クラスとヒロインはどっち?
自分のクラスを確認して、教室に行く。
私は三クラスでS組と呼ばれる上のクラスになったよう。
カラカラと音を立ててドアを開ける。
教室に入って初めに目が合ったのはプラチナ。次にオニキスと目が合った。
2人とも同じクラスだったのね!これでオニキスとの接点が増えるわ!
という事はもしかして…と思いながら教室にいる人に一通り目を通した。
他の三人はまだ来てないのかしら?それともクラスが違ったのかしら?
不安に思いながらも自分の座れる場所を確認した。
窓際の後ろ側の席にさっと着く。なるべく目立たないように、と思ってした行動が意味が無かったよう。
初めは上手く誰も私に目を向けなかったのに、席に移動している最中に誰かが私の名前を上げた。
結果、ほとんどの人の視線が私に向く。
「あれがシアラ様?お美しいのね。」
「本当にそうね。素晴らしい美貌の持ち主だとは聞いていましたけれども、これほどだとは思いませんでしたわ。」
数人が動き出したところで、ドアが大きく開いた。
「失礼しまーす!」
元気よく教室に入ってきたのは…リーク・アレイド。
その後ろを申し訳なさそうに体を縮めて入ってくるルイナ・シラクト。
ただでさえザワついていた教室が、さらに騒がしくなった。入学式を終わらせただけだが、ルイナはその魔力値の高さと儚げな姿から、彼女を聖女と思う物が増えたそうだ。
今の私はありがたいけれど、彼女からしたら迷惑じゃないかしら?
私が彼女の立場だったら、平凡な平民の暮らしをしていたら、急に貴族ばかりいる学園に来いと言われ、入学式に出るだけでこの世界を魔物から救う使命を持つ聖女だと騒がれる。急すぎて理解が追いつかなくなるだろう。
彼女は私の隣の席に座った。他にも空いている席はあったのにどうして私の隣に来たのだろうと思いながら彼女の目を覗いた。パッと見は暗く実感が湧いていないようなのに、じっくりと見ると目の奥に新しい生活に希望を抱いているような輝きがあった。
「はじめまして。ルイナ・シラクト様。シアラ・リオリスと申します。」
仲良くなれたらいいなと思いながら、優しく声をかけてみた。
「は、はじめまして。ご存じだったようですね。嬉しく思います。」
「あまり気を使わないで欲しいです。リーク様とはお知り合いでしたか?」
この短時間で既に攻略対象との絡みがあった、好感度をあげたとなると、特大情報になる。私は常にルイナ様が誰との好感度がどのくらいか、を知る必要がある。
「リーク様とは今日初めてお会いしました。廊下で少しお話をしただけです。」
少し緊張しているような雰囲気が消えたように思えた。
「シアラ様こそ、プラチナ殿下とオニキス殿下とお知り合いですか?」
私が、プラチナとオニキスと?ルイナ様は私と御二人が絡んでいるところを見ていた訳では無いのにどうして?
「どうしてそう思うのですか?」
「先程から御二人がこちらを見ていらっしゃるので…」
ルイナが目配せをした方をみると、オニキスと目が合った。オニキスは私を見ると、視線を前に背けた。その横顔はほんのりと赤く色づいていた。かわいい!
「御二人が揉めていた所を仲裁したまでです。特に何もありませんよ。」
「それだけにしては大変仲が良いのですね。」
にこ、と優しくルイナが微笑み、ようやく言葉の意味が分かった。
「か、からかうのはやめてください!本当に何も無いですよ!」
「うふふ。冗談ですよ。緊張を解してくださりありがとうございます。」
特にその様な気持ちは無かったけど、ルイナらしくなれて良かった。
「これからもよろしくお願いしますね!シアラ様。」