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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
2 ダンジョン探索編
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2プロローグ『ダンジョンに潜ることになりました』

「え?」


ウィクが驚いている。まあ無理もない。最初、あのおかわいい部屋にて勇者になれるって聞いたときは大喜びしていたやつが急に勇者やめるって言い出したんだ。当然の反応だろう。


「ほ、本当にやめるの?」


「ああ。なんか勝手にモンスターがじゃんじゃん寄って来るような職業に就きたくない。」


「で、でも、みんなにちやほやされて…」


「今思い出したが俺は目立つことがあまり好きじゃないんだ。」


・・・・・・・・


「まあいいや。職業が変わってもさおきくんであることは変わらないから。」


今の間なんだったんだ?でもあきらめたみたい。まあ何を言われようと俺は勇者をやるつもりはない。


「じゃあお腹も空いたことだし、ご飯食べに行きますか!」


「行こーー!」


いろんなことがあったが俺たちは元々俺が持っていたBPを使ってご飯を食べた。


「おいしかったね〜」


この世界のものって大抵おいしいな。ちなみに、俺は料理の腕としてはカレー程度のものなら問題なく作れる。だがあまり難しいものだと厳しい。


この町に来た目的を済ませたといえば済ませた。だがウィクがなにか物足りなさそう。


「さおきくん、なにか依頼受けてみようよ。」


冒険者ギルドに来たからには依頼って感じか。まあちょうど昼すぎぐらいだしいいだろう。


俺たちは2階から降りて1階の受付のところに行った。依頼用の掲示板に結構な数の依頼の紙が貼ってある。

シンプルにモンスター討伐や荷物運びのお手伝いまでいろいろある。


俺は報酬について受付の人に聞いた。

まず、依頼で個人依頼とギルド依頼に分かれていて、個人依頼は依頼を終了したときに報酬がもらえるらしい。なお、個人依頼で報酬がもらえなかった場合はギルドが厳正に調査をして、嘘をついていた方に罰則が下るらしい。


ギルド依頼はBPかお金かのどちらかがもらえ、個人依頼はお金のみとのことだ。


聞き終わってまもないころ、一人のおっさんが話しかけてきた。


「おう坊主、新入りか?」


軽い武装をしていて結構強そう。


「はい。今なににしようか選んでいたところです。」


「これは俺のおすすめなんだがなぁ、ダンジョンに潜ってみたらどうだ?」


「ダンジョン、ですか?」


ダンジョン!モンスターとかが出てきてそれを倒したら宝箱とか出てきてお宝とかゲットできるあのダンジョン!


「これだね。」


ウィクが依頼の紙を持ってきた。


【ダンジョンに潜ってみよう!】

1チーム30名で合計3チームまで可能!あと2名募集中!


「あと2名かぁ…」


まさか、俺とウィクでちょうど2名じゃ…


「これ!これやろうよ!」


ウィクがそのダンジョンに書かれた紙を指しがなら言っている。ああ、やっぱり。こうなるんだな。


「坊主、この嬢ちゃんと知り合いなのか?」


さっきのおっさんがまた話かけてくる。


「ええ、まあ。」


どうやって答えればいいかわからなかったため、俺は言葉を濁して答えた。


「青春だねぇ。」


「違いますって!」「違います。」


2人とも否定した。だがさおきの方が少し顔が赤い。


「さおきくん、これでいい?」


ウィクがダンジョンでいいか聞いてくる。俺はもう一度依頼掲示板を眺めた。


よくよくみると意外とろくなものがない。ウルフ討伐は危険そうだししかも冒険ランク5以上の人じゃないとダメ。一番多いのが荷物運び。まあ商業が盛んなことだけあって荷物運びなどで人手が足りないのだろう。

掲示板の半分が荷物運びだった。


他には主にモンスター討伐が占めている。前に倒したイノシシたちや強そうなウルフなど。

荷物運びは抵抗感がある。かと言ってモンスター討伐は昨日と一昨日おとといにしたばかりだから気が進まない。

しょうがない。ダンジョン、潜ってみるか!


「他にいいものがないし、いいだろ。」


「じゃあ私、受付に行ってくるね。」


ウィクは受付に行って依頼の承認をした。


「私たちは残りのCチームに入るって。」


そういえば3チームに分かれるとか書いてあったな。


「お!坊主、俺と一緒のチームじゃねぇか!」


さっきのおっさん。まだいたのか。


「14時にダンジョンの前で集合らしいから、遅れるなよ!それじゃ、俺は行くわ。」


「また後で。」


さて、あと1時間程度。なにするか。


「さおきくん、これからちょっといい?」


「いいけど。」


ウィクがなにかしたいことがあるらしい。


俺たちはギルドを出て、街中を歩いていた。ウィクが行きたいところがあるらしく、俺はただついていくだけ。


その場所が…


「雑貨、屋?」


あまり生活必需品というほどの便利な商品は置かれていないがあったらいつかは使えるものばかり。間違いない。雑貨屋だ。


「そう!雑貨屋。」


「なんでこんなところに行きたかったの?」


「ほ、ほら、私も魔女になったわけだし、そういう道具が欲しいかなぁって。」


あ、はい。理解しました。そしてなんでウィクは口ごもっているんだ?


「じゃあ買おっか。」


雑貨屋に入りウィクは道具を買って、俺は適当に見物した。


「どうかな?」


ウィクが魔女のバージョンの服に着替えてきた。黒の大きな帽子をかぶっていて、さっき着ていた服の上にちょっとサイズが大きいジャケットみたいなのを着ている。そして左手に長いほうき。典型的な魔女である。


「いいと思うよ。」


普通に答える。


「ほんとに?」


ウィクが顔を近づけてきた。近い!


「い、いいと思うよ。」


少し戸惑ったが冷静に答える。もしかしたら顔が赤くなっているかもしれない。


「さおきくん、顔。」


やっぱり赤くなってたーーー!


「はい、これ。私からのプレゼント。」


そう言ってウィクは俺に中央に赤い結晶がはまっているバンドとほうきをくれた。俺の分も買ってたのか。


「このバンドの赤い結晶はなに?」


聞いてみた。すごいきれいな結晶である。その結晶が太陽の光に照らされてさらに赤く輝いている。


「それを通して魔力が流れる仕組みになってる。その結晶の色が赤の時は魔力満タンの状態で青の時が少ない状態で緑の時が供給中。」


へー。便利なバンドだな。


『クッ…私の仕事が…』


(ああ、久しぶり。)


『私の仕事を奪わないでほしいですね。』


(まあいいじゃねぇか。)


「さおきくん?」


「ごめん。ボーっとしてた。」


(じゃあな。ダンジョンで困ったら頼りにしてるから。)


「また1回限りの使い捨ての魔法かけておいたから行くよ!」


俺の中にいるあいつとのやりとりもありつつ、俺たちはダンジョンに向かった。


「ウィク、どうやったらこの魔法が使えるんだ?」


気になっていた。ただ手の平と2本のほうきの下に魔法陣を出すだけでこの魔法が使える。


符呪エンチャントのこと?」


符呪エンチャント


符呪エンチャントは魔法を付与するって意味。戦闘とかではあまり使われないかな。私が知ってるもので符呪エンチャント"獄炎ヘルフレイム"くらいかな。」


符呪エンチャント獄炎ヘルフレイム?すごい強そう!


符呪エンチャントはさおきくんの作った付与スキルと魔法を組み合わせることによってつかるようになるからさおきくんでも使えると思うよ。」


早速応用している。これが才能ってやつなのだろうか。


「あとさ、もう1個いい?」


「いいよ〜」


気軽だ。まあ逆にそっちの方がいい。


「ウィクはなんでこっちの世界に来たの?」


「それは、私が400年分の休暇をとってきたって言ったじゃん!」


そこじゃねぇんだよ。


「ごめん。質問が悪かった。なんで俺と一緒に来たの?」


「…え?」


また驚いている。


「なんでって…私………」


ウィクがさおきとあってから初めてさおきの質問に黙りこんでしまった。

風が冷たく体にあたってくる。向かい風だから一層強い。


さおきが質問してしばらく経った。ウィクがずっと黙りこんでいる。


「悪い。答えが出ないならそれでいい。ただ気になっただけだから。」


「………うん……」


ダンジョンの入り口に着いた。たくさんの人がいる。みんな冒険者なのだろうか?


俺たちはほうきから降り、集合場所に向かった。


「そういえば、さおきくんずっと座り方変だったね。」


「来る時の座り方で慣れた。」


今じゃもう、普通に跨いで座るより両足を片側に並べて右手を前の方において座った方が風もあたるし、気持ちがいい。これは一生直せないな。

そもそも魔女でもなんでもない男子が隣にいる魔女と一緒にほうきに乗って移動するのはどうかと思うが…


「よく聞け!」


一番前にいる人がなにか叫んでいる。チームのリーダーだろうか。


「今Bチームがアクシデントに見舞われたらしい!それで我らCチームから先に入って救援する人を10名選抜しようと思う!もちろんこの俺、ルグシアを含めての10人だがな!」


リーダーはルグシアっていうのか。リーダーであるからには相当な実力の持ち主だろう。


「どうやって決めるんだよ!」「そうだ!俺たちはダンジョンに宝を取りに来ただけだ!」「そんなアクシデントに巻き込まれてたまるか!」


いろんな文句や行きたくないなどの声が上がっている。俺も行きたくはない。だが、どうせリーダーを除いて9人が選ばれるんだ。運に祈ろう。


「今からくじ引きで残りの9人を決める!くじなら文句はないだろう!」


誰も反論しない。さすがだ。こういうところもしっかりしている。


「当たるな当たるな当たるな…」「行きたくない行きたくない…」


みんなが当たるなと祈っている。こんなにハズレが欲しいくじは初めてだ。


ルグシアがくじを一つ一つ引いていき、多くの人が一喜一憂。どうやら自分は行かなくて済みそうと思ったその時だった。


「10人目は、さおき!」


俺の名前が挙がった。よくあるオチだな。


「さっき名前を呼ばれた者は前へ!」


「さおきくん、かんば!」


ウィクから激励の言葉をもらう。


「そのバンドの結晶がある限り常にさおきくんに魔力が供給されてるから。でも、さおきくんが死んだ瞬間にその結晶が割れるから。私はさおきくんが死んだかどうかわかるってわけ。」


俺を監視してるのかあいつは。てか、生死までわかるなんて大した結晶だなぁ。


「じゃあ、行ってくる。また後で。」


俺は前に出た。みんな武装していて強そう。俺だけ弱そうだな。


「お?あのときの坊主じゃなぇか。」


ギルドで会ったおっさんだ。なんでここに…って呼ばれたからか。


「ここまできて名乗らないわけにゃいかねぇな。俺はレクライトだ。坊主は?」


「さおきです。」


「珍しい名前だなぁ。よろしく!」


「よろしくお願いします。」


「そんなに堅苦しくしないでいい。俺はそういうのがあんまり好きじゃねぇんだ。」


「わかった。」


俺は、アクシデントに見舞われたBチームを助けに、ダンジョンに潜ることになったのだった。



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