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25 筆頭魔法使いウィリアム

 ドンという大きな音がした時、ユリアには何が起こったか分かってはいなかった。

 ファビルのアレクシスへの質問責めから逃げ出すために、ユリアはマグリッドの元に避難していた。

 どこかで突然、爆音が聞こえたかと思うと、次々に白煙が上がり、人々の悲鳴がこだまする。

 そしてすぐに、凄まじい衝撃がユリアを襲った。

「いたた・・・」

 吹き飛んだのは、近くのテーブルだ。

 体の上に、何かが覆いかぶ去っている。

「お父様!」

 ユリアを護ろうとしたのだ。

「大丈夫だ、ユリア。少し痛いが・・・ほんの少しだよ」  

 爆風をまともに受け止めたのだ。そんなわけがない。

 テーブルや皿の破片が飛んできたのか、マグリッドは傷だらけだった。

「逃げなさい、ユリア」

「いやよ!誰か・・・」

 助けて欲しいとユリアは周囲を見回した。しかし、周囲のものは皆混乱し、他人どころではない。

 隣にいたはずのアレクシスはいない。

 ふと下を見ると、小さな泥人形が転がっていた。

「お前を護ろうとしていたよ」

 人形なのにすごいな、と言ってマグリッドは笑う。

 一緒にいなかったジュリアーヌとセドリックはどこにいるのか、無事だろうか。

 迫り来る不安に、体が震えた。

 家族の命が脅かされることが、こんなにも恐ろしいことだとは知らなかったのだ。

「テディ・・・・」

 すぐそばの部屋にいるはずだった、あの子は大丈夫だろうか。

(大丈夫、ウィリアムがそばにいるはずだわ)

 よれよれの魔法使いは、本当にすごい魔法使いだ。

(ウィリアムが、きっと助けてくれる)

 ユリアは信じることにした。

 ならば、逃げるのではなく、自分にできることをしなければ。

 もしこの先、本当に自分が王妃になるのなら、今できることを考えなければ。

 ユリアはすくと立ち上がった。

「私、逃げないわ。お父様に守ってもらったおかげで、元気だもの」

 王妃教育の真価が問われるのは、きっと今なのだ。



 

 ウィリアムは四つの魔石の内、すでに二つ分の力がこの場から消失したのを感じていた。

 ウィリアムの魔法を弾いたことから、一つはザフィールが自身の保護魔法のために持っていた。

 そしておそらくもう一つの魔石は、その魔力を元にして、誰かが爆発の魔法陣を複数のテーブルに設置したのだ。

 グレイが発見したのは、爆発の元になった魔石だったのだろう。ウィリアムに回収されるわけにはいかなかった。だからザフィールは仕方なく時間を稼ぐために声をかけたのだろう。

 ウィリアムは考える。

 テーブルクロスの下に隠れたそれを見つけたのがディーンなのだとすると、もしかするとディーンにも何かしらの加護があるのかもしれない。

 しかし、今はそれどころではない。

 大きな爆発の影響で、建物が崩壊しかけている。

 ウィリアムは人々の混乱から一旦目を逸らし、集中した。

 次々と、空中に複数の魔法陣が描かれていく。

 ウィリアムとは違い、パーティーの招待客に混じっていた魔法使いのタラティスとヴァルドは、大広間を覆う魔方陣のあまりの量と美しさに、自身の魔法陣を描く手を止めた。

 それらは完成するや否や天井や壁に吸い込まれ、衝撃により大きくひびが入って、今にも崩れそうだったものが次々に修復されていく。

「治った・・・・」

 貴族の誰かが、信じられないものを見たというように呟いた。

「とりあえず、これ以上の爆発が起きなければ、これで大丈夫」

 爆発の箇所を見れば、壁際や柱の近くばかりだ。

 犯人の狙いは、建物の崩落による王族の殺害だったのではないだろうか。

 しかし、安心してしてはいられない。どうやって持ち込んだのかは分からないが、この場に、魔石はまだあと二つもあるのだから。

「おのれ、ウィリアム=ザッハーク!」

 怒り心頭で怒鳴り付けてきたのは、行方不明のはずのラクルード=メナスだった。

 







 





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