101人目の王女
ある国に、101人の王女がいました。その多くは養子でしたが、彼女たちはこう言いました。私の父は国王陛下。ゆえに私は王女様。銀のお皿に銀のスプーン。国に養われるのは当たり前。
ある日、国王は死にました。
法律で、100人目の王女までは遺産を相続できました。でも101人目はなにもなし。これっぽっちの木のスプーンすら相続できません。「みてごらんあのかわいそうな王女を。彼女は何も相続できなかったんだよ」人々は噂しました。
賢い王女はそれでもくじけませんでした。この日がいずれ訪れることを知り、市井の仕組みを多少なりとも理解していました。
「この国では、食い詰め者は奴隷になるしかありません。それは王女といえども同じこと」
彼女は自分で自分を売りに掛けました。
驚いたのは奴隷商です。いったいいくらで売ればいいのか、とんと見当もつきません。貴族たちは眉をひそめ、足早に去っていってしまいました。それを見て、商人たちも去っていきます。奴隷市場に残ったのは、何も知らない農民だけ。
「めんこい子だから2デナリで買おう」
そうして彼女は農民の奴隷になりました。
毎朝早起きして、牛の餌やり、牛舎の掃除、搾乳作業や牧草地の手入れ。終わる頃には日が暮れる生活。忙しいことこのうえありません。けれども、王女はこう言って自分を励まし続けました。「それでも私の父は国王陛下。この国を立派にするのが私の役目」
よく働く奴隷を見て「牛の世話を続ければそのうちいいことがあるよ」と農民は言いました。神様は働き者に褒美をくださるからね、と。
ある年、この国を病が襲いました。天然痘という恐ろしい病気です。罹った者は、死ぬか、それとも一生顔にあばたが残るかでした。この病は王宮と後宮をも襲いました。聖職者の祈りも通じません。100人の王女は、皆死ぬか、あばた顔になるかしました。あばた顔になるくらいならと、自殺した王女もいました。
「ぜいたくの罰が当たったんだよ」と農民たちは言いました。
でも不思議なことに、101人目の王女だけは、病にかかりませんでした。昔から、牛の世話をする者は、天然痘にはかからないのです。美しい王女の話は、たちまち国中に広まりました。
「その者は神に祝福されているに違いない」話を聞いて、ある国の王子が農民のところに駆けつけました。「どうか王女を私の妻に迎えたい。だが、ああ、問題は王女の身請け金だ。彼女を買い取るのに、一体何千何万デナリあれば十分だろう?」
王子は身分を隠し、農民のところに相談に行きました。
「ここによく働く娘がいると聞いてきた。私はどうしてもその娘と結婚したい。一体いくらあれば足りるだろうか」
「あんたはここの相場をよく知らんようだから言っておくが」と農民はきつい調子で言いました。
「100デナリもあれば、立派な結婚式を開けるだろう」
これを聞いて王子がなんと驚き喜んだことといったら!
国中の人々が、この顛末を聞いて面白おかしく歌いました。
「2デナリで売られた王女が、100デナリで結婚式を開く! なんとその差は50倍! けれどもそれを驚くなかれ。彼女はとても働き者! その美しさは100万倍!」
この王子と王女は、いつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし。