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「いつもありがとう」
と、いつもの白い椅子に座ってとき博士は言う。(それからまた大きなあくびをした。猫みたいだった)
「月に変化はありましたか?」淹れたてのコーヒーを大きめの白いカップに注ぎながら、れいは言う。
「なにもないよ。変化なし。月は今日も平和だよ。本当によかった」ととき博士は言う。
それから、淹れたてのいい香りのするコーヒーを一口飲んで、にっこりと笑ってから「朝から美味しいコーヒーをありがとう」ととき博士は言った。
「どういたしまして」と嬉しそうな顔をしながら、自分の椅子(とき博士と同じ形の椅子だった)に座ってれいは言った。
今日の朝ごはんは焼きたての厚いトーストと目玉焼き。宇宙人みたいなたこさんウインナーと、新鮮な野菜のしゃきしゃきサラダ。淹れたてのコーヒー。(ミルクがくるくると銀河みたいに渦を巻いている)いつもの簡単な朝食だった。(めっちゃ簡単に作れるのだ)
とき博士はいつものように真っ白な大きめの白衣を着ている。
長い(さらさらな)黒髪は腰まで伸びている。
とき博士の顔はとても美しくてお人形のように精巧だった。(初めてとき博士を見たときはどこかの国のお姫様か、あるいはロボットかと思ったくらいだった)
その瞳は黒色で、黒真珠のように輝いている。(なんだか、ガラス玉をはめ込んでいるみたいだった)
肌は白くてきめ細かくて、つやつやだった。(私生活のだらしない子供みたいなとき博士をよくいろいろとお世話するために、触っているからわかる)
スタイルも良くて、足は長くて羨ましい。
とき博士はその左目を前髪で隠すようにしている。
その顔はいつものように子供みたいな笑顔だった。(バターをたっぷりと塗った厚いトーストが美味しくてうれしいみたいだった。よかった)
白衣の下には白の(長袖と)ロングスカートのスーツを着ている。
手には白い手袋をしていて、足元は白い靴を履いている。
「? なに? どうかしたの? れいちゃん」ともぐもぐと両手で厚いトーストをもって、食べているとき博士がれいを見て言った。(口元にパンくずがついてる)