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47 秋の感謝祭5

投稿が遅くなり申し訳ありません。

体調を壊した+仕事が忙しかったために、こんなにも期間が空いてしまいました(泣)

今週はもう少し投稿スピードを上げていけると思います!

完結まで書き続けるので、お付き合いいただけると嬉しいです。


 ユリアは芸術部の展示に異常がないのを確認し、アレクシスとの待ち合わせ場所に行こうとしていた。

「ユリア」

 後ろから声をかけられ、振り向く。

「アレクシス様」

 さっきまでカイナに闘士を燃やしていたのに、急に頭の中がピンク色に染まる。

「私もちょうど向かおうとしていたところだよ」

 アレクシスは今日も美しく微笑んだ。

 そして、ユリアの隣にいたクラウスに目線をやる。

「アレクシス=カイゼン殿下にクラウス=ローゼンがご挨拶申し上げます」

 視線に気が付いたクラウスが礼をする。

「ローゼン伯爵の御子息だね、丁寧な挨拶をありがとう。学生同士だ、どうか畏まらずに接して欲しい」

 言われても、なかなか「それじゃあ」とならないのが貴族の世界だ。

「光栄でございます」

 アレクシスはクラウスの言葉に微笑んだ。

「じゃあ、行きましょうか」

「もういいのかい?」

「ええ、文行部としての確認は終わったわ」

 忙しいのは当日までで、今日は異常さえ起きなければすることはない。

「生徒会長は大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、明日はなかなか身動きが取れないけれどね」

「そう」

 明日はほぼ丸一日かけて行われる剣術大会だ。

 生徒会の主催なので、アレクシスは丸々参加していなくてはならない。

「それではお二人様、私はこれで。よい感謝祭を」

 クラウスは二人に短く礼をし、背を向けて離れていった。

 気を利かせてくれたのだろう。

 アクレシスはその背中を少しの間見つめている。

「彼、魅力的な人だね」

 アレクシスのその言葉に、ユリアは目を見開いた。

「そうね、頼れる仲間だわ」

 ユリアの言葉に、アレクシスが少しだけ眉を下げる。

「でも、私にとってあなたほど魅力的な人は他にいないけれどね」

「ユリア・・・・・」

 アレクシスはぐっと拳を握り、何かを堪えた。

「ありがとう、私にとっても君は世界で一番魅力的な人だよ」

 道の真ん中で、ほんのりと頬を赤く染める二人を、行き交う学園の生徒たちが微笑ましいというように観ている。視線を感じたユリアはハッとし、アレクシスの腕をとった。

「歌劇までまだ時間があるわ。早速展示を回りましょう」

 ユリアはぐんぐんと進み、アレクシスは嬉しそうに引っ張られていった。

 

 ーーーー展示スペースは入り口から凝りに凝っていた。

 入ってすぐに真っ暗になったかと思うと、隙間から光が溢れ、影で模様を作り出している。

 部屋ごとにテーマが変わり、希望や喜びにあふれた作品もあれば、悲しみや嘆きを感じる作品もあった。

 二人は部屋に入るたびに小さな声で感想を言い合い、気になった作品の前に立ち止まっては、意見を交換した。

「2日あっても時間が足りない気がするわね」

 作品も魅力的だが、ユリアはアレクシスと意見を交わし合うのが何より楽しかった。

 アレクシスの好きなものが分かる。

 何を観て面白いと感じ、どのようなものを美しいと感じるのか。

(なんか、嬉しいな)

「そろそろ劇場に行かないとね」

「観劇の後に昼食をとったら、また来ようか」

「そうね」

 一日中一緒にいられる喜びに、ユリアは微笑む。

 アレクシスはそれを見て、美しく微笑んだ。




 劇場の入り口には、生徒たちが列を成して並んでいた。

 混乱が起きないように、座席を指定してから中に入るらしい。

 ユリアとアレクシスも同じように列に並んだ。しかし、座席管理をしている生徒のところまでくると、

「アレクシス殿下とユリア様には正面特別席を用意させていただいております」

と、いわゆるビップ待遇を受けた。

「同じ学園の生徒だ。順番通りで構わない」

「うちの歌姫からの要望ですので」

 アレクシスは平等を望んでも、周りがそれを許さない。

 係の生徒も、板挟みなのだろう、困っている。

「分かりました。行きましょう、アレクシス様」

 ユリアが言うと、アレクシスも観念したように座席のチケットを受け取った。

「仕方がない。ありがたく観させていただくよ」

 小さくため息をつきながら、アレクシスは歩き出す。

 指定された正面特別席とは、ボックス席で、二人と数人の侍従たちが座れるほどの個室のような席だった。

「こんなことならウィリアムも連れてきてあげれば良かったわね」

「呼べばくると思うよ」

「えっ」

「前から思っていたけどユリア、ウィリアムを気に入っているよね」

「えぇっ?」

「まぁ、私にとってもウィリアムは特別な人だから、ユリアが大事に思ってくれるのは嬉しいのだけれど・・・」

(なんでバレたのかな)

「いいかい、ウィリアムは24歳の男の人だからね」

「そ、そんな風に考えたことないわよ」

 ユリアにとって、ウィリアムはマスコット的存在なのだ。

 見ているとなんだか、ご飯を食べさせてあげたくなるのだ。

 泣いている姿を見ると、よしよししてあげたくなる。

(なんだか、弟みたいな感覚なのよね)

「ユリアの弟じゃないからね!」

(心読まれているのかしら・・・)

 アレクシスはじとっとした目でユリアを見つつも、耳につけてある菱形のイヤリングに触れ、囁いた。

「ウィリアム」

 しばらくすると、空中に魔法陣が浮かび、ウィリアムが姿を現す。

「はーい、ウィリアムですよー」

 なぜか、やたらとニコニコしている。

(なんか可愛いのよね・・・)

 ユリアには、以前よりくたびれ方がマシになっているように見えた。

「久しぶりね、ウィリアム」

「ユリア侯爵令嬢様、こんにちは」

「ウィリアム、今忙しかったか?」

「リュシード君とお茶しながら初代国王について語っていました」

 ウィリアムはよほど好きな話ができて嬉しかったのだろう、やや興奮気味だ。

「そうか、良かったらだけど、これから一緒に観劇しないか?」

「え・・・僕が?お二人と?」

「ええ、そうよ」

 二人ともうんうんと頷く。

「せっかくの二人きりの場所で?」

「・・・・・・・」

 ウィリアムの言葉の意味を理解して、ユリアとアクレクシスがボッと赤くなる。

「な、何言ってるの!歌劇を観るのよ!」

「そうだよウィリアム!そんなこと言ったら緊張するだろう!」

「え・・・・?」

(緊張するの?)

 ユリアとアレクシスは見つめ合い、その顔に熱が増す。

「あのー、僕、やっぱり帰りましょうか?」

「いてちょうだい!」

「いてくれ!」

 二人は同時に叫んだ。


 

 

 


 

 

 

 


 

 



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