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決意

太陽を見上げながら私は思った。あぁ、鬱陶しい、と。向こうから私を呼ぶ声がする。私はため息をつき、声のする方へ体を向けた。


「セレネ、貴方はいつまで反抗期なの?」少し怒りをにじませた声で言われる。「知らん」ほとんど意識を向けないようにして答える。その言葉と態度に、目の前の声の主である村のおばさんは怒鳴った。「知らんですって?!貴方、自分が何をしているかが分からないの?これは人間に対する裏切りなのよ!」「ほっとけ。私は自分のしたいようにする」怒鳴り声に半ば被せるように言った。おばさんはまた声を荒げようとしたが、向こうから呼ばれ「とにかく早く貴方も来なさい」、と言いおき走ってゆく。


はぁ。と、もう一度ため息をつき、空を見上げる。この村は、この世界は本当に鬱陶しい。









ここはカルヴァリオという世界。満月のように丸い大陸、そしてその中心も綺麗に丸くくりぬかれたような湖がある。その大陸には、人間、獣人、妖精など様々な種族の者が生きている。とは言っても、みんな仲良く助け合って生きているのではない。


50年ほど前まで人間は獣人を奴隷として扱っていた。それに反発していた獣人の一部がついに人間を殺し逃げ出した。もともと身体能力は人間より高かった為、少しの犠牲はありながらも半年という短い期間で、獣人は獣人の国を作った。その話を聞いた獣人はならば自分達もとその国に逃げ込んでいった。


そして現在。人間の住まう国アイランと、獣人の住まう国エアルタは物凄く中が悪い状態なのだ。





私の名前はセレネ。アイランの小さな村に住んでいる17歳の女だ。銀色の腰まであるストレートロングヘア。淡い碧色の少しつりめの瞳。白く張りのある肌。どうでもいいが、はっきり言ってかなりきれいな顔だちだと自分でも思う。


そしてさっきの話は、人間対獣人の戦争になるかもしれないという噂が国のなかで流れている。そしてついに、人間の王からその噂が事実だと決定づける命令が出される。【いつ戦いになってもいいようにそれぞれ戦いの準備をしておく事】


そして私は当然のようにその命令を無視している。そもそも獣人が人間に恨みを抱くのは当たり前の事だ。ずっと奴隷として扱われたのに、恨まないほうがおかしい。とは言ってもそれは50年も昔。昔の人が犯した過ちを私が受けなければならないと言われても、受ける気はさらさらない。だが戦う気もないとくれば、村の者が怒るのも無理ないだろう。


どうしようか。このままここにいてもまたぐだぐだ言われ続けるだけだ。やはり村を出よう。いや、国を出ようか。獣人と会えば必ず斬りかかられるだろうし魔物も出るだろうが、昔から何故か強さを望み、修行を続けていたため、剣の腕はかなり高いし、魔力の方容量も多い。敵わなくて死んだらそれもその時だしな。


結論は出た。よし、今夜村を、そしてそのまま国を出よう。







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