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反省文は苦手だ

ルイナと共に教室を出た。謎に少し重い空気が流れた。

「寮に戻ったら反省文書かなきゃでしょ。なんとか速く終わらせる方法はないの〜?」

ルイナがだらけ声を出した。

「まともに反省の気持ちを著わすしかないと思うわよ。無駄な足掻きは諦めるべき。」

「僕知ってるよ〜知りたい?」

えっ

「あら、ライ様。いらっしゃったのですね。」

驚いた。ライ様はいつも足音もなく現れる。

「それより!今速く終わらせる方法をご存知でいらっしゃるのですか?是非とも教えて頂きたいです!」

興奮気味にルイナが聞いた。そんなに速く終わらせて何がしたいというのだろうか。

「それはね〜。集中する事だよ。一つの物事に集中すると時間は凄く短く感じるものだからね。」

自慢げに話すライ様とは対照的に、明らかにガッカリとした表情を浮かべるルイナ。

「集中するだけ、ですか?それって書く時間あまり変わらないのでは…」

「集中した方が少なくとも速く書けると思うけれど。」

小さく反論したつもりがまさかの大ダメージ。

「うぅ。分かったよ、もう真面目に書けば良いという事でしょう?」

「もう、ルイナったら仕方ないわね。私も一緒に書いてあげるわよ。」

「え、ほんと?」

「えぇ。どっちにしろ私も書かなければいけないからね。」

ここまで来て、気づいた。こっちの道は寮への一本道だという事。寮生じゃない生徒は一つ前の曲がり角で曲がらなければいけないということに。

「ライ様、こちらの道は寮に向かっています。先程の曲がり角を」

急いで振り返ったけれど、そこに居ると思っていた位置にライ様は居なかった。

「?何処へ」

「シアラ、どうし…あら、ライ様、いつの間に。教えてくだされば良かったのに。」

「だよね、少なくとも…」

私は少しの寂しさをかき消すように笑った。



「挨拶くらい、したかったな。」

明るい笑顔だった。この子は何故こんな薄汚い貴族の世界に入ってしまったのだろうと考えてしまうほどに。いつまでもその純粋な明るさを保っていて欲しい。そう、心の中で願った。

「……そうだね。ちょっと寂しいなぁ。」

少しの無言の時間に違和感を感じたのか、頭の横にハテナマークが付くかのように首を傾げた。

「ルイナどうしたの?行きましょ!」

私の手首をグイッと引いて、部屋まで走るのかとでも思ってしまう。

「あのね、シアラ。」

話そうとした。だけど、今じゃない気がした。またいつか、話せる時に話そう。その時は今では無い。

「やっぱり良いや、何でもない!」

「えぇ〜何それ。」

笑った。子供らしさが無くなった大人の女性のようにスクスクと。いいなぁ、シアラは。運動が出来て元気で明るくて。私の持っていないところを全て持っている。

「部屋戻ろっか。」

「早く戻ろ〜。」


「よしっ、書き終わったぁ!」

「こっちも丁度今終わったよ。」

ルイナの反省文も丁度終わったみたい。あんなに嫌がっていたのにやってみれば案外早く終わるものなのね。

「そろそろ寝ましょうか。」

「だねー。おやすみ、ルイナ。」

「おやすみ、シアラ。」

そして一緒に眠りについた。


夜が深まった頃、ふと目が覚めた。

ベットのそばに付いている窓を眺めてみると、黒いフードを被ったコートの人が二人、見えた。

何かを話していたようだが、距離が離れていたので内容まで聞き取れなかった。

情報交換らしき事が終わると、二人並んで寮の敷地外に行ってしまった。

この寮は学園の敷地内にあり、研究棟とは反対側にある、学園の生徒専用の寮だ。もちろん学園の関係者では無い人は敷地内に入ることが出来無い。

学園の関係者が見るからに私達怪しいですよとでも言うような格好をするはずが無いし…ルイナのストーリーにはこんなイベントのようなものは無かった。つまり、またシアラのストーリー限定のイベント!?シアラがヒロインの位置に居ると知らないイベントも起きるしラスボスとのハッピーエンドなんてある訳もない。色々と面倒ね。

嫌な予感は明日の自分に託して、眠気に抗わず寝よう。

そしてもう一度ベットにもぐった。

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