新第2話 拠点捜索編
12/13書き直して投稿
布団から抜けるとそこは、木漏れ日の差す幻想的な世界だった。
目が覚めると木の下。
しかも敷き布団が湿っている。
ナ ニ が あ っ た ん だ ‼︎
てか、お漏らししてないのに何で湿ってるんだよ……あぁ、土が湿ってるのか。
布団と枕は無事か。よかった。
……あッ⁉︎ 抱き枕は⁉︎
急いで周りを探す。
無い‼︎ 無い‼︎
……あれ? 俺は何を手に掴んでるんだ?
抱き枕は、俺の手が掴んでいた。
……エヘ★
って、呑気にやってる場合じゃねぇ‼︎
そして、俺は考えた。隠された出生の秘密も無い、天才でもない。よって、誘拐された訳では無いだろう。
ならば、最近流行りの異世界転移ものか?
チーレムか?
……いや。
そんな訳がない。
俺は隠れイケメンでは無い普通の顔だ。
友達にも(女子含む)
「お前がイケメンだったらこのクラスの大半はモテてるよ。」
そう言われてる。
恋を経験した事も無い。
母親にさえ
「まだ色恋には興味出ないと思うね。」
そう言われた。
と言うか、奴隷があっさり心を開く訳が無いし、都合良く美少女とかがいる訳が無い。
ご都合主義先輩ご苦労様っす。
ハーレムとか、背中を刺される自信がある。
てか、そう簡単に好かれる訳が無いだろ。
まぁ、物語は人の叶わない事が何でも出来るから、そういう事書けるから楽しいんだろうね。
妄想と一緒だな。
……はぁ、自分で考えてて哀しくなって来た。
既に30回ぐらい考えた事があるんだけどな‼︎
じゃ、何でここに来た?
神のイタズラか?
てか、此処は地球か?
異世界か?
でも、やっぱり気になるでしょ‼︎
「ステータス‼︎」
シーン
「ダヨネェ」
おっと。思わず声に出してしまった。しかもカタコトで。
はぁ、ステータスの無い異世界に賭けて、取り敢えず水場を探すか。
どこ見ても木しか無いけど……。
ポッケの中身は
スマホ
イヤホン
カッター
カードケースっぽい奴
カードケースっぽい奴の中身は
•ルーン文字一覧表(意味、解説付き)
•お経
異世界転移の対策?はバッチリだ。
さて、探索を始めよう。
その前に、
「靴下履いとこ。」
俺は靴下を置いておく派なんだよ‼︎
ベツニイイジャネェカ。
今ここに、パジャマ姿で寝具一式を持ち、抱き枕を抱えて靴下で地面を歩く不審者が誕生した。
「おっ‼︎果物発見‼︎ ……って、見た目洋ナシだけど真っ赤だじゃねぇか‼︎」
こんな装備で大丈夫か?
「大丈夫じゃない‼︎ 問題だ‼︎」
……アホな事やってる場合じゃ無いな。
取り敢えず、状況把握と探索だ。
周りの木は地球でよくありそうな
普通の木だ。
街路樹より少し大きいぐらいだ。
稀にヤシの木みたく高い木が生えていたりする。
そんな森の中を俺は歩いている。
きっとさっきの果物?も南米だとかにあるような木の実なんだろう。
うん、きっとそうだろう。
そう簡単に異世界に行く訳が無い。
ステータスって言った時点で異世界って事は殆ど諦めてるよ。
でも虫が居ないってのが最高だね‼︎
おまけにこの森青臭くない‼︎
なんかこの森いい匂いがする‼︎
リラックスするようないい匂いだ。
コレで小鳥がさえずっていたら満点だな。
でも、まだ一回も植物以外の生き物を見てない。
ずっと植物……目の保養だと思えばいいのかな? 飽きるよ?
虫が居ない事に感激しつつ、景色が変わらない事に落ち込みつつ、その他色々考えながら歩き、歩くのに疲れたところで川を発見した。
「大佐。人生の癒し場を発見した。これより目的地に移動する。」
なんて茶番をして川に近づく。
寝具一式は近くに置いておいた。
川が簡単に見つかる……これってもしかして、ご都合主義先輩の力か?
て事は、異世界か?
……まぁ、取り敢えず置いておこう。
多分こっちの方かな?って思いながら適当に歩いたら川に着いてしまったんだ……すごい運イイな。
それと、川の様子なんだが……。
「何でマングローブみたいな木が生えてるんだよ……そこは湖、もしくは誰もが想像するような川があるべきだろうに……まぁ、水がめっちゃ透き通ってるからいいか……。」
マングローブで俺は汚い濁った茶色い川を想像するが、この川は物凄く水が綺麗だ。川の底には小石が沢山ある。マングローブはそれを無視して根を生やしている。
マングローブ+川みたいな感じだ。
川は透き通っているが、生き物は見当たらない。
そこは小魚が泳いでいるべきだろ……。
マングローブの近くには
木とマングローブを足したような
木が生えている。
陸地なのに幹も枝も細い木だ。
なよっちい野郎だ。
こんなんで大丈夫か?
《大丈夫だ。問題無い。》
……なんか聞こえた気がした。
ギュッと枝を握り締め、
「フンッ‼︎」
……意外と枝は硬くて折れなかった。
「一寸の虫にも五分の魂って奴かな? マングローブ凄ぇな。」
喉も渇いている事だし、水を飲もう。
手を川の中に入れる。
「あ〜冷たい。てか、本当に綺麗だな。」
水は沸かして飲むべきなんだろうけど、ヤカンとか持って無いし、
火とかそう簡単に点けれる訳が無いから……。
手で水を掬い、溢れる。
……口を川に突っ込む。
モチロン……ガブ飲みですよ。
ゴクゴクゴクゴク
「プハーッ‼︎
仕事の後のこの冷えた一杯で、生きてるって実感が湧くねぇ‼︎」
……嘘です。職業学生です。
20歳未満の飲酒、ダメ、絶対。
ってやつです。
アレです。なんとなくやりたかっただけです。生きてるって実感は湧きますけどね………。
ふと、顔を上げると、空がオレンジ色に染まっていた。
綺麗な夕陽だなぁ……。
空が段々と赤に染まっていく。
目がチカチカして、眩しい。
結構歩いてたんだなぁ……。
明日筋肉痛かもなぁ。
腹減ったけど、見たことない果物を食べるのはちょっと気が引けるな。
景色綺麗だな……ZZZ……ッて‼︎
黄昏てる場合じゃねぇ‼︎ 此処が異世界だったら、魔物に喰われる‼︎ たとえ地球でも、何が居るか分からねぇ‼︎
あぁ、早速命の危険だ……。
なぁ神様、
俺の人生ベリーイージーモードにしてくれよ。
ここまでお読み頂きありがとうございました
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