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13 裏切り者

「またか」

 宰相のギャレットから告げられた報告に、エドワードは眉を顰めた。

 その場にもう1人いる王国騎士団長のグレイ=アッシュベルは、同じような事例の報告書を手にして言った。  

「陛下、これで4件目でございます」

 王都近郊で、力の強い魔石が盗まれている。

「魔力を集めているということか」

 ただの魔石ではない。

 災害が起きた時などの緊急時に備えて、魔法使いの魔力が足りなくても魔法陣を使えるようにと備えていた、大量の魔力を満たした特別な魔石だ。

 もちろん、簡単に盗まれることがないように、保護魔法や、認識阻害の魔法がかけられていた。

 しかし、いずれもその魔法が解除された上で盗まれている。警護に当たっていたものは、容赦なく殺されていた。様子から見て、殺害にも魔法が使われている。しかし、魔力の痕跡は残っていいない。

「考えたくはないが、魔塔の者では?」

 国の危機に備えた魔法陣は、ほとんどが魔塔の魔法使いによって設置されている。

 魔法陣を作成した物であれば、解除することも容易い。

「裏切り者がいる、ということか」

「可能性の話ではありますが」

 宰相の考えに、エドワードも頷いた。

「グレイ、シャウジャミアンとの交流パーティーの警備には魔法使いも呼んでいたはずだな。名前は分かるか」

 グレイは警備計画が記された書類を探し出し、名前を読み上げた。

「筆頭魔法使いウィリアム=ザッハーク、魔法陣研究部長ラクルード=メナス、歴史編纂部長タラティス=オムバイア、設置管理部長ヴァルド=ランギュリーの四人です」

「なるほど、いずれも役職もちばかりだな」

 窃盗を実行できそうな、高い能力の持ち主ばかりだ。

「まあ、ウィリアムってことはないと思いますが」

 宰相ギャレットはウィリアムを孫のように可愛がっている。もしウィリアムが魔石の窃盗に加担していたとしたら、ショックで引退してしまうかもしれない。

 王宮に来たウィリアムを自室に呼んでは、餌付けをするようにお菓子を与えていることを、エドワードは知っていた。

「私もそう思う。彼は加護の研究以外興味がないであろう。魔法陣の創作・作成が秀逸だからと筆頭魔法使いの立場を与えてはいるが、本人はそんな立場を露ほども意識してはおらぬ。彼に真実の役職名を付けるのだとすれば、加護研究部員だろう」

 もちろん、魔塔にそんな部署はないのだが。

「では、ラクルード=メナスは?」

 グレイが上げた名前に、二人の顔が引き締まった。

「確か、私がウィリアムを筆頭魔法使いに指名した際、自分の方が力があるのに、とかなり過激に抗議していたな」

「不満がおさまらなかったので、魔塔で魔法陣の作成スキルを競いました。ウィリアムの圧勝でしたが・・・」

「ウィリアムに嫉妬し、敵意をもっている可能性は十分にある。もしくはその敵意が、ウィリアムを指名した陛下に向かうことも・・・・」

 可能性の域はできない。けれど少しでも可能性があるならば、調べる価値はある。

「ラクルードに監視をつけてくれ。第一騎士団からの選出を許可する」

「御意」

 わざわざシャウジャミアンから大使がやってくる直前に行動を起こしていることが気になる。パーティーで何か仕掛けてくるつもりかもしれない。大量の魔力を消費する何かを・・・・・。








 

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