表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
自分たちで魔法を作った編
54/58

『製作開始!』

ひと段落して、アミリエたちの実験室(亜空間)に資料を全て運び終えて、ようやく魔法を作る続きをするころには、すっかり陽が落ちかけていた。


「ふぅ〜、ようやく終わったー」


「そう、だな…」


疲れを象徴するような顔をして、そのまま自分のイスにもたれかかるアミリエ。同様に、ネメシスも寝返りで落ちてしまわないようにするためか、少し仕切りがあるベットにダイブ。


一方で、さおきは驚きを隠せずにいた。たくさんあるのだが、特に驚いたことが3つ。1つ目、それはこの研究室の構造だ。さすが見た目はあんな子供でも、中身は天才なんだと思い知らされるような構造をしている。


大まかに説明すると、実験室全体が円形になっている。

右半分がアミリエ、左半分がネメシスの所有地と言ったところだろうか。それで、上を見渡すと夜空に星が輝いている。この部屋に電球らしきものがないため、あれが照明代わりなのだろう。


それに、真ん中にある大きな魔法陣が刻まれた個室。外から見ると透明になっているのだが、中に入ってみると外が見えない。しかも、すごく頑丈に作られている。


次に、今アミリエがもたれかかっているそのイスだ。

よくあるゲーミングチェアに非常に似ているのだが、微妙に違う。

おそらく、これも作り込んであるため、便利な性能がたくさんあるのだろうが、なによりもふかふかそうなのだ。


「いや、まさかな…」


さおきがゲーミングチェアだと思った一番の理由はそのデザインである。ネメシスのイスも同じチェアだったのだが、デザインがまさにゲーミングチェアそのものと言っても過言ではない。


「リア、このイスって誰が作ったんだ?」


「? 私とお姉ちゃんで作ったよ?どうかした?」


「いや、別に…」


単なる偶然だろう。

そして、最後にこの部屋のきれいさである。アミリエの方は整っているのに対し、ネメシスの方は前に夢に見たときのように魔法書や資料が山積みにされていて、通ることすら一苦労だ。


「ほんとに、どっちが姉でどっちが妹なんだか…」


呟いた瞬間、アミリエがピクリと飛び起きた。さおきはすぐに、なにかまずいことでも言ったかとさっきまでの記憶を思い返す。


「さおきたちは勘違いしてるかもだけど、私とお姉ちゃんは血繋がってないから」


「?」


頭が真っ白になり、思考が停止する。数秒後、さおきはアミリエの言葉を理解し、


「はーーーーー!?」


1人の少年の叫び声が研究室に響き渡ったのだった。


「急にそんな衝撃的な情報ぶっこまないで!?普通に思考停止するし、なにより一日にたくさん情報ぶっこまれるとやられる側も結構きついから!」


「もう大丈夫。そんな情報はないから」


「だといいけどな?」


「でも、驚いたでしょ。私とお姉ちゃんの血が繋がってないって」


確かに、驚かなかったといえばさっきの叫びは何だったんだということになる。正直、あの叫びのあと、さおきは少し安堵した。


アミリエとネメシスの姉妹感はものすごくあって、誰もが一回みれば姉妹だと思ってしまうだろう。だが、その姉の中身が妹と違いすぎるのだ。疑ったことはなかったが。


「まあな。でも、俺は特に気にしないけど」


少しの安堵をバレないようにするために、慎重に言葉を選んだ。


「それで、どうするんですか〜?今からでもちょっとします?」


急に、アミリエの机の端に置かれているスピーカーからネメシスの声がした。あまりにも突然だったため、思わず後ろへ一歩下がる。


「私はどっちでも。お姉ちゃんがしたいならいいよ」


「じゃあやりましょう!」


「待ってね。準備するから」


そう言って、かけてあった白衣をまとい、いかにも研究者感を出している。


「で、俺はなにすればいいの?」


「さおきはあの部屋に入って待ってて。じきに始まるから。あと、結構ハードだから体力がきつくなったらすぐに言ってね」


「お、おう、わかった」


そう言われて、ドアを開けて中に入ると、驚くべき光景が待ち受けていた。


「ぅん?」


思わず奇声をあげてしまうさおき。彼が見た光景とは、一面に広がる草原だった。

風が優しく吹いていて、気持ちいい。そして、なによりこの太陽。

外に出ると星空が広がっているのに、今度は太陽の光が当たってくる。


光に照らされて立ちつくしていたさおきに、白衣をすっかり身にまとって、研究者感を醸し出しているアミリエが歩み寄る。


「わかる。わかるよ。私も最初はこの設定に反対だったから」


一緒に風に当たってしばらくしたら、今度はネメシスの声が聞こえる。


「入りましたね?それじゃ、軽く説明すると、この部屋は主に実験室の役割を担っていて、ここに放たれた魔法は異空間に飛ばされる仕組みになっています。それに、ここは空間拡張魔法を使っているのでいくらでも大きくできます。始めてなので、あまり長続きするとも思ってないのです。ギブアップしたかったらすぐに連絡ください」


「りょーかい」


(どうやら両者ともに、あまり俺が長続きするとは思っていないらしいな…じゃあ)


「こっちからあなたの体力を測定してますので、まだいけるのにギブなんていうのは即バレしますのでご注意を」


心の中で呟けば、自然とネメシスに読まれることを忘れていた。

そして、大きくため息を吐く。


「はぁ…ぁ!とりあえずやれるところまでやってやるよ!」


「そうこなくっちゃ!」


こうしていろいろあったのもの、無事、二人の天才姉妹と1人の実験代(モルモット)の実験が始まったのだった。


これから2〜3週間ほど週1投稿になりそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ