箱庭に閉じ込められた女神の娘、自由を求める少年に連れ出されて世界へ出る～箱入り女神と英雄の卵～

女神の箱庭で育てられ、外の世界を知らずに生きてきた少女ラツェル。
彼女の毎日は穏やかで満ち足りていた――ただし、それは母である女神に閉じ込められているという前提の上に成り立つものだった。

ある日、箱庭に迷い込んだのは、自由な冒険者に憧れる少年ユーゲン。
彼が語る“広い世界”に心を奪われたラツェルは、初めて自分の意思で外を望む。

しかし、外の世界を知られることを恐れた女神が怒り狂い、二人は箱庭からの逃避行を余儀なくされる。
こうしてラツェルは、初めて空の広さを知り、初めて町を歩き、初めて冒険者として依頼を受ける。

だが、世界はすでに異変の兆しを見せていた。
森に満ちる過剰な魔力、迫り来るスタンピード、そして暴走する神獣――。

少女は“箱庭の外”で何を知り、少年は“自由”の意味をどう掴むのか。
二人と一匹の神獣が紡ぐ、世界と心を解き放つ冒険譚が始まる。