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出口とその先

「私、出口の出し方知ってますよ」


その瞬間、常に口角が上がっているライ様が一瞬、真顔になったような気がした。氷のような、冷たい真顔に。


「その…どうすれば出口にありつけるのですか?」

プラチナ殿下が少し緊張した様子で言った。

「簡単ですよ。皆様もお気づきでしょう?このダンジョン、普通のダンジョンと同じつくりではない事に。」

すると意外な事にルイナが少し控えめに手を挙げながら言った。

「私、思っていたことがあったんです。本当は私、回復魔法しか使えないのです。それも二、三回しか。」

いつもより魔法が使えるだと!?

「実は僕も…あまり具体的なものではないのだが。胸がザワザワするというか、体の感覚に少し違和感があるんだ。」

ダンジョンマスターにそんな隠し要素があったなんて。

でも困った事になった。もし本当にダンジョンマスターの話で進んでいるのであれば、私達はここから生きては出られない。何故ならダンジョンマスターは隠しバットエンドルートなのだから。

ダンジョンの中から止まらぬ勢いで次々と魔物が出てくる。魔力も体力も使い果たしたヒロイン率いる攻略対象群は皆で仲良く魔物に倒されてしまうのだ。


抜け道は、ない。

ゲームと違う点は2つ。

一つはどちらかがヒロインになりどちらかが悪役令嬢になる予定だったシアラとルイナが2人ともこの場に居合わせている事。

そしてもう1つは攻略対象では無い、少なくともルイナルートでは出てこないライ・ルトマリンという人物が存在するという事だ。

雰囲気で知っているとは言ってしまったけれど…本当は知らないんだよね。


何気なくちらりとライ様を見ると、どこかに行こうとしていたから声をかけてしまった。

「ライ様、どちらに行かれるのですか?」

「え?あぁ、えっと。向こうに光る物が見えたから気になって」

ライ様がにこりと笑った。その笑い方はなんだか不自然な笑顔に見えた。


「皆〜!ちょっとこっちに来てくれない?」

ライ様がにこやかに手を振りながら叫んだ。先程のような怪しげな笑顔ではなく、いつもの笑顔に戻っていた。

「どうした?今行く!」

リーク様が大声で返事した。


「な、なんだこれは…」

そこには時空が歪んだかのような裂け目と、その近くで記念撮影でもするのかのような調子でピースをするライ様が居た。

「こ、これはまさか…出口ではないですか?」

怪しむようにテリーナ様が言った。

「でもそうだとしたら凄いなお前、でもどうやって見つけたんだ?」

「どうやってって、なんか光って見えた鉱石があったから掘ってみたら出てきたんだ」

ライ様とリーク様が仲良さそうに言い合っている。

「まぁまぁ、出口があるのだからいいのでは?ね、オニキス」

「兄さんの言う通りだよ。早く出よ?」

2人に説得されて、皆で裂け目に飛び込んだ。


気がつくと、そこはダンジョンの外だった。

「あ、あれ。Cチームだ。先生!Cチームが帰ってきました!」

近くにいた女子生徒が大声で言った。

するとすぐにシトリア先生が出てきた。

「まぁ!ごめんなさい。不具合があったみたいで…」

いつも穏やかな笑みを浮かべているシトリア先生が暗い落ち込んだような顔をしていて、申し訳なさが押し寄せてくる。

「いえ、多分ですが先生は悪くありませんよ」

声に出てた!?と思ったが、違った。

全くと言っていいほど同じ気持ちだったルイナが言っていた。

「そして、残念なお知らせなのですが…Cチームだけダンジョンの中に居た時間が長くなってしまい、不平等になってしまうと判断したので…今回は景品が無しになりました…」

「「「えぇぇぇえええぇぇええ!!!」」」

私、ルイナ、リーク様の声が重なった。

「……まぁ仕方ない事…だよね。残念だけど」

景品…楽しみにしていたのに…

「その代わりに、今回の景品は次回のイベントに回すことになりました」

「なら次頑張りましょうか」

シトリア先生の言葉を次ぐようにテリーナ様が言った。


「リーク…その、遅れて申し訳ないのだが、スライムから助けてくれてありがとう」

少し恥ずかしそうにプラチナ殿下が言った。

「いえその…まぁプラチナ殿下達を助ける為にチームに入っていたので…」

「でも助けてくれた事には変わりないだろ?それに、私だって反応出来ていなかった。ありがとう」

「えっと…その……」

照れくさそうに頭をかくリーク様。その後ろにひつ人影の無い所へ向かうライ様の後ろ姿が見えた。

今最も警戒するべき人物はライ様だ。反射的にライ様のあとをつけてしまった


「出てきたらどう?今この場には僕と君しかいないんだから」

意味深な声色でライ様が言った。バレているのならいっそ真正面から話し合おうと思い、姿を見せた。

「ごきげんよう、ライ様」

「あー、君だったのね。えっと〜、シアラ嬢だったっけ?誰かいる事は分かったんだけど君だったんだね〜。君、良いの?こんな僕に付きまとって」

「大丈夫です。お話がしたくって」

「そう?で、話って何?」

その時はまだいつものように明るさが残っていた。


「貴方の目的を教えて欲しいのです」

冷たい風が、私達の間を通り抜けたように感じた。ライ様は前にかすかに見えた冷たい真顔をしていた。

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