魔法への能力と実力
青い空、白い雲、どこまでも広がるような青々とした草原。
ふわっとしたシアンのワンピースに水色のリボンがついた麦わら帽子。
冬とは思えない暖かさだ。この国は冬でもかなり暖かい。
今日私はここで、魔法操作を習得する!
まずは準備運動。軽くランニングでもしますか。
驚いた。50m走っただけでも息が切れていた私が約200m走っても息を切らさないだと!?
これがシアラの体か。恐るべし体力!
魔法の出し方は至って簡単。自分の手からその魔法が出るイメージをもって、手にエネルギーを込める。この時手に込めるエネルギーのことを"魔力"という。
そしてイメージした魔法の種類のワードを言う。
適合した魔法の種類ならその魔法が手から放たれる。
適合しなかった魔法の種類なら何も起こらない。
つまり、適合する魔法を見つけるには根気がいるという事だ。
魔法に慣れてきたら手から以外にも放てる様になる。
とりあえず火からやってみるか。
手を前に出して、手から火の玉が出るイメージを持つ。
そして呪文
『ลูกไฟ!』
ボォォォ 火は出た。つまり適合したということ。
だが小さい。出た火の玉のサイズは子供の両手サイズだった。まだまだ特訓が必要だな。
それから水・土・風・光・闇も試した。
火・水・土・風の4種類の魔法は適合した。普通は1種類しか適合しないのに。驚いた。シアラが聖女候補に選ばれた理由が分かった気がした。
光と闇の2種類は適合しなかった。
適合した魔法でも全て凄く小さなものばかりだった。
適合した魔法を極めたい。という事で、家に帰って魔法についての知識などが書いてある本を昨日買ってもらった本棚から探そうと思う。
「ただいまー!」
明るく高い声が家全体に広がった。
「おかえり。早かったわね。」
母が私の呼びかけに答えてくれた。
「昨日貰った本を読んでくるね!」
そう言い、なるべく早歩きで部屋に入った。早歩きだ、これは。セーフ。
本棚は大きかった。勉強方法について書いてる本もあれば、友達関係、将来について書いてある本まであった。
とりあえず魔法という単語が背表紙に乗っている本を全て取り出した。
小一時間かかった。分厚い本が50冊ほど積み上がった山が隣に出来た。
その山を少しでも低くするために読んだ。
途中でお昼ご飯を食べ、読む。
おやつを貰い、食べながら読む…
あれからほぼ丸1日本を読み続けた。
晩御飯は毎日作る手伝いをすると約束していたから晩御飯の時間まで読み続けた。
夕食の時間、料理を作った。
今日はカレーだった。
母曰く、シアラが一日部屋にこもって本を読んだ事を祝して だそう。
料理はやはり難しい。スピードが必要。だからといって適当過ぎるのもダメだ。じゃがいもを煮詰め過ぎて溶けた。肉に火が通ってなく、生肉になって欲しくなくなかった。
この国には年に1度、各国の代表料理人が集まり、十日間大きな市場ができる。その十日間の中で一日だけ自国の自慢の料理を出し合って勝負する『イクライ』と言う大会がある。
その文化のおかげで料理は充実している。
料理スキルもこれから伸びしろがあるという事だ。
寝るまで時間があったから本をよんだ。
今日読んだ本は13冊
その本はほとんど全てが辞書くらいの厚さになっている。
読み終わった山を見て私は自分を褒めたくなった。
読んでいる間にどうしても体が動かしたくなって軽めのストレッチをしたからその時間が少し惜しかった。
私は寝た。寝る準備が終わったから寝たんだ。寝たはずなんだ。
聞き覚えのある鳥の鳴き声、光に満ち溢れた見た事のある建物、体がふわふわと浮くような感覚。
そして目の前には…
ニコニコと満面の笑みを浮かべながら近づいてくるリーシャがいた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。