この国にも
大変申し訳ありません。王子とクリアの一人称を、王子→俺→私、クリア、俺→僕に変更いたしました。混乱された方、申し訳ありません。
それから、私は泣きに泣き、回りがドン引きするぐらい泣いた。
この顔のせいで、性格わるそーとか怖い~とか言われ続けた私を支えてくれたお兄ちゃん、親友だった女の子を思い出しては泣いた。
がり勉してやっと受かった名門高校のことを思い出しては万歳して喜んでくれた両親を思いだし泣いた。
そんなことを一週間繰り返しようやく泣き止んだ私はそのまま倒れた。
ご飯、食べてなかったもんなぁ。水分はとってたけど。これでよく今まで生きてこられたなぁ。あ、やばいまた泣きそう。
「お前、よくあんなに泣けたな。」
私の前で呆れ顔でそう言ったのはこの国の王子様に属する人アレン、カリア、シュート様だ。カリアは国名で、この人を呼ぶときは皆アレン様と呼ぶ。
まさに王子様って感じの容姿金髪青目ではないが、まぁ非常にイケメンである。銀色で、柔らかそうな髪に切れ長な青い目をしていて格好いいというより美しい。
齢18だが、非常にしっかりしている。ちなみに今が初対面。
「うるさいですよ。何ですか何の用ですか。」
「そう警戒するな。お前が私を嫌いなのは当たり前だが、話ぐらい聞けるだろう?」
どうやらこの人は私に話があるらしい。なんだよもう。私は今泣きすぎて目が腫れまくってんだよ。まぁ王子様の用件を断れるわけないんだけどさ。
「別にいいですけど。」
若干ふてくされ気味に言った私を見て、王子は慈しむような、まるで妹を可愛がるような柔らかい微笑を浮かべた。あ、この顔お兄ちゃんを思い出すからやめて欲しい。
「ああ。良かった。話というのはな、お前を間違えて召喚してしまったあいつ、クリアがまぁ表にはださないけど凄く落ち込んでてな。あいつの話を聞いてやってくれないだろうか。」
あの人、クリアっていうんだ。ってそこじゃなくて、要は私に謝りたいって言ってるんだよね。
「あいつの失敗は私の責任でもある。本当にすまないことをした。私からも謝るから、行ってやってくれないだろうか。」
王子は頭を下げられない。なぜなら王族が間違うことなんてないから。だけど、この人は誠心誠意私に謝ろうとしてくれた。
「別に、いいですよ。しょうがないから行ってあげます。」
素直になれなかった私は、そんな生意気な言葉を吐いてしまったが、王子はそれでも本当に嬉しそうに笑った。
「本当か?ありがとう。」
「べっ別にあなたのためじゃないんですけど。まぁ流石の私も心が痛みますし。」
特にやることもないわけだし。そんなこんなで、私は明日、クリアさんの所に行くことになった。
この国にも、心が優しい人がいる。私の見方になってくれた人がいる。
その事に気づきけただけで今日はいい日だった。なんて思ってしまう私は単純なんだと思う。