第25章
・・・この1980年という年には、同じ4月に、芸能界にも『天使』が舞い降り、世間をざわつかせ始めていた。
歌手『松田聖子』。
季節ごとに、また出す曲ごとにヒットを飛ばし・・・茂雄と美絵子にとっては、かけがえのない「想い出」を作る手助けをしてくれ、歌そのものの魅力でも、彼ら二人を陰で支え続けてくれた「縁の下の力持ち」「恩人」でもある。
いつしか知り合い・・・お互いの存在を認め、やがては愛し合う二人であったが・・・
まがまがしき『魔物の手』は、このときすでに、ふたりの運命を狂わせるべく、手薬煉を引いて、待ち構えていたのである・・・。
そのシーンにおける詳細な描写は・・・処女作『たからもの』第17章に、その任を譲ろうと思う。
1980年度における、茂雄と美絵子の関係というものは、まだまだ、わりとあっさりしたものにすぎなかった。
しかし、登下校で顔をたびたび合わせ、休み時間にふざけあい、追いかけっこや鬼ごっこをしつつ、数々の行事でご一緒し、しだいにお互いの距離というものを少しずつ縮め、さらに接近してゆく・・・
このあたりには、まさに「大人顔負け」の、ヘタなトレンディドラマを蹴散らしてしまうような、ドラマティックで愛あふれる展開というものがあった。
茂雄はまた、彼女と共に楽しく嬌声をあげながら、仲良く追いかけっこをしているときの、あの美絵子の笑顔のひとつひとつが、いつまでも、どうしても忘れられず・・・その幼く愛しい声さえ、その耳にリアルタイムでよみがえるような感覚さえ、五十歳を過ぎたいまも、まるで無数の波のように、それは生々しく押し寄せて迫ってくるのであった・・・。
☆ ☆ ☆
・・・今宵は、ここまでです。
私ですね・・・美絵子ちゃんの話を書く時って、いつもパワーと精神力、エネルギーを消耗しきって、くたくたになるんですヨ。
同時にまた、なつかしくって、楽しくってしょうがないんですけれどね♪
では、おやすみなさい。




