表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
二話:望月と遊びに行くとするか
17/55

017

最近、葵と俺は仲がいい。

それでも、学校では仲がいい事を葵はアピールしない。

化粧もしていて、ピアスもしているイケてる女子と、何もない普通の顔の特徴の俺。

俺も無理に、葵との仲をアピールはしていない。


陰キャラの俺と仲がいい事を、陽キャラ葵がなぜか隠していた。

学校を離れたところで、俺と関係を持つようになっていた。


「俺に頼み?」

「うん、あなたにしか頼めないから」

「想像がつくが、聖也のことだろ」

「そう、ね」葵が照れた顔に変わった。

変わった表情だけで、俺は分かった。モジモジしている葵に、俺は口を開く。


「聖也が好きなのか?」

「そうじゃない」即座に、否定する葵。だけど嘘っぽい反論だ。

照れているし、誤魔化すようにジュースを飲んでいた。


「でも、葵が好きなように見えるけど?」

「違うったら、違うんだから!アオイのこと、何も分かっていない……」

「あっ、そ」

強情な葵に、俺はため息をついた。

くそっ、聖也め。結局リア充じゃ無いか。

いろんな事をいいながらも、好きな女子がいるのか。


「で、俺は何をすればいい?」

「関係を修復したいのよ、アオイと聖也の関係」

「半分は、自業自得じゃないのか?」

「うっさい!」葵が睨んできた。

「まあ、その性格を直せばいいだろう」

「わかっているわよ、アオイもそうしたい……

でも、陽キャラを続けるためには、こうやって生きていくしか無いのよ!」

「だから陰キャラを、いじめなきゃいけないのか?くだらない」

俺の痛烈な正論に、返す言葉も無い葵。

人間の汚い一面を見て、マウントを取って自分を正当化する。その思考は、俺は嫌いだ。


「学原に説教とか……マジありえない」

「性格をマジで直した方がいい。

少なくともそんなことをいつまでも続けていたら、お前は将来社会に干されるぞ」

「……分かっているわよ!」

「その考えを直さない限りは……俺は絶対に手伝わない」

「悪かったわよ」

葵は急に、しおらしく頭を下げていた。

申し訳なさそうに言う葵に、俺は腕を組んでみていた。

素の葵は、素直だと俺には見えた。


「分かればいいよ。それでも……俺は何をすればいい?」

「聖也と関係を修復する方法も、考えて欲しいの。

好きなモノとか、今ハマっていることとか……親友のあなたに聞きたくて」

「ゲームじゃないか?

俺との話題では、ゲームの話が多いな。美少女ゲームの話題とか、多いな」

「ゲーム、アオイは詳しくないけど。聖也は、どんなゲームを今はやっているの?」

「『ダイボク』……かな」

「『ダイボク』って何?」

「『ダイ好きな幼なじみにHをおねだりする今日のボク』っていうゲームのタイトル」

「え、な……なにを言っているの?」

驚きと、照れが同時に感情となって現れた葵。


そうだ、葵と聖也は幼なじみだ。

冷静に考えて、聖也は幼なじみを求めているのか。

|ダイ好きな幼なじみにHをおねだりする今日のボク《ダイボク》は、ヒロインに清楚系の幼なじみが二人出てくる恋愛エロゲームだ。

なるほど、聖也の幼なじみ推しの趣味が見えてきたぞ。

目の前のリアル幼なじみ、葵の方を見上げて俺は頷いた。


「学原、そのゲームって?」

「気にするな、気にするな。

ゲームの趣味嗜好は……リアルでは、あり得ないことを追い求めるモノだから」

「なんか、慰めになっていないんだけど。

とりあえず、そのゲームをアオイがやっても……」

「やらなくてもいい……てか、やるな!」

葵がやろうとするのを、俺は必死に止めた。

これは、聖也の名誉のためだ。これ以上聖也の趣味を暴露するのをやめよう。

ゲームの内容を少し思い出してしまい、目の前の葵と重ねてしまう。


「ど、どうしてよ?」

「それは……まあ、やらなくてもいいだろう。

無理矢理趣味を合わせなくても、人は仲良くなれるからな」

「そうか、そうよね」

俺は葵を、どうにか納得させた。

俺は納得させながら、ホッとした顔に変わった。


(ふうっ、聖也の性癖をなんとか守ったぞ)

俺は親友として、なんとか責務を全うした。


「でも、どうするのよ?」

「別に趣味とか合わせなくても、遊びに行けばいいんじゃ無い?」

「あ、そっか。そうよね」

手をポンと叩いた葵が、納得した。

すぐさま、ガラケー携帯を操作していた。


「じゃあさ、明日の放課後遊びに行かない?」

「俺も?」葵が指をさしたのは、俺だ。

「うん、前に学原言っていたけど……カガミンとも話をしたいんでしょ」

「あ……」

「四人で遊びに……ね」

珍しく気が回る葵の提案、かわいくウィンクした葵の提案を断る理由は無かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ