異世界拉致されました。
ここは、どこ。
「おっと来ちゃった。」
え?
「ごめんねぇ君を召喚する気はなかったんだけど。魔方陣が暴走しちゃってさ、まぁなるべくもてなすから」
「えっ……私は、どうしたの?」
呆然と、辺りを見回す。今はじめて気づいたが、ここは広く、開け放たれていた。
回りにはなにやら豪華な調度品があるが、そんなものはどうでもいい。
「答えて!ここはどこ?なんで私はこんなところにいるの!?」
さっきから何かを言い続ける赤いマントのようなものを羽織っている不思議な顔の男に詰め寄る。
「えっとね、君は、間違って異世界に召喚されちゃったんだ。ここは、君のいた世界じゃない。」
……え?
「うそ……うそでしょ……?きっと悪い夢をみてるんだ。」
そんな私にその男は、こう言った。
「いやぁそれがね、夢じゃないんだよね。今のところ、異界から呼び寄せた人物を帰す手段は発見されてないん」
「ふざけないで!!……勝手に呼び出しといて、帰せない!?ふざけんな!私は……」
涙が滲む。段々ショートしていた、いや、わざと動かないようにしていた頭が動き出した。
理解した。理解してしまった。
ここは異世界で、私は二度とあの世界に戻れないんだと。
こうして私のどん底異世界トリップは始まった。