表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
アストラ艦長のランチェスター戦略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/58

第26話 ヘルディナンドの報告と豆腐と醤油

 ヘルディナンドが、皇帝の前で興奮しながら報告をしていた。



 報告します!

 アストラ艦長が、単独で連邦軍の主力艦サイクロン・ドログリーを退けました!

 は! 詳しくご説明いたします!

 我々はいつものようにアンドロイドを操作しながら、敵艦隊との戦闘に臨もうとしておりました。

 ところが、敵の新兵器によりアンドロイドとの通信が遮断されたのです。

 しかし、アストラ艦長はその敵艦の動きを、事前に予測していたのです。


 艦長は我々に心配をさせまいと、自らもアンドロイドだと嘘をつき、単独かつ生身の姿で搭艦しておりました。

 いえ、私がそのことを知ったのは、アンドロイドとの通信を遮断されたあとでございます。


 ブリーフィングのときに、アストラ艦長が、次のようにおっしゃったのです。

「敵の数は多い。しかし、敵艦は〝絹ごし豆腐〟のように脆弱だ。我々帝国軍は数こそ少ないが、〝木綿豆腐〟のように強靭なつながりを持っている。数よりも質が大事なのだ」と。

 その言葉に、我々全員が勇気づけられました。


 アストラ艦長は、我々全員のアンドロイドが動けなくなったあとに、お一人でクラウザーム・ヴァイロンを操縦するつもりでいたのでしょう。

 事前にクラウザーム・ヴァイロンが率いる2隻を、オートパイロットで追随するよう、指示を出されました。

 それは、数で劣る我々の戦力を集中させ、一点突破するための戦略でした。


 そして、我々が全員動けなくなったところで、クラウザーム・ヴァイロンを自ら操縦し、敵艦の一番弱い部分――側面に向け、自艦の一番硬い舳先で体当たり攻撃を敢行したのです。

 残念ながら、すんでのところで攻撃は避けられてしまいましたが、敵艦隊は即座に撤退を余儀なくされました。

 全てはアストラ艦長の手のひらの上で転がされていたのです。



 そのヘルディナンドの報告に、皇帝は感激の涙をその目に浮かべていた。


「なるほど……。さすがはアストラ君だ。わしが見込んだだけのことはある。素晴らしい働きだな」


 ◇


 コンビニ『ノレーソン』で見つけた絹ごし豆腐3丁を大事に抱え、補給倉庫に帰り着いた俺をエライアが出迎えてくれた。

 エライアは相変わらずオイルまみれだが、俺は気にしないことにした。というより慣れた。


「あ、アストラ様! おかえりなさい!」


「エライア、お前もうすっかりここが自宅みたいになっているじゃないか」


 近くにいたザッツが、俺が下げているエコバッグに気づき、声をかけてきた。


「アストラ、何を買ってきたんだ?」


「絹ごし豆腐だよ」


「な!? あんな栄養バランスが悪くて、味がないものどうするつもりだ!?」


 ふざけんな。お前らが食べている段ボールみたいなプロテインブロックと比べたら、100万倍うまいわ!


「ザッツ。お前知らないのか? 豆腐は醤油をかけるだけでうまいんだぞ」


「ショウユ? ショウユってなんだ?」


 マジかよ!? やっぱり醤油ないのか!? どおりで、コンビニを探してもないはずだ……。


「エライアも醤油は知らないか?」


 そう聞かれたエライアは首をかしげながら、俺を見つめた。


「ショウユですの? それはどういうものですの?」


「醤油は、香ばしくてしょっぱい黒い色の液体調味料だ」


「それでしたらここにありますわよ!」


 エライアが満面の笑顔で、黒い液体が入った瓶を俺に差し出した。


「おぉ! でかしたエライア! 素晴らしいぞ……。って、これ廃オイルじゃねぇか!?」


「え? アストラ様の言っているものと全く同じじゃありませんの!」


「同じじゃねぇわ!」


 だが、確かに見た目は似ている。いや、見た目だけは同じだ。

 どうする? 試しにかけてみるか? いや。それはさすがに……。

 俺がそう考えているとき、エライアが俺に質問した。


「すごく似てるじゃありませんか! わたくし、オイルをかけて食べてみてもいいですの!?」


「すごく、かは……いいよ」


 こいつ正気か? まぁ止めはしないが……。

 俺のその言葉を聞いて、エライアの顔が急に赤くなった。

 どうした? 急に熱でも出たか?


「き、急にそんな!『すごくかわいいよ』なんて言われても!? わ、わたくし、心の準備が!?」


「そんなこと言っていないけど?」


「いいえ! 言いましたわ! 確かに言いました! ね? ザッツさんも聞いていましたわよね!?」


 ザッツは、豆腐を夢中でプルプルさせながら、適当に答えた。


「あ? あぁ。言ったな」


「やっぱり! 言いましたわよね!」


 俺は、騒いでいるエライアを無視しながら、塩を探すのであった。


 倉庫の入り口付近で、拳を握り締めながらその様子を窺っている人影に、俺は気づく由もなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ