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竜殺しのガブゼット 序章4

儀式はいよいよ

佳境へと近付いていった。


竜が子供のすぐそばで

今日の贄を品定めした。


竜の頭の六本の角より

口蓋に並んだ牙よりも

指先に生え鉤爪よりも

小さく痩せた贄の子供。


喰らうところの少ない餌だが

それを気にするほどの知恵が

鈍獣にあるわけでもない。


竜は餌に食らいつこうとした。

子供は叫ぶことも

逃げ惑うこともせずに

巨獣の刃をただ待った。


子供は人の子ではなく

仔羊や仔牛と変わらない

そのように思ったから。



そのとき

一陣の風が吹いた。


いや

吹いたかのように見えた。


風のようにも見えたのは

竜の背中に飛び上がった

身の丈を越すような

大剣を手にした剣士。


燃えるような赤い髪

牛革の黒い上着

整った顔のくせに

狼のような尖った目付き。


剣士は竜のような大声で

威風堂々と名乗りをあげた。


我が名は勇者ガブゼット。

悪政をなす豚どもに

キツいお灸を据えるため。

竜殺しの名誉のため

悪竜退治に馳せ参じた。


人の姿した豚どもよ。

この世に悪の栄えた(ためし)なし。


人の子を竜に喰わせるとは

悪逆非道のその仕打ちを

統治の道具に利するとは

外衆にも劣る悪魔の知恵よ。


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