
「なんだ?」
「もしも、もしも神権を使うような相手と戦う事になったら、兎に角逃げるか、神力で覆うか、どちらかにしなさい。」
その真剣な表情に、思わず息を飲む。
「分かった……神権ってなんだ?」
「あいつは神権使えないから関係ないわね。神権については、今度教えるわ……あっ、そうそう。」
「なんだ?」
「あなたは邪神だけど死神だから、殺したり、死んだら魂をちゃんとこっちに送ってね。魂はある程度吸って、弱らせてね。魂を吸ったら、神力も増えるから、一石二鳥でいいでしょう?」
「あ、俺死神なんだ。」
「そりゃそうよ。あんな平和ボケした世界で平然と人を殺せるんだから、あなた死神の才能に溢れてたわよ。」
「そうなのか。」
俺、まさか神になるとは思ってなかったけど、神でも死神になるとは……。
「あっそうそう、あの神が、人間が考える神らしからぬ事をした理由、知りたくない?」
「どうせ価値観の違いだろ? 人と神だったら神の方が偉いしな。人がアリを面白半分で殺すのと同じ事だろ? 人からすれば、何でアリの手伝いをしなくちゃいけないんだよって話だろ? だって、神ってのは、人間の究極の他力本願の真髄だからな。」
「せ……正解……。さ、さすがね……。」
「今時、無神論者でも誰でも思いつくだろ。」
「な、何それ怖い。」
「常識だ。」
「い、一応人に友好的な神も居るのだけれども。」
「神に造られたのが典型的な神の思考で、信仰で生まれた神が、友好的なんだろ?」
「じょ、常識?」
「常識だ。」
「え、えーと、何であの神が放って置いてあるか分かるかしら?」
「証拠隠滅してあるんだろ? 後、神が居ない世界だから好き放題出来るんだろう? あいつの言ってる通り、滅ぼせば証拠は消えるしな。神が居る世界で、好き放題やったら、殺されるだろ?」
「あなた、神だったりしない?」
「血も涙も捨てた鬼だったが?」
「……や、やり直しの準備はいいかしら?」
「あぁ、問題無い。殺してくる。」
「い、行ってらっしゃーい。」
イザナミが、笑顔で手を振って、俺を送り出す。
そこで、俺の意識は途絶えた。
「き、期待以上なのだけれど……。」
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「……こ、ここは?」
鼻を、湿った空気が通る。
目が覚めた。
地面には草、頭上には桃色の花、背中には木の幹。
そして、土砂降りの雨。
どうやら、人生のやり直しが出来るようだな。
残念ながら途中からのスタートだが、まぁ贅沢は言ってはいけない。
あいつを殴れるんだから。
ギュッと、手を握りしめる。
「望み通り、1発ぶん殴ってやるよ。」
俺は、街へ飛んだ。
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「あぁ、ケーキ美味いな。あぁ、本当に仕事怠いなぁ。もう少し滞在して、サボるか。」
ミ ツ ケ タ
神の力を解放し、邪神の状態になる。
そして、全力で殴る。
「グッ‼︎」
神は、吹っ飛んで行く。
だが、吹っ飛んで行って、体勢を立て直されたら困るので、
「お前俺のサンドバッグな‼︎」
神力で腕を作り、奴をガッチリと掴む。
俺の負の感情、全部ぶつけてやるよ‼︎
輝いていた腕が真っ黒に染まる。
神の怒りが溢れ出し、世界が揺れる。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァ‼︎」
吹っ飛ばないよう、ガッチリとつかみ、ボコボコに殴る。
どす黒いオーラが奴にへばり付き、神力と魂、どちらも吸って行く。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ‼︎ どうした⁉︎ 俺じゃあお前に勝てないんじゃ無かったのか⁉︎ あぁん⁉︎」
「あ、あぁ……。」
「喋ってんじゃねぇよゴミ屑が‼︎
ゴミはゴミらしく、黙って死ニヤガレ‼︎」
殴る
殴る
「仲間を殺しやがって‼︎」
ただ、ひたすら殴る
イケメンだった顔は、もうぐちゃぐちゃになっている。頑張って直そうとしているが、殆どの神力を吸い取ったので、中々治らない。
さて、
「一緒に地獄に行って、もっと楽しいことをしようぜ? 凄く気持ちよくなれるからさ、一緒にタノシモウヨ、ネ?」
神術を使い、俺は地獄へと転移した。
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「連れて来たよー。」
「あら、ぐちゃぐちゃで汚らしいわね、到底神には見えないわ。」
「地獄借りてもいいか?」
「あなた、鬼でもあるし死神でもあるから、自由に使っていいわよ……でも、一応神になったんだから働きなさい。」
「働くって、何するの?」
「週に1回でいいから、事務作業を手伝ってくれないかしら?」
「分かった。ほら、行くぞ。」
俺は、ゴミ屑を引き連れ、地獄へ向かった。
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「まずは血の池だ‼︎」
空から、ゴミを血の池に落とす。
「ゴボッ、カハッ」
「顔なんて出してんじゃねぇよ‼︎ ゴミはゴミらしく、そこに沈んでろ‼︎」
ゴミをがっしりと掴み、そこへ向かう。
視界がハッキリして、呼吸が出来る。どうやら、地獄で働いている者には害が無いらしい。
向こうの方でも、鬼が俺と同じ事をしている。
「おーい、そこのあんた、沈めた後、ゴミ屑共に何やってるんだ?」
気になるのでその道のプロに聞いてみる。
「あぁ、肛門から血を流し込んで口から吐き出させたり、肺を血で一杯にしたり、するんだよ。後は、ちょくちょく息を吸わせて、ギリギリ溺死しない程度で繰り返すんだよ。」
「なるほど、参考になった。ありがとうな‼︎」
「そのくらい安いもんよ、同じ鬼同士、仲良くしようや。」
結構、気さくだった。
さて、これからが楽しいんだ。
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「おら、どうした?」
「あぁ、助けてくれ……」
「あぁん? あんだってぇ?。」
そう言い、爪を剥がす。
ベリッ
ベリッ
ベリベリベリベリベリベリベリ‼︎
「ギイィィッッ⁉︎ ガァァァァァァァ「うっせえ‼︎ 黙れゴミ屑‼︎」ーーーーーーー‼︎」
うるさいので、窒息させ、声が出ないようにする。
「あぁ、いい眺めだ。その表情、本当に最高だよ。さぁ、その絶望に満ちた表情を、もっともっと、俺に見せてくれ。」
圧殺、暗剣殺、殴殺、格殺、活殺、閑殺、虐殺、挟殺、禁殺、撃殺、減殺、 絞殺、強殺、故殺、蒸殺
誤殺、歳殺、惨殺、蟲殺、斬殺、三重殺、刺殺、射殺、愁殺、重殺、銃殺、粛殺、焼殺、蕭殺、生殺、相殺、磔殺、他殺、畜殺、誅殺、的殺、毒殺、屠殺
悩殺、爆殺、罵殺、必殺、秒殺、封殺、焚殺、併殺、忙殺、謀殺、撲殺、捕殺、抹殺、密殺、黙殺、扼殺、薬殺
兎に角、色々やった。
ので、
「コレに耐えたら楽にしてやるよ。」
そう言い、俺はゴミを壺に突っ込む。
壺の名は
『姦死の壺』
強姦したこいつには、丁度いい。
この壺に入ると、永遠と青いつなぎを着たいい男に犯され続ける幻覚を見ると言う、男にとって最悪極まりない壺だ。
もしもこれに耐えたら、こいつはホモになっているだろう。
ま、待つのも面倒なので、この壺の中の時間を一気に進めるか。
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ♂!!?」
「ぷっ、ハハハハハ‼︎」
思わず笑ってしまう。
まさか、アァァァァァァァァ♂
を聞くとは思わなかった。
ま、面白かったから、殺してやるか。
壺からゴミを取り出す。
ネチョォ
「うえ、汚ねぇ。」
ゴミは、白濁とした、生臭い液体まみれになっていた。
「うえ、刈り取ろう。」
神力で鎌を創り出し、魂ごと、神力諸共吸収する。
「お、けっこう神力増えたな。それに、復讐も果たせたし、良かったのかな。」
ポツリと呟く。
が、やはり、ダメだった。復讐しても、この虚無感は全く消えない。今まで思い出さないように頑張ってたけど、ダメだ。この胸の穴は消えない。
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」
俺は、ひたすら叫んだ。
何も、変わらなかった。
この虚しさは、消えなかった。
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取り敢えず、イザナミの所へ向かおう。
神術を使い、転移する。
「復讐は、どうだったかしら?」
「無意味だった。」
「そう……ねぇ。」
「……なんだ?」
「あの3人にもう1度、会いたくはないかしら?」
「……え? 会えるのか?」
「一時的だけど、会えるわ。」
「お願いだから、合わせてくれ……頼む‼︎」
俺は、イザナミに土下座をした。
「顔を上げなさい。」
その言葉と共に、俺は顔を上げる。
「……え?」
顔を上げると、麗那達3人が立っていた。
「彼らね、少しの間、転生は待ってくれって言ってたのよ。だから、今ここにいるのよ。」
「あ……アイラ、フィリス、麗那。」
「来てやったぞ。」
「来たぞ。」
「来ましたよ。」
「あ、あぁ……」
「まずは、俺からだな。」
そう言い、フィリスが近づいて来る。
ガン‼︎
頭を殴られた。
「バカ‼︎ テメェ何勝手に自殺してんだよ‼︎ 命は重いんだぞ‼︎」
「んな事言われても……」
「ま、結果的に生き返ったからいいんだが。」
「……そうか。」
「次、アイラだな。」
そう言い、フィリスが下がり、アイラが前に出てくる。
「立て。」
「え?」
「いいから立て。」
「分かった。」
スッと立ち上がると
「フンッ‼︎」
「オグゥッ⁉︎」
金的蹴りをされた。
「オウッフ……。」
「軟弱者が、私たちが死んだ程度でくよくよするんじゃない。」
「だって……」
「もう一度蹴られたいか?」
「……。」
「最後は麗那だ。」
麗那が歩いて来る。
「ヒロさん。」
「なんだ?」
「私の事、好きなんですか?」
「あぁ、友愛感情でな。」
「そうですか。どうせなら……いえ、本当は親愛感情が良かったですね。」
「さて、時間だ。俺たちはもう成仏する。」
「元気でいるんだぞ。」
「ヒロさん、さようなら。」
「あ……あぁ⁉︎ 待ってくれ‼︎ 俺を、俺を1人にしないでくれ‼︎」
みんな、薄くなって、消えていく。
「じゃあね、ヒロくん。すぐに死んじゃって、ゴメンね。私がバカだから、包丁なんて持たせて、リンゴの皮むきなんてさせちゃって、ゴメンね。でも、今世は楽しかったわよ。」
「じゃあな、ヒロ坊。事故で死んじまったけど、お前が楽しそうに生きてるのを見て、安心したよ。」
「お別れの挨拶は、さようなら、だろう? ヒロくん。いつまでも母親離れしない子は、女の子にモテないぞ。それと、料理上手くなってたな。」
「うっ……うっうぅ……。」
視界が歪む。
「ほら、ちゃんと挨拶しないと、ダメでしょ。」
「さ……ようなら。い、今まで……育ててくれて、あり、ありがとう……ございました‼︎」
礼をする。
「よく言えたな。」
「よく言えました。」
「よく出来ました。」
そう言い、俺の頭を撫でる。
それに対し俺は、精一杯の笑顔を見せてやる。
段々、薄く無なり……
「じゃあな。」
「元気でいてね。」
「きちんと、三食食べなさい。」
……消えていった。
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……」
俺は、人生で初めて泣いた。
兎に角、ひたすら泣いた。
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「なぁ……。」
「何かしら?」
「俺、とんでもないマザコンだったんだな。」
「みたいね。」
「なぁ。」
「何かしら?」
「あれって、偶然なのか?」
「人はね、自力で運命を捻じ曲げて、自分にとって都合の良いように改変する生き物なのよ。」
「じゃあ。」
「偶然じゃ無いわね。」
「そうなのか……。」
「いい両親と、生みの親を持ったわね。」
「風呂を除く変態だったり、平気でハッキングしたりする親だったけどな。」
「……。」
「でも、やっぱり、寂しいよ。」
「……。」
「しばらく何もしたくない。」
「そう……立ち直ってからでいいから、仕事しなさい。」
「会わせてくれて、ありがとうな。」
「この程度、安いものよ。」
「そうか……じゃあな。」
「しばしの別れよ。」
俺は、家に帰った。
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「……ただいま。」
誰も居ないのに、思わず発してしまう。
余計、虚しくなる。
「お墓……作ろう。」
のそり、のそりと歩き出す。
「あぁ……四肢を捥がれて、こんなんなっちゃって……。」
麗那の亡骸を抱きしめ、呟く。
「母さん、ごめんな……色々酷い事しちゃって……いや、止めよう。もう、過ぎた事だ。早く、立ち直ろう。」
亡骸を抱きかかえ、歩き始める。
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多種多様な花が咲き乱れる、花畑にたどり着いた。
「やっぱ、墓はこういう、綺麗な所の方が、気分的にもいいよな。」
花畑のすぐ近くに遺体を埋める。
そして、遺体に向かい、木属性魔法を使う。
大地から芽が飛び出し、一気に成長し始める。
芽は一気に成長し、雲を突き抜け、遥か彼方へと成長して行った。
大地にはとても太い根が張り、だが、花畑を侵食しないようになっている。
ここまで大きくなるとは思わなかったけど、死んでからもこんな事が出来るなんて……。
「ほんと、俺には出来過ぎた親だよ。」
墓なんて、どうやって作ればいいのか分からないから、墓石を作り、木の根っこの所に3つ埋める。
それぞれに名前を書く。
「これで完成かな……。」
多分、墓の完成。
「こんな俺を、死んでからも、異世界に来てまで育ててくれて、ありがとうな。」
そう言い、俺は家へと帰る。
そして時は流れ……
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「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」
「あぁぁぁ、何で泣いてるんだ? ええっと、オシメか? おっぱいか? なんだ? どうすればいいんだ!!!?」
俺改め、私は子育てを始めた。
ここまでお読み頂きありがとうございました
誤字脱字指摘、アドバイス、評価感想等
お待ちしております。
これにて、チートだけど異世界でスローライフを送るために死ぬ気で努力してみる(仮)
『は』
完結です。
次からタイトル変えて書きます。
次のタイトル
「神様は育児休暇を取りました」
の『予定』である。