008
翌朝、俺は学校に登校していた。
大人の俺は、1日もすれば高校生活を思い出す。
高校生活は二度目だが、タイムリープしたことが分かればいつも通り取り繕うことは難しくない。
なぜならば、俺には大人の経験があるのだから。
紺のブレザーに、ねずみ色のズボン、黒のネクタイもしっかり巻いていた。
いつも通り、慣れた手つきで着替えていた。
顔を鏡で初めて見て、高校生の俺を黙認した。
学校の玄関も、一回やったから覚えていた。
いやあ、高校生活も二度目だけどこんな風に通っていたのか。
いろんな発見と、記憶の呼び戻しがあった。
玄関で靴を、上履きに履き替えていた。
いつもの朝のルーティンも、懐かしさがあった。
(とりあえずは、最初の対象はアイツか……)
少し奥の方に、三人組の女子がいた。
周りにも三人、真ん中にいる金髪女だ。俺はじっと見ながら、考えていた。
(香美の親友葵だったな。
見た目もギャルっぽいし、すごく話しかけにくそうだ)
女子三人で、和気藹々と話をしているグループだ。
掲示板を背に話をしていた金髪に染めたポニーテールの女が、出羽 葵だ。
他の二人もギャルっぽいし、髪を赤とピンクに染めていて学校内でも堂々とメイクもしていた。
親友という香美の姿は、三人組の中に無い。
(さて、どうやって……)考えながらも、葵を観察する俺。
「何見ているの?」
俺が考えると、すぐに俺の視線に気づいて、俺の方に近づく。
強ばった顔で、睨んでいるのは金髪ポニーテールの女。
「あ、葵……」
「はあ、気安く呼ぶんじゃ無いわよ!キモっ!」
金髪ポニーの葵は、俺の視線に気づいて文句を言ってきた。
不機嫌な顔の葵の後ろには、三人の女子。
腕を組んで、俺を睨んでいた。
「あんた……学原っしょ?」
「あ、ああ」
「やっぱりねえ。
陰キャラっぽいし、聖也とつるんでいるヤツね」
「聖也がどうした?」
「あの子は裏切り者……」
「ボクが裏切り者だって?」
そんな玄関の奥から、一人の男子学生が姿を見せた。
メガネをかけたいつも通りの聖也が、驚くほど落ちついた顔でこちらに歩いてきた。
「そうよ、あなたは裏切り者。あなたはクズよ!」
「まだ、引きずっているのか?」
「うっさい、消えて!」叫んだ葵。
背を向けて、葵が女子達のグループと一緒に廊下の奥に消えていった。
俺が聖也の方を振り返ると、くたびれたような顔でその場にへたり込んだ聖也がいた。
「聖也、大丈夫か?」
駆け寄る俺に、聖也はいつも通り弱気な声でこう呟いた。
「平気……」いつも通りの聖也が、ゆっくりと立ち上がっていた。