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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
1 勇者なんてやめた編
8/58

『勇者なんてやめて旅をすることにした』

無事にヤムリエに到着した俺たちは冒険者ギルドに向かっていた。


「えっと、降りれば自然と魔法が消えるの?」


「そう。試しに降りたらもう一回座ってみたら?」


試しにもう一度座ってみた。


「浮かないねー」


しっかりとしているな。魔法にも種類がある。それをうまく組み合わせて活用することによって生活に役に立つものになる。この魔法のように。


なんか急に真面目なことを考えてしまった…


「早く早くー!」


ウィクは先にある検問の方で手を振っていた。笑っていてすごく楽しそう。


「ちょっと待ってー!」


俺も検問の方まで走っていった。


検問では主に荷物検査やここに来た理由等をきかれた。荷物検査はまだしも、来た理由をきくのが理解できない。なぜ来た理由を言わなければいけないのだろうか。貴族とかの暗殺とかを防ぐためだろうか?


そうこう思っていたうちに検問が終わり、俺たちはヤムリエに入った。


昨日の夜にウィクが商業が盛んな町だと言っていたがまさにそうだろうと身をもって実感した。

町自体が活気を帯びているようだった。大通りには手紙などの配達員や見回りの騎士、その他にもおそらく取り引き用の馬車がたくさん。お店も多い。


いろんなお店に目を向けていたらあっという間に冒険者ギルドについた。

結構高さがある。冒険者ギルドの周りにある建物はそんなに高くないため際立って見える。


「入ろう!」


ウィクがなんか今日は前とは違ってやけに上機嫌だ。なんかいいことでもあったのか?


「なあ、なんで今日はそんなに機嫌がいいんだ?」


「?」


どうやら本人に自覚がないらしい。


「強いて言うなら、こういう町に来るのが初めてでワクワクしてる!」


そういうことか。道理で。初めて行くところは誰だってなにがあるのかワクワクするもんな。


こうして、俺たちはギルドに入った。


「いらっしゃいまーせー」


なんか変な''いらしゃいませ''だった気がするのは気のせいだろうか。


「今日は買い物ですか?討伐ですか?それとも…」


だんだん声が小さくなっていく。


「もしかして、新規の方ですか?」


え?わかるものなの?すげぇな。


「私が新規で、こっちは元からいまーす!」


!?俺が元からいたってどういうこと!?


「混乱してると思うけど、さおきくんは前に冒険者ギルドに来たことある設定になってるから。」


なんで?俺冒険者ギルドきたことないよ?


「その証拠に、カバンの中見てみて。」


カバンをまたあさった。ミニポケットからカードが出てきた。俺の名前と使えるスキルが刻んである。


【さおき】 職業 勇者

冒険者ランク 2

所持スキル 風魔法全般、氷魔法全般、テレポート

適正 闇


「それでは、さおき様はこちらへ。」


「はい。」


ウィクはそのカードを作りに行ったらしい。にしても、いつのまに俺がこんなカード持ってるんだ?しかも職業がちゃんと勇者になってる。


俺は案内の人1階上がってたくさんお店があるところへ案内された。


「ここで冒険者ポイント《BP》で買い物ができます。他にもBPで飲食をしたり、装備などを整えたりすることができます。どうぞお楽しみくださいませ。」


ということで、ここで買い物とかができるようになった。1BP=金貨1枚らしい。少し店を見て回った。装備は高いもので10BP、安いもので3BPしかない。


「終わったよ〜」


ウィクがきた。俺と同じカードを手に持っている。


「はい、これ。」


ウィクがカードを見せてきた。俺のと同じように名前


【ウィク】 職業 魔女

冒険者ランク 1

所持スキル 風魔法全般、氷魔法全般、テレポート、付与

適正 風


なんで魔女?でも、冒険者ランクは1なんだな。あと、


「なあ、さっきから気になってたんだけどこの適正ってところはなに?」


そう言って俺はウィクにカードを返し、ウィクは自分のカードを見ていた。そして、うんうんと頷き、


「ああ、それね。そこは適正の魔法。その適正ってかいてある種類の魔法を使うと人一倍強いのが打てるってことだね。」


俺は自分のカードをもう一度見た。

適正の魔法か。俺は、闇!?ろくな魔法がなさそうだな。でもウィクが風なのは納得だ。アドバンテージのおかげか、ウィクは俺より風の魔法がうまく使えている。あとは、


「で、なんで魔女なの?」


いつのまにかウィクがキラキラした何か期待をしているような目でこっちを見ていた。


「で、なんでそんなキラキラした目をしているんだ?」


「さおきくんがなにか奢ってくれるかもって思ってるから!」


おご…、こいつめ…全く仲間がなにか理解していない。


「あのなぁウィク。奢るとかよりも俺たちは仲間なんだから、俺がおまえの分まで買ったりするのは当たり前だろ?俺はウィクのこと信用してるから。」


こんなきれいごとをいざ言ってみると案外すごく恥ずかしいものだな。


ウィクがなにやら驚いている。まあ仲間なんだからそんくらい当然…


「さおきくん…」


?急に気まずい雰囲気になったぞ…これはまさか、よくある格好つけたらくる、痛いってやつなのか?


悪い方向にしか頭が動かない。頼む、どうか痛かったというのだけは!


「ありがとう!」


急に抱きしめてきた。ちょっと苦しい…


「お、おい、一応公衆の前だぞ!」


俺はウィクに囁いた。ウィクがまた、感情を抑えたのか、急に俺から離れた。


「ご、ごごごごめんね!」


まあふと思い返したら急に恥ずかしくなったのだろう。その証拠に、ウィクの顔が少し赤い。こんなウィクは初めてだ。


「さおきくん、ありがとう。私を仲間だって言ってくれて!」


すっかりいつものウィクに戻った。


「で、さっきの答えなんだけど…」


まだなんで職業を魔女にしたのか聞いていない。俺が思うに、どうせ強そうだからとか、偉そうだからとかそういうものだろう。


「魔女にした理由は、」


「理由は?」


念のための念押しをする。


「私、魔力多いから、魔法を連発とかできるから魔女にした。魔女って魔法のエキスパートだからね!」


ふむふむ…


「さおきくんの勇者の職業、すごいんだよ!」


すごい?まあ勇者だから当たり前か。


「そこじゃなくて!」


また心を読まれた!どうやって読みとっているんだ?俺にもできるんならすぐに教えてもらおう。


「ああ、乙女の勘ってやつだから。あきらめて。」


すぐに否定された。乙女の勘って言っても、限度があるだろ!限度が!当たりすぎでしょ!

ってそんなことは置いといて!


自分でツッコミあっている。ウィクが呆れたような感じで俺を見ていた。


「で、勇者のすごいところは、自然とモンスターが寄ってくるところ。」


「はい!?」


モンスターが寄ってくる!?なんか良さそうで悪い効果だな。


「例えば、さおきくんがモンスター討伐とかに行ったら、さおきくんが動かなくてもモンスターが自動的に来るの。」


モンスター討伐においてはすごい便利な効果だ。でも、この効果のせいでいつでもモンスターがたくさん寄ってきたらそれはそれで困る。しかも大物とかが来たら対処ができない。


これはちょっとした余談だが俺は目立つことがあまり好きではない。

勇者って一回モンスター討伐したら「勇者様、またお願いします。」とか「勇者様がいれば私たちは最強だー!」とか「俺たちには勇者様がついてるから大丈夫だろ」とかになりそうだ。


うん。決めた。


「ウィク、さっきウィクが行ったところに案内してくれ。」


「いいけど、情報の更新?」


「そう。」


俺はそこで情報の更新を行った。だが俺がやりたいのはそれではない。 さっき情報を更新した機械とは別の機械の前に立った。


そして、職業の枠をタップする。


「え?さおきくん、職業変えるの?勇者やめちゃうの?」


ウィクが問う。その問いに俺はその機械の前に立ちつくしてしまった。急に頭が真っ白になる。

勇者になりたい気持ちと目立ちたくないなどの自分の気持ちが交錯する。


だが俺の答えは、決まっている。ウィクや他の人に何を言われようとこの答えを変えることはない。


「俺は、勇者なんてやめて旅をすることにした。」



次回から新章に入ります。

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