私の生活
それから一週間が過ぎ、段々と私はこの世界に適応してきた。たが、やっぱりまだ帰る方法は、見つかっていない。
「カリンちゃん、元気かい?」
「元気ですよー」
「カリンちゃん久しぶり!」
「昨日もあったじゃないですか!」
あれから、私は王宮で暮らし、王宮付きの次女さんをやっている。
おかげさまで、声をかけてくれる人もたくさん増えた。
思えば、この仕事を始めるにも色々あったなぁ。
私はどんな仕事をしたらいいのか、と王子とそのお付きの人に聞いたら、二人とも眉を潜めた。
「カリン、お前ががんばり屋なのはよくわかった。だが、無理して働かなくてもいいんだぞ。お前の世話なら宮で見ることになったし。」
「えぇ!?そんな、いつの間に!だったら尚更、居候なんてできません!」
なにもしないで生きるなんて、絶対バチが当たる。私の場合いつもそうだ。楽しいこと、嬉しいことがあると必ずそれ以上に酷いことが起きる。だから、私は楽なんてしちゃ駄目。
「そうか……お前の世界ではそうかもしれないが、この世界では子供は働かせられない。」
え?
「……王子、この世界の成人って何歳ですか?」
嘘だよね。まさか、そんなことないはず。
「成人なら15でだが……それがどうかしたのか?」
そのまさかだった。
いや、うん。日本人は幼く見られやすいとか言うじゃん。ね。そのせいだよ。
「王子、私って何歳だと思いますか?」
恐る恐る聞く。
「お前か。12、13ぐらいだろう?責任感があるのはわかったが、お前はまだ子供だ。」
「私は15です!」
ひどいよ。そんな幼く見えるのか。12って小学生じゃないか!
「ん?カリン、年を偽って働く必要はないんだぞ。」
「私は15です!」
「そ、そうか……」
私の勢いに恐れをなしたのか、王子はしぶしぶ感ありありで頷いた。
「それなら、俺の目の届かない場所はダメだ。さて、どこにしようか……」
それで、王宮侍女になったのだった。そこでも、初日に王子とクリアさんがなぜか一緒に来てこいつを頼む、とか言っていったせいで、私は年を偽って働く健気な少女だと思われている。いまだに誤解はとけてない。
「カリンちゃん、これよろしく!」
「はーい」
どさっ、と渡されたかごをそのまま洗濯所に持っていく。
洗濯しかできない私は、お茶汲みや、人のお世話なんてやらせてもらえるはずもなく、もっぱら洗濯をしている。
手も荒れたし、水だって冷たい。でも、楽しいんだ。こうして、自分で働けることが楽しい。
「ん、しょ。よっと。」
かけ声をかけながら、洗濯をしていると、ちなみに洗濯板だ、後ろから声が降ってきた。
「やほーカリンちゃん」
「なんっですかっ、クリアさんっ」
「あれ?仕事中?」
「そうにっ決まってるっじゃなっいですかっ」
なにしに来たんだ、この人は。
「いやぁカリンちゃんが働いてるところを見に行こうかと思ってさ。」
本当なにしに来たんだ。
「何が面白いんですかそんなの見て。私は仕事をしてるんですよ。」
「まぁまぁ。」
そのまま、しばらく無言で働く。
クリアさんはその後黙って帰っていったが、本当に何がしたかったんだろうか。