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娘よ、大志を抱け  作者: 匿名社員
チートだけど異世界でスローライフを送るために死ぬ気で努力してみる(仮) 第2章ー異世界旅行?編ー
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第20話 クラス転移編

これが、いわゆる急展開だろう。

迷宮探索はあれから、まぁ順調に進んだ方だろう。

みんな、実戦での武器の使い方、戦い方、魔法の使い方、等に慣れてきた感じがする。


3階のホーンラビットで、いわゆる隙を突く攻撃を習得した。確かに、此処は初心者用の実戦練習に使える迷宮だ。


1階は最弱のモンスター、

『スライム』

2階は気分を害し、力で押して来る

『ゴブリン』

3階は、動きが速く、隙を突く練習の

『ホーンラビット』

そして、4階は総合演習

『チームでの戦闘』


迷宮を無事に踏破し、最奥地にたどり着いた。


「おう、お前らも来たか‼︎」

おっさん騎士と、幾つかのグループが出迎える。


「あー、やっとたどり着いた。」


「はぁ、なんか、疲れたな。

精神的にも、肉体的にも………。」


「…………やっと着いた。」


「…………フヒュー。」


その辺に座り、他のグループと合流する。


「なぁなぁ、どうだった?」


「俺はーーーがーー、をーー。」


「ーーーでーーーーをーーー。」


みんな、戦ってる時の事を話している様だ。


アレ? アレレレレレ?

イベントは? 起きないの? え?

俺、いつ死んだふりすればいいの?

何? 魔族が王城に突っ込んで来んの?

あっ…………その可能性もあるか。

でも、迷宮の方が、みんな見てるし、死んだって分かりやすいだろうなぁ。


待つ事しばらく、全員が集まった様だ。


「おし、お前ら全員集まったな。今から面白い物を見せてやるから、全員ついて来い。」


おっさん騎士がそう言うので、

全員ついて行く。


ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

と、狭い道を全員歩いてついて行く。

騎士達は、大広間で待機している。


しばらく歩いていると、広い部屋にたどり着いた。


「よし、着いた。

全員壁に沿って広がれ。」


クラスメート達は指示通り、壁に沿って広がっていく。

そうすると、人の壁が薄くなり、

部屋の真ん中が見える様になる。


部屋の真ん中には台座があり、その台座の上には水晶の様なナニカがある。

キレイな丸い形だ。

大きさはバレーボールぐらいだろう。


「こいつが迷宮の心臓部分、

『ダンジョンコア』だ。」


おっさん騎士が、そう説明する。

その後に、こう続けた。


「ダンジョンコアは、普通は持って帰って売るなり武器防具を作るのに使うなりする。

理由はとしては、多量に魔力を含んでいるからだ。

魔力を多量に含んでいるから、いわゆる魔剣の類を作れるし、魔道具を作るのに利用してもいい。

だから、売れば莫大な金になる。」


ダンジョンコアは、妖しい光を放っている。

見るもの達を魅了する様な、妖しい光だ。

きっと、ダンジョンコアを求めて争いが起きたりもしたのだろう。


迷宮を放っておけば、モンスターが溢れ出して、街を襲う。

ダンジョンコアを持って帰れば、手に入れるために争いが起きる。


ハッキリ言って、迷惑極まりない。


「それじゃ、帰るぞ。」


クラスメート達がおっさん騎士について行く。


だがすぐに、


「あっ‼︎ しまった‼︎ 俺とした事が、1番大事な事を言い忘れてたぜ。」


おっさん騎士が立ち止まり、そう言う。


俺たちもそれにつられて立ち止まり、おっさん騎士の声に耳を傾ける。


「ダンジョンコアを取ると、迷宮が崩れながら消えていくんだ。だから、ダンジョンコアを取った時は、なるべく速く迷宮から逃げるんだぞ?

俺たちを道連れにしようとしてくるからな‼︎

俺は若い時に、そのせいで死にかけたからな‼︎

気ぃ付けろよ‼︎

ハハハハハハハハハハハハハハ‼︎」


腰に手を当て、振り返り、笑いながらそう言う。


「あはははははははは‼︎」


「アホらしぃ‼︎」


「はははははははははは」


俺たちもつられて笑う。



…………………………そんな中、


「……………………え?」


誰かがそう呟いた。


声のする方に、俺たちは振り向く。


「あー…………………………。」


気まずそうな顔の高萩が、妖しい光を放つ、ダンジョンコアを両手で抱え持っていた。


暫しの沈黙。


俺たちの時間が止まった。


頭が動かない。動く事を拒否する。

頭が真っ白になる。


そして、時は動き出す。


俺たちの興奮して赤くなった顔が、

血の気が引き真っ青になる。


怒りで更に赤くなる者もいる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


迷宮が揺れ、崩れ始める。


「てめぇら‼︎ 荷物だとか全部捨てて、全力で走れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」


おっさん騎士が真剣な顔で、あらん限りの大声で叫ぶ。


クラスメート達は不測の事態にパニックになりながら、全力で走る。


狭い道を、全力で走る。

今なら、戦場(バーゲンセール)にいるおばちゃん達を余裕で抜かせるだろう。


「高萩てめぇ、ふざけんな‼︎」


誰かがそう言う。


「だって‼︎」


「うるせぇ‼︎ お前の声なんて聞きたくねぇ‼︎」


誰かがそう叫ぶ。


無理も無い。

高萩のせいで、命懸けで地割れを飛び越え、雨の如く降ってくる岩を避け、走り回っているのだから。



インディ○ジョ○ンズも真っ青だ。


みんな、なぜこんな目に遭わないといけないんだ? と、自問自答した時、全員同じ答えにたどり着いたみたいだ。


顔から血の気が引いて真っ青だった者も、怒りと興奮、それに、上手く呼吸出来無いせいで、顔が真っ赤だ。


ちなみに、高萩は未だにダンジョンコアを大事そうに抱えて、走り回っている。

脂肪がプルプル揺れている。

汗が滴り落ちる。


ダイエットでもしているのかな?

見ていて滑稽だ。


プギャープギャー


ズドン‼︎

ギャシュ‼︎


降ってくる岩を、おっさん騎士が切り裂き、道を作っている。


切っても切ってもキリが無い。

おっさん1人じゃ、限界がある。


いつの間にか大広間まで戻っていた。


周りにいた他の騎士達も、岩を切り裂き、道を作っていく。


迷宮の1階にたどり着いた時、


ガゴン‼︎


という音と共に、足場が崩れ落ちる。


「全力で飛べぇぇぇぇぇ‼︎」


その声に突き動かされる様に、

クラスメート達は、幅2メートル程の距離の穴を飛び越える。


ガゴン‼︎


時間が経ち、飛ぶ人が増える度に、

穴の幅が広がっていく。


「あぁ‼︎」


遂に、飛ぶだけでは届かない程、

穴の幅は広がってしまった。


無事、向こう側に飛べたクラスメートは20名程。


対し、向こう側に飛べなかった、俺や高萩のいるこちら側は、10名ほど。


「ロープとかは無いのか‼︎」


「んなもん、荷物と一緒に捨てちまったよ‼︎」


「くそ‼︎」

地面に拳を叩きつけている。

拳からは、血が雨漏りしている。


向こう側にたどり着いたクラスメート達は、俺たちを助けようと、アイディアを出している様だ。


いいだろう。希望を見せてやるよ。


側にいたクラスメート達の足を手でしっかりと掴み


「ふんのぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁあ‼︎」


向こう側に、

思いっきりぶん投げる。


「キャァァァァァァァァァァァァ‼︎」


「ウオァァァァァァァァァァァァ‼︎」


「フォァァァァァァァァァァァァ‼︎」


投げられた方は全力で叫んでいる。

崖から投げられたら、そりゃあ怖いだろうなぁ。


「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

全力で受け止めろぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」


【おう‼︎】


「キャアッ⁉︎」


「うぉあ⁉︎」


「死ぬ⁉︎」


ズザザザザザザザザザザザザザザ‼︎


「イデデデデデデデデデデデデデ‼︎」


上手く受け止め損ねた奴もいる様だ。

取り敢えず、殆ど向こうに行けた様だ。


「ほ、ほら‼︎ 早く‼︎ さっさと俺も向こう側に飛ばせよ‼︎ 早く‼︎ 早くしろ‼︎」


この事件の原因が、上から偉そうに言う。

お前は豚の王様か‼︎

急かすな‼︎


「あいあい、分かりましたよ。でも、ダンジョンコアは置いとけよ。重心がずれて、変なとこ飛んでくかもしれないから。」


返事をしながら、ダンジョンコアを置くように誘導する。


「分かったから、早くしろ‼︎」

高萩は、ダンジョンコアを地面に置きながら、そう返す。


「へいへい。」


こいつ、やっぱ、腹立つわ。


「イデデデデデデ‼︎」


しっかりと足を掴み。


「ふんのあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


高萩の足を掴み、向こう側にぶん投げる。


……………………但し、


ズガン‼︎


………………………天井目掛けて。


「…………ふぅ、スッキリした。」

俺はこれ以上無い程の、スッキリした顔で言っていただろう。

高萩のせいで溜まったストレスを発散出来た。

いわゆる、賢者タイムだ。


騎士団の人達は、高萩を引っこ抜こうと頑張っている。

…………………シュールだな。


「ヒロ‼︎ お前も早く来い‼︎」

友人が大声で叫ぶ。


「あー、チョット、距離的に無理。」

ヘラヘラしながら、そう返す。


「嘘だろ‼︎ 嘘って言えよ‼︎」

友人達が、大声で叫んだ。


「安心しろ、俺はそう簡単には死なん。道が無いなら、作ればいいじゃない‼︎ マリーなんちゃらねっと理論だ‼︎」

大声で、笑いながらそう返す。


「そうだ、道を作ればいいんだよ‼︎」

誰かが、何か思いついた様だ。


「土属性魔法が使える奴‼︎ 全力で道を作れ‼︎」


あぁ、そういう事か。


崖から、道が出来て、こちらに届こうとしている。


だが、そう上手くはいかない。


ガン‼︎

ガン‼︎

ガン‼︎


落ちてきた岩で道が崩れて行く。


「諦めんな‼︎ もっと早く‼︎ もっと硬くて壊れにくい道を作れ‼︎

土属性以外の奴は、魔法で岩を壊せ‼︎」


誰かがそう叫ぶ‼︎


道が出来ていく。

降ってくる邪魔な岩を、色々な魔法で壊していく。

花火みたいだ。


「ヒロ‼︎ もうすぐ道が出来る‼︎準備しておけ‼︎」


「りょーかーい‼︎」

返事をし、クラスメート達に背を向け後ろに進む。


だが、運が悪かった。


岩が、俺の足場に降ってくる。


ガン‼︎


「んのわっ⁉︎」


足場が斜めになる。

どうやら、足場が砕けて落下している様だ。

思わず体勢を崩す。


「ヒロォォォォォォォォォォォォォォ‼︎」

友人達が、大声で叫ぶ。


そうか、俺はクラスメート達に嫌われてはいなかったか。

なら良かった。


俺は、深い闇に吸い込まれ、奈落の底に落ちていった。


…………友人達の声を聞きながら。



ーーーーーーーーーーーーーーーー




これで、死んだ事になったかな?


落下しながら、俺は考える。

身体能力の制限、脳の使用制限も解除した。

どう考えても、死ぬ要素が無い。

だから、余裕を持って考えられる。


へへへへへ、高萩ざまぁみろ‼︎

ダンジョンコア、どさくさに紛れて、くすねたったもんねー‼︎

バーカバーカ‼︎

ざまぁ味噌漬け‼︎


まぁ、煽りはこの程度にしておこうか。


ヒューーーーン


という音を立てながら落下している中、顎に手を当てて考え事をする16歳。

………………うん、シュールだ。


………………ん?なんか、見えてきたぞ?


下の方に、お城の様なナニカが見える。


そう、例えるなら、


「これ、もしかしたら魔王城じゃね?」



ここまでお読み頂きありがとうございました

誤字脱字指摘、アドバイス、評価感想等

お待ちしております。

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