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砂漠の拠点

 

 砂漠の中心で出会った赤髪の少女――アカネの足跡を追って歩くこと数十分。辺りは降り注ぐ陽の光で熱された大地が広がっているだけで、一向に景色が変わらない。少し歩けば人の住める場所があると思ったけど、どれだけ歩いても砂だらけの大地が広がっている。長いこと日に当たっているせいか、手足が火傷したみたいに熱くなってきた。雨雲病になったらこんな感じなんだろうか。


 シズクは今どうしているだろうかと考えていると、ふと、アカネは「ここだ」と言って砂漠の中心で立ち止る。


 ここだって言われても、周りには相変わらずの砂漠地帯が広がっているだけで、建物らしきものは見つからなかった。暑さでおかしくなったわけじゃないよな。なんて失礼なことを考えながらアカネに視線を送ると、アカネは相変わらず鋭い眼差しで真下の地面を見つめていた。


「足元を見てみろ。ここだけ質感が違うだろう」

「……確かに、周りの砂漠は踏んだら足跡が付くのにここだけ硬い感じだ」


 言われた通り足元を確かめると、この辺りの地面だけ硬い足場になっていた。


「当然だ。この下が私の拠点だからな」

「……まさか、地下に部屋があるのか?」



 故郷の地面は硬い鉱石質に覆われていて地下に部屋を作るなんて考えられないけど、地面が砂でできてるなら掘るのは簡単そうだ。とは言え、

 穴を覗くと、その下には何も見えない暗闇が広がっていた。

「どちらにせよ休むには手狭だが、我慢してくれ。ドラゴンも小屋の中で休むといい。飛竜と言えど、その大きさなら通れないことはないだろう」


 アカネがジェシーに視線を向けると、ジェシーは手足を羽毛の中にしまい込むようにして地下に開いた穴へと飛び込んでいった。ジェシーの白い体は暗闇の中に飲み込まれてしまったように見えなくなる。


「私たちも行くぞ。なに、深さは人の背丈より少し高いくらいだ」

「別に怖くなんかないさ。俺はあんな高いところにいるクジラから飛び降りて来たんだ」


 俺が自分に言い聞かせるために虚勢を張ると、アカネは満足げに頷き、

 

「はっ、それは勇ましいな。なら、私は先に行っているぞ」


 と言って、勢いよく暗闇に飛び込んでいった。



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