トランプ
お待たせしてしまい、申し訳ございません。
「じゃあ、みんなでババ抜きしよー!」
無邪気に笑ってオニキス殿下が言った。何だこの可愛い生き物は。そして何も言わずにカードを皆に配るテリーナ様。これはこれで怖い!
ジャンケンで順番を決めた。リーク様、プラチナ殿下、ルイナ、テリーナ様、ライ様、私、オニキス殿下の順番となった。それぞれの手元に七枚のカードが置かれた。同じ数字の2枚のカードを皆で出していく。1番少なくなったのはオニキス殿下の3枚だった。
「罰ゲームはどうしますか?」
ルイナーー!!皆忘れてたんだから言わなくても良かったのに!
「確かに、決めとかないとね」
「ババ抜きは最下位が最後まで誰か分からないから、最下位の人への罰ゲームが良いよね〜」
プラチナ殿下の少し気の使ったような声に、絶対に最下位にはならないとでも言うかのように自信のあるライ様の声が聞こえた。
「定番の罰ゲームって言うと、語尾改変ですね」
めずらしく優しい口調でテリーナ様が言った。
語尾改変?つまり語尾に何かをつけるということだよね?それってなんだか凄く…恥ずかしくない!?
「語尾改変ってなんか…面白そうだね!なんか可愛いのがいいなぁ」
オニキス殿下が何かを想像しながら、そして閃いたかのように言った。
「そうだ!語尾にゃんはどう?」
「「語尾にゃん??」」私とルイナが声を合わせた。
語尾がにゃんになるって事?それはちょっと…
「いいアイデアだと俺は思います。」
明るい笑顔でリーク様が言った。「自分で言うのは恥ずかしいけど、他の人が言っているのは良いので」
確かに、私が言う可能性は七分の一。その確率を引かなければ良いわけだし…他の人が言っていたら、とっても可愛いに違いない!
「負けられない戦いになってしまいました…」
ルイナが少しやる気を入れ直した。「絶対に勝ちますわ」
少し時間が経った。今1番手札が少ないのはライ様の2枚だ。ライ様はテリーナ様が持っているカードの中から、自分のカードのペアを見事に見つけ出し、スルスルとカードを減らしていった。そして私がカードを取る時も、表情筋をピクりとも動かさず、ただニコニコとこちらを眺めている。他の人を見ていれば少しだけ表情が変わっていたりするのに。全く動かない!カードが全く読めない!その笑顔がもはや怖いレベルだ!
残りの二枚、片方はジョーカーかもしれないし、どちらもジョーカーでは無いのかもしれない。それでも私はしっかりと見極めて、カードを選ぶ。
皆は、ライ様を、先にクリアさせまいと必死に私がジョーカーを選ばないように願いながら見てくる。
落ち着いて…しっかりと見極めて…
「こっち」
左にあったカードを引いた。そのカードは、
ジョーカーだった。
それでもライ様は全く表情を変えず、ジョーカーが私の手に渡った事を皆に隠すかのように振舞っていた。
皆が順番にカードを引いていき、ライ様が引く番。テリーナ様の4枚のカードを見て、パッと悩む間もなく一枚のカードを引いた。そしてライ様は持ち手の二枚のカードを場に置いた。
「あがり〜」
嬉しそうに立ち上がると、テリーナ様の肩を軽く叩いて耳元で言った。「君、癖があるよ。治さないとバレたら簡単に勝てちゃう」
はっとしたかのようにテリーナ様が目を見開いた。「なぜっ」テリーナ様はライ様に何かを聞こうとしていたが、ライ様が口元でしーっとジェスチャーをしたから、口を噤むんだ。私は聞こえたけれど、皆には聞こえてないみたい。テリーナ様の癖…?
「一位はライに取られたかー」
「負けたーー」
「皆まだまだ残ってるよ〜」
悔しそうにぶーぶー言うリーク様とオニキス殿下。頑張れ〜と高みの見物をしているライ様。仲が良いなと思った。




