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宇奈月探偵シリーズ

乗り物大好き宇奈月探偵の事件簿ーロシアン貨物ルーレット編。

作者: 隧道坂 燈

「V1!!!ローテート!!!」

「全てが順調だな…。」

「飛行機が落ちなければ。だけどな」

「そうですね。機長」

機体が大きく揺れる。

「どうした!!!!」

「第三エンジンと第四エンジンがだめです!!!」

「おい!!!傾いてるぞ!!!!立て直せ!!!!!」

「無理です!!!機体が言うことを聞きません!!!!」

暗い夜の海に一機の航空機が飲み込まれていった。


僕、宇奈月啓太は煙草を吸いながら、新聞を見ていた。

「探偵さん、私のお給料は振り込んでもらえましたか?」と宇野益海は後ろからのぞき込んで僕に話しかける。

僕はそのことを聞かなかったことにして益海に話しかける。

「それより、おかしいと思わないかい?2機も立て続けに民間のロシア機が墜落した。一機は着陸するときに失敗して大破爆発。もう一機は海の底だ。」

益海は聞き流すように、「一回目はパイロットの技量の問題では?あと、2回目は整備不良じゃないかしら…?」と関心が無さそうに返されてしまった。


事務所の戸が開いたときの鈴が♪カランカランと鳴る。

宇野益海は入ってきた人物に対して、「何か、ようですか?」と訊ねる。

入ってきた女性は涙を堪えながら、「姉を探して欲しいのです。」と写真と特徴や名前の書かれた紙を僕に見せてきた。

僕は手始めに「いつから、連絡が取られなくなったのですか?」と質問をした。

その女性は「5年以上前に、連絡が取れなくなりました。」と言う。

僕は「5年以上前だと、僕の能力では探すのは難しいかもしれないですね…。」とはっきり伝える。

「五年も前だと、行きつけのお店も店員さんもやめていたり、覚えていなかったりするんですよね…。」とも付け加えた。

しかし、その女性は「お金ははずみますから、どうにか探してやって下さい!!!藁にもすがる思いなんです。」

僕は他人から頼まれていると直感したので意地悪に「見つからないかもしれないですが…、先払いでいくら。出せるんですか?」

女性は言う。「いっ今ですか…。」困惑した様子だった。

僕は「今ですよ。今。僕もね、先立ったものがないと動けないんですよ。貧乏事務所で秘書のお金さえも怪しいのでね。で、いくら出せるんですか?」と煙草を灰皿に押しつける。

その女性は「50万円で、どうでしょう。近くのATMで下ろしてきても問題ないですか・・・?」と言う。

僕は「問題ありません。ではその間に書類とかを用意しておくので」と言い席を立つ。

僕はその女性が席を立ったのを見計らい、秘書の宇野に「さっきの女性、どうも怪しい。ちょっと後を付けるからその間に書類を用意して欲しい。」と言いジャケットを着て事務所の裏口から女性を追った。


しかし、僕の感は外れた。

普通にATMでお金を下ろしているだけであった。

僕は慌てて事務所に裏口から事務所に戻ってジャケットを元あった場所に掛けた。

女性はカランカランと戸を鳴らし再び入ってきた。

僕は秘書の用意した契約書を出して女性にサインを求める。

女性の同意を得た上で、現金集計機で札束を数えた。

「50万円。はっきりしっかり受け取りました。しかし、見つかるとも限らないことはご容赦を願いたい…。」と言った。



次の日。

僕は早速情報を元に聞き込みをした。

しかし、探偵といえどもなかなか教えてはもらえなかった。

しかし、一つ興味深いことを知った。

探している薗原みなみには恋人がいたという。

恋人は活動家で何度も過激なことをしていたらしい。

僕は「はぁ。どうして面倒なことに巻き込まれるんだろう…。」とため息を吐いた。




僕は事務所で新聞を読んでいた。

この前のロシア機が墜落した事故で、機体が海から引き上げられたらしい。

僕はかつて伝を使って、事故調査委員会の調査員に電話を掛ける。


そして、事故調査の邪魔をしないという条件で、事故調査に立ち会わせてもらえる事になった。


僕は前回と今回の事故調査資料を渡されたのでそれを暇つぶしに読んでいた。

1回目の着陸失敗事故はロシアや日本側が申告した危険物だけを積んでいたにしては機体の爆発の仕方や損傷が激しいことに気づいた。

「あの、済みません…。」僕がそう言うと、鋭い眼光が一斉にこちらに向く。

「何だ?」調査員の一人は言う。

「1回目の着陸失敗事故ですが、ロシアや日本が申告した危険物の量ではここまでの爆発焼損は起きにくいと思うのですが…。だって乾電池形状のリチウム電池が2本ですよ…。」

調査員は「日本とロシア側の説明では新技術により従来の電池よりエネルギー密度が高いからこれくらいの爆発も不自然では無いと、言われてこっちもこれ以上追求できなかっただ…。」と言った。

僕は「そんな危険なモノ…。そもそも航空機で運ぶとは思えませんけどね…。僕だったら時間が掛かっても確実な船便を選びます。」と言う。

調査員の一人も「普通はそうだ。しかし、この事故。なんか裏がありそうなんだよなぁ…。」と言う。

「裏…?」僕はそう聞き返したが、それ以上は答えてもらえなかった。

改めて僕は1回目の事故の資料を見る。

消火に時間が掛かっているし、燃焼時間も長い。

航空機に積載された燃料以外の燃料があったはずだと考えた。

そのさなか、事故調査委員会の事務所に電話が掛かってくる。

電話に耳を澄ました。

どうやら、1回目事故の時に消火に当たった当直の消防士が体調不良を訴えて復職できおらず、症状から見て被曝を疑って事故調査委員会に電話が掛かってきたようだ。

僕はやっぱりおかしいと確信をした。


僕は事務所に戻った。

秘書の益海は僕に暖かいコーヒーを淹れてくれた。

「ありがとう…。」と言ってそれを持ってデスクへ移動した。

ノートパソコンを開いて指紋リーダを指でなぞりロックを解除して、かつての連れにメールを送った。




3日後

カランカランと鈴が音を鳴らし、ドアが開く。

「よ!啓太。久しぶり元気にしてた?」

僕は「わざわざ、ごめんよ賢治。こんなために呼び出しちゃって。」

「例のモノ持ってきてもらえた?」と僕は急かす。

「持ってきたよ。これでしょ?」と言いかつての連れ島村賢治は僕にガイガーカウンターを渡して、使い方を説明する。

そして、彼は僕にこれも渡した。

「正常に動くか動かないかはこの時計の文字盤にかざすと分かるから。」と言い、電源を入れて袋から取り出した時計に計測部を当てた。

すると、大きく針が揺れた。

僕は「だろうね…。それトリチウムガラスなんだ…。」と呆れたような顔で言った。

島村賢治はうれしそうに「よく、分かったね!!!そう正解!!!」と言う。

島村賢治は事務所を見渡して「宇野益海ちゃんは?」と聞いてくる。

僕は「あの子も僕の手伝いの所為で忙しいからね?」と言った。

島村賢治は「残念だー、益海ちゃんに会えると思って今日はウキウキで来たのにー。」と言うが、僕ははいはいみたいな感じで受け流して適当に帰した。

そして、その日のうちに事故調査委員会の事故機体の保管場所へ向かった。

「危険物を積載していたかどうか、これではっきりするはずです。」と僕は担当者に言って、1回目に事故を起こしたの機体の残骸にガイガーカウンターを当てた。

「やっぱり…。」針は僕の予想通り大きく振れた。

調査員は「国が危険物の積載やガイガーカウンターを貸したがら無かった意味が分かりましたよ…。」と言った。

しかし、ザワついたのは現場以上に上層部であった。

国が事実を隠した所為で実際に消防士に被害が及んだのであったから…。



事務所に帰ったのは遅くなった。

秘書の宇野益海が「あなた様宛です。」と言い封筒を渡した。

宛名は書いてあるが、差出人は分からない。

僕は「益海さん。離れていて下さい。」と言う。

宇野益海は僕の様子を見て、「ただ事じゃありませんね。」と言い、机の影に隠れた。

慎重に封筒の封を切る。

中には便箋が入っており差出人はこの前、姉を探してくれと言った女性だった。

僕は契約時に聞いていたEメールアドレスに今までで分かった情報を書き込んで送った。


そして、紅茶を飲んで一服していると電話が掛かってくる。

僕は「はい、宇奈月探偵事務所です。」と電話を取る。

事故調査委員会の調査員の人だった。

どうやら、調査に進展があったらしく私も呼んでもらえた。

海に落ちた2機目はどうやら、海上からロケットランチャーを打たれた事によるエンジンや主翼の損傷によって操縦不能となって、海上に墜落したであろうと言うことであった。

「この国にいるおおよその一般人が、ロケットランチャーなんか使いこなせますかね…。僕はそうは思いませんが…。」と調査員の一人に言う。

調査員は「しかし、物的証拠からロケットランチャーでほぼ確定であるのと、周辺に落ちた残渣や撃ち損ないから使われたロケットランチャーの型番も分かったので…、ほぼ間違いないかと…。」と言った。




僕は帰りに喫茶店に寄った。

その喫茶店はかつて薗原みなみが働いていたという喫茶店だ。

喫茶店のマスターとも、そろそろ仲良くなった頃だった。

喫茶店のマスターは薗原みなみさんの思い出を話してくれるようになった。

喫茶店のマスターは「そういえば、やめる前に薗原さんは彼氏と一緒にロシアへ行くとか、なんとか言ってたなぁ」と言う。

僕は「それはいつの話ですか!?」と聞き返す。

マスターは「やめる前だから、5年近く前だねぇ。」

僕は「ありがとうございます。」と言って喫茶店を後にした。



僕は事務所で新聞を読んでいた。

すると、携帯に電話が掛かってきた。

さっきまで居た喫茶店のマスターの娘さんだった。

「はい、宇奈月です。」

喫茶店のマスターの娘は「マスターが宇奈月さんと、話したいと言っていますので、今から、喫茶店に来られますか?」と言う。

僕は「今から、行きます。」と言い事務所を宇野益海に任した。


喫茶店の営業時間を過ぎていた。

Closedのたてかけの掛かったドアを開く。

マスターは言う。「いきなり呼び出してしまってすみません…。」

僕は「いえいえ、大丈夫ですから。何か思い出したんですよね。」と言う。

マスターは「この話は誰も居ない方がしやすい…。」と言い、娘に喫茶店2階の居住スペースへ行くように促す。

マスターは重く閉ざした記憶を開くように口を小さくゆっくり開いて話し出す。

「あれは6年くらい前だった、この喫茶店に常連の男性がいた…。その男性は見た目は本当に好青年だった。そして、薗原さんはその男性に一目惚れをした。やがて、その男性も薗原みなみに惹かれていくようになった…。そして、あの話を聞いた次の日から、パッタリと二人は来なくなった。」

僕は「その男性の顔とか、覚えていませんか…?」と訊ねる。

マスターはボロボロの携帯をポケットから取り出して、その男性の写真を見せてくれた。

僕はその写真を自分の携帯に送ってもらい、その男性の名前を聞いた。

その男性の名前は、島原涼太。

僕はその名前をメモした上で、マスターにお礼を言って喫茶店を後にした。





僕は事務所で本を読んでいた。

秘書の益海は「本なんか読んでいて良いんですか…。仕事して下さい…。私の給料が出ないじゃないですか…。」と言う。

僕は「手詰まりなんだよね…。これ以上…。」と言って本を置いて、テレビを付ける。

ちょうど、時報代わりニュース時間だった。

ニュースキャスターは「警察はロシア機が撃墜された事件で、重要参考人の男を逮捕したと発表しました。」と読み上げた。

僕は「捕まったんだ。」と言う。

しかし、次の瞬間。

僕はあまりの驚きに無言になった。

「逮捕されたのは、島原涼太。35歳で一回目の着陸失敗事故についても関与をほのめかし…」

僕の頭にはこれ以上入ってこなかった。


郵便受けに何か入ったようだった。

秘書の益海が取りに行こうとするが、僕はそれを止めて自分で取りに行った。

差出人の書かれていない封筒だった。

僕はため息を吐いてから、それを開けた。

差出人は書かれていないが、1枚の原稿用紙にびっしりと文字が書かれていたうえ文字は裏にまで及んでいた。

「今頃、俺は逮捕されているだろう。そのうち国家権力に消されてしまう。だが、少しくらいは爪痕を残したいのだ。協力してくれないか。俺とみなみのためにも。俺はこの国を本気で憂いている。だから、あのような行動をしたのだ。たのむここにから分かる情報を調べて、本気で開示をして欲しい。お願いだ。」と表面。

裏面にはよく分からない文字列と、パスワードと思しき文字列があった。


僕は興味本位で調べると、とある文章ファイルにたどり着いた。

そして、パスワードを入れる。

すると、あっさり解除された。


そして、目を疑う。

墜落したロシア機と同型の図柄にロシア語で何かが書いてある。

僕はそれを翻訳に掛けた。


一番上は、使用機材と便名であった。

便名は着陸失敗事故を起こした便であった。


積載物はプルトニウムやウランなどからニトログリセリンまで両国から申告の無い危険物を積載しているような感じであった。

僕はため息を吐いた。


そして、プリンタの電源を入れてページを印刷した。

そして、文書ファイルをローカルに保存した。


ガタン。

ポストに何かがまた、入ったようだ。

大きめの封筒で、中身がパンパンに詰まっていた。

封筒を慎重に開ける。

英字文章が大量に入っていたので、スキャンして翻訳を掛けた。


そして、日本語になった文章を読んで僕は言った。

「これが真実なら、相当に腐っているな」

秘書の益海は「どうしたんですか…?」と僕に聞く。

僕は巻き込みたくなったので「いや、何でも無い」と誤魔化した。

しかし、益海は「私だって、秘書です。あなたのたった一人の秘書なんですから、情報は共有してくれないと仕事は出来ません。」と言った。

僕は「巻き込まれる覚悟は出来ているのか?」と言う。

秘書の益海は「えぇ、もちろん。出来ていますわ。」と答えた。

そして、英語で書かれた方の文章を渡した。

益海は英語が出来るから。


益海は言う。「日本はロシアから核資源や危険物を得る代わりに、軍事機密をロシアに渡すっていう契約をしたですね…。この文章が本当であるならば。」

僕は「そういうことになるな…。ただこの文章は真贋不明だし、誰が送ったかも分からない。原稿用紙に書かれていた方も分からないが、まぁ、おおよその見当は付くような気がする。」と答えた。


次の日。

僕は再び喫茶店に向かった。

しかし、様子がおかしい。

定休日でも無いのにClosedだった。

僕はドアを開ける。

マスターはいつも通り立っていた。

僕は「どうしたんですか…?」と訊ねる。

マスターは黙ったままだ。

僕は原稿用紙を広げて、「この文字。見覚えありませんか?」と訊ねた。

マスターの顔色が変わった。

おそらく身に覚えがある上、この前から私が聞いている人物の文字だったのだろう。

筆跡的に。

「ありがとうございました。」とだけ言い、僕は喫茶店を立ち去ろうとする。

マスターはカウンターから出てきて、「娘がさらわれたんだ。探してくれないか!!!あんた探偵だろ!!」と言った。

僕は迷った。

ただでさえ、受けた案件が複雑化しているさなかの依頼だった。

しかし、秘書の宇野益海からの電話で事態は急転した。

秘書の宇野益海が買い出しに行っている間に、事務所が荒らされてノートパソコンや届いた英語の文章が消えていた言うのだ。

僕はマスターに「ごめんなさい、急用が…。」と言い立ち去ろうとする。

マスターは「その筆跡は、島原涼太の字で間違いない」と言った。

僕は「ありがとう」と言いそのまま慌てて事務所に戻った。

事務所はすごい荒らされようだった。

秘書の宇野益海は「ごめんなさい、私が買い出しに行ったばっかりに」と泣いていた。

僕は「益海さんが無事で良かったよ…。」と言い益海を慰めた。


僕は机の下に目をやった。

金色に輝く何かが落ちていた。

僕は手袋をはめてそれを拾った。

国会議員のバッジであった。

僕はそれを小さいジッパーに入れてポケットにしまった。


僕は事故調査委員会の知り合いに電話を掛ける。

「今、忙しいから後にしてもらえる」

僕は「ちょっと急用で…。」

その知り合いは「で?なに?」と言う。

僕は「1機目の明確な事故原因は分かった?」

知り合いは「調査段階だったんだけど、議員が来て直々にやめるように言ってきたんだよね。これ圧力だよね。」とすこし怒りの混じった様子で言った。

僕は「それは誰だった?」と聞く。

知り合いは「斉藤恭二だね。地元の有力者。あっでも今日は議員バッチを付けてなかった。」

僕は「ありがとう。貴重な証言。」と言い電話を切った。

議員が単独で動いた。

すなわち、その議員に取ってかなり不都合があるから回収した。

そうに違いないな。

僕は確信した。

僕は前職のつてを使い、信頼できる知り合いに議員バッチを預けた。

僕は秘書の宇野益海に「しばらく休暇を取った方が良い、ここは危険だ。」と言う。

しかし、秘書の宇野益海は「私は最後まで、ここを一緒に守ります」と。

僕は「ありがとう、でも、気持ちだけ受け取っておくね。」と言った。





しかし、僕がトイレでちょっと取り込んでいる間だった。

裏口のドアが開く音がした。

僕は慌ててトイレから出る。

そこには強面の男がいた。

「議員バッチはどこやった。」その男は聞いてくる。

僕は「あなたを雇った依頼主をここに連れてきていただければ、議員バッチがどこにあるか、教えても良いでしょう。」と言う。

すると、事務所の表のドアがカランカランと鈴を鳴らして開いた。

やはり、依頼主は斉藤恭二だった。

「やはり、あなたでしたか。僕の事務所を荒らしたのは…。」

斉藤恭二は「んなぁこたぁどーでもいい。俺の議員バッチはどこやった。」と僕に詰め寄った。

僕は「知り合いに預けました。大切なモノだと思ったので。」と言う。

斉藤恭二は「その知り合いは、どこのどいつや。」と僕に更に詰め寄る。

僕は「祖父、宇奈月俊藏に預けました…。」と嘘を吐いた。

斉藤恭二は舌打ちをして「クソッッッッ」と言い事務所から立ち去った。

宇奈月俊藏は引退こそしているが、大物の政治家だった人だ。

僕はこっそりとポケットに挿したペンで様子を録画していた。

これをネットに公開した。

これを機に国会でこの事が取り上げられて、野党から追及を受ける事になった斉藤恭二。

その中で、動画を上げた私は国会に参考人招致で呼ばれた。

僕は議員バッチは警察に預けたことを言った上で、事務所が荒らされたのは動画の時が2回目で資料を奪われたことをその時に言う。

野党から資料についての質問が来た。

僕は洗いざらい話して、それが斉藤恭二の事務所にあるはずだと言った。

特捜部がすぐに動き、斉藤恭二の事務所から僕の事務所を荒らしてまで奪った英語で書かれたロシアとの密約文章や僕のノートパソコンが見つかった。

その後、斉藤恭二は議員資格を剥奪されて逮捕されることになった。


僕は拘置所に向かった。

最初に受けた依頼を完成させるため。

島原涼太は出てきた。

島原涼太は言う。「ありがとう、あんたならやってくれると思った。」

僕は「それほどでもありませんよ。」と笑顔を見せる。

島原涼太は「あんたが聞きたいのは。俺の彼女。薗原みなみがどうなったかだよな。」

僕は「そうですね。依頼を受けた以上は探さなくてはなりませんから」と答えた。

島原涼太は「あいつは俺と一緒にロシアに行ったが、俺たちは異邦人だったからロシアでは貧乏だった。だから、あいつは病気になって死んだ。なんとか申し訳程度のお墓は作ることが出来て、現地の人に管理を頼んでいる。」

僕は「ありがとうございます。あと、僕からも一つ良いですか?」

島原涼太は「かまわない。」と答える。

「どうして、あの便に密輸品があるって分かったんですか?そして、なぜそれを阻止しようと思ったのですか?見逃していたら、あなたはこうして捕まることもなかった。」僕は疑問を投げかけた。

島原涼太は「俺はこの国が好きだから、この国を憂いて行動を起こしただけだ。良いだろ、そのくらいで。」と答える。

僕にはそれが嘘だと言うことくらい分かった。

僕は「ありがとうございました。これで依頼主さんに報告が出来ます」と言い拘置所を後にした。








カランカラン。

ドアの鈴が鳴り扉が開く。

依頼主、薗原みかが来た。

僕は「大変、お待たせしていしまし、申し訳ありませんでした。」と謝った。

薗原みかは「居場所が分かったんですね。」とうれしそうだった。

僕は「あの大変申し上げにくいですが…、分かったには分かったのですが…、お姉さんはすでに亡くなっています。お墓はロシアのサンクトペテルブルクにあり現地に住んでいる人が管理をしてくれているみたいです…。」と告げる。

「なんとなく、分かっては居たんです…。毎年手紙が来ていたのに突然来なくなって…。」薗原みかは泣いていた。

僕はただハンカチを差し出して、涙を拭くことしか出来なかった。

そして、薗原みかは事務所で半日泣いて暗い足取りで事務所を後にした。

僕は「本当にこれで良かったのかな…。」と呟く。

秘書の宇野益海は「宇奈月さんは悪くないですよ、伝えにくい事実も伝えるのが探偵の仕事ですから。」と言って僕の頬を流れた一筋の涙をハンカチで拭ってくれた。

この作品は初めて大方のプロットを書いて、大体それに沿って書いた作品です。

楽しんでいただければ幸いです。

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