1話
俺はつくづく運がない。
受験にも失敗し、就職先もブラックで、恋人もいない。
人並みに努力はするが、結果が伴わない。
「運も実力の内」なんて誰が言い出したんだ。
神社の開運お守りは家に何個もある。
道に落ちているゴミも拾う。
風水も勉強しているし、黒猫が目の前にいたら引き返す。
そうやって運を貯めても、雷に当たる…
そうか、そうだった…
俺は雷に打たれたんだった…
体に力が入らない…
何も見えないし、感じない…
…
俺は死んだのか…
きっとそうであってほしいと、願っている自分がいた。
俺の人生は運がなさ過ぎた。
何度も最悪な目に遭った。
今まで積んできた善行を運に変えられるなら、蘇生されずにこのまま逝きたい…
この世界でもう生きたくない…
…
もし…
もし来世があるのなら…
そうだな…
運に左右されない人生…
頑張った分だけ報われる…
そんな人生がいいな…
?「その願い、叶えましょう」
誰かの声が聞こえた。
何だ…?
とうとう幻聴が聞こえてきた…
?「あなたが今まで貯めてきた運を消費して、異世界にあなたを転生させます」
…?
何を言っているんだ?
?「それでは、来世での活躍を期待しています」
光に包まれる感覚がする。
俺はこれからどうなるんだ…?
死んだら天国か地獄に行くんじゃないのか?
異世界?
転生?
もう何も聞こえてこない。
…
まあ、死ねるなら何でもいいや…
もう疲れた…
段々意識が遠のき、俺はゆっくりと眠りについた。




