第27章:想い出の日付け:その2
【1980年】
4月8日(火):川崎小学校、始業式。
4月10日(木):新一年生の入学式。この日、美絵子・・・6歳。そして、栗原茂雄・・・9歳。晴れ。校庭は、桜が満開だった。茂雄が入手した、彼女の入学式の集合写真に写っている、校庭の時計は・・・午前11時20分を指していた。
5月1日(木):美絵子たち、新一年生遠足。後年、茂雄がセツさんより頂いた、なつかしい美絵子の写真は・・・この日、『宇都宮動物園』のお化け屋敷の前にある乗り物の前の柵のところで撮られたものだ。
5月12日(月):小運動会。
10月4日(土):秋季大運動会。美絵子たち一年生は、「サンサンサンバ」という曲にあわせて、ダンスを踊った。
12月10日(水):校内マラソン大会。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【1981年】
2月26日(木):学芸会。美絵子は、「王女さま役」で、ヒロインとして舞台に上がるはずだったが、風邪のため欠席。
茂雄は、『ドーブル山の猫』という劇の主役で舞台に上がった。
3月20日(金):卒業式。
3月23日(月):修了式。
4月8日(水):始業式。
5月6日(水):ゴールデンウィークの連休明け。美絵子と茂雄、別方面へ遠足。茂雄、栃木県内の「日産工場」などを見学。
9月28日(月):秋季大運動会。美絵子と茂雄が仲良くいっしょに参加する、二度目にして最後の運動会になってしまった。ちなみに、本来なら、9月26日(土)に、この運動会はやるはずだったが・・・雨天のため、この日に順延となったのだった。
12月10日(木):校内マラソン大会。茂雄は、3位入賞。
美絵子の順位は不明。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【1982年】
2月10日(水):漫画『キン肉マン 第8巻』発売日。この日の放課後、茂雄は、西昇降口で美絵子が友人ふたりとともに、自分を待ってくれていたのに気づく。
「しげおっていうんだよね?・・・しげおくん・・・。」
約2年もの付き合いの中・・・はじめて美絵子が、茂雄の名を口にしてくれた瞬間・・・最初で最後の瞬間だった。
が、彼は、キン肉マンの新刊のことで頭がいっぱいで、「ごめん、オレ、急ぐから・・・」といって、何か言いたそうな美絵子を置いて、ひとり小走りで校門を駆け抜けていった。
あのとき美絵子は、茂雄に何を伝えようとしていたのだろう・・・? もう、いまとなっては確かめるすべもないが、それは、もしかしたら・・・。
2月27日(土):学芸会。茂雄は、『オキクルミと魔人』という劇の主役、オキクルミを演じる。美絵子は、端役だったが、力いっぱい演じていた。
小学校時代で、茂雄が美絵子と会った日の、分かっている正式な最後の日付けの記録は・・・この日が最後となった。
3月19日(金):卒業式。美絵子と、姉かおりは欠席。すでに矢板市にはいなかった。
茂雄が、美絵子に対して冷たく突き放した、あのいまわしい『魔物事件』は、学芸会からこの日までに起きたのであるが・・・その正確な日付けは、もう分からない・・・が、学芸会の翌日ではなかった。
たぶん、第2週の3月8日から3月12日までの、いずれかの曜日だったのだろう。土曜日ではなかった。
その『魔物事件』の翌日から、茂雄が美絵子を学校で見かけた記憶はない。
美絵子が転校して、学校からいなくなったことに彼が気づくのは・・・一週間以上もたった、ある日のことだった。校庭に美絵子グループがいて、その中のひとりが、「あ~あ、美絵子ちゃん、行っちゃった・・・。」と、校庭の鉄棒よりの場所で、さびしそうに茂雄に話しかけてきたのだ。
彼女らは、特に茂雄を責めることもしなかったので、美絵子は誰にも、その『魔物事件』のことを話さずに、真相を胸に抱いたまま、茂雄に別れを告げることもできずに、ひとりさびしい気持ちで、姉かおりとともに、埼玉県K市に去っていった。
でも、そのときには、何らかのスジから、美絵子が転校してしまったという情報を、すでに茂雄は入手していたのである・・・。
3月23日(火):修了式。
4月8日(木):始業式。もう、校庭にも、体育館にも、美絵子の姿はない。
6月3日(木)・4日(金):茂雄たち6年生、東京方面へ修学旅行。
以上。




