ゆめ。
夢をみた。
私が、優しい人たちに囲まれている夢。
「伽凛。」
「お兄ちゃん!」
「伽凛?」
「お母さん?」
「伽凛。」
「お父さん。」
笑う私。段々景色が薄れてきた。
「お兄ちゃん!?お母さんお父さん!嫌だ!嫌だよ!」
そのままブラックアウトし、次に見えたのは何もない、ただただ白い空間。
「やぁ!」
「あなた、だれ?」
「君は、異世界にいくんだよ!」
声はこっちの話を聞かない。
「どうして?私、皆といたいよ……。」
「ダメだよ。君は未練が強すぎる。あの世界は、もう君のいるべき場所じゃないんだ。」
「どうして?あなた、だれ?」
「僕?そうだね、神様、とでも名乗っておこうかな。」
神、と名乗った声は段々エコーしながら消えていく。
「私、どうして異世界トリップしたの?」
「それは言えない。君は知っちゃいけないんだ。」
「さぁ、戻りな。大丈夫。たくさん便利な能力をつけておいた。」
「いらない!いらないから私を帰して!」
「ああほら、もう目を覚ます時間だよ。大丈夫。僕は君の味方だよ。僕は君を大事に思ってる。」
じゃあね。そう言って消えた声は段々私の意識まで奪っていった。
起きた私は、夢の内容を全く覚えていなかった。