赤ト蒼ノ血ヲ引ク者
「こっちで合ってると思うんだけどなぁ」
宝生淸は小さな紙を見ながら山の中を歩いていた。
そこは木や草に覆われていて人が歩く所ではない。
「『萬屋』か本当にこんな所にあるのかな…」
淸はため息をつきながらまだ森の中を歩く
しばらく歩くと小さな家が見えてきた。
「あれかな?」
どうにかそこまで行こうと草を掻き分けて近くまでやってくると
『萬屋』と書かれた少し大きな店が見えさっきまでとは違い広い空間に出た。
「へぇこんな森の奥に店なんか有るんだな」
店のなかに入るとさまざまな薬草や色々な物がおいてあった
淸は広い店の中を見て回る
「中は意外と結構広いんだ…」
店の奥にまで来ると真っ白な狐の耳のような獣耳と同じ色の尻尾を付けた
小さな女の子が座布団の上で座っていて淸を見てにっこり微笑んだ
「いらっしゃいませ!何をお求めでしょうか?」
元気よく言う少女の尻尾はユラユラと揺れ耳はピクピクと動いていた。
その光景は少女を妖と確信付けるには十分だった。
今の日本は妖と人が共存していて森や小さな村に妖が居ると言われていた
だが、淸はまだ本物の妖をみたことはないため
獣耳が生えている少女に呆気にとられると同時に妖の少女に見とれてしまっていた。
「お客様?どうかいたしましたか?」
少女に呼ばれ我に返る
「え?!あ、別に何にも…;:」
「そうですか。では何をお求めですか?何でもありますよ」
「じゃあここに書いてある薬が欲しいんですがありますか?」
そういうと淸はズボンのポケットから買うもの書いたメモを少女に渡した