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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
5 さおき、半魔になった編
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『買い出しに行くことになりました』


「はいはい、今終わったよ」


空間から、うさぎの精霊を手のひらに乗せて出てきたアミリエ。ウィクがすぐに手のひらに乗っているうさぎを見るために近づく。


「かわいい〜、もふもふしていい?」


「ボコされたいの?」


指を動かすウィクだが、シンプルにボコすと言ううさぎの精霊。やがて、再び飛び上がり、アミリエの手のひらから離れた。


「これでも、僕は基礎三属性の魔法の扱いは精霊の中でもトップだからね?アミリエさんには勝てないかもだけど、君には勝てると思うよ?」


「1回でいいから、ね?」


「よーし、ボコすかー」


そう言って、腕を回すうさぎ。これ以上は無理だと、ウィクもあきらめた。


「で、いろいろしてきてくれたんだよね?」


「うん、アルドラたちの野営許可をもらった。その肝心のアルドラたちはどこ?」


アミリエがうさぎを見ながら言った。すると、うさぎが大きなスクリーンを映し出した。


「え?その人たちなら外に出したけど?」


「うん?」


「え?」


少し、誰も口を開かない間があく。ウィクとアミリエが合わせるかのように(まばた)きして、


「えーーー!?」


二人の声が、静かだった森に木霊した。


              △▼△▼△▼△

一度外に出て、馬車をアルドラたちの元に届けた後、再び今さおきたちは精霊の森にいた。


「出たのならいい。また合流するってことで」


「そうね。私たちも結構やることあるし」


ウィクがさっきようやく起きて作業ができるようになったさおきを見つめる。とうのさおきは、眠そうにあくびをしていた。


「結構な時間寝てたのに、まだ眠いの?」


「いや、眠いんじゃなくて、体が重くて」


「まあ、しょうがないしょうがない。このくらいの代償があって当然だよ。これでいつでもお姉ちゃんを顕現できるんだから」


「……お姉ちゃん、ね…」


アミリエがウェリンドに許可をもらったあと、さおきはアミリエから自分に起きたこと、失っていた自分が戦った記憶、今日あったことを全て聞かされた。


『お前、あのネメシスだったんだな』


全て聞かされて思ったことの全てである。そして、さおきが今まで疑問に思っていたことについて、たくさんのことがつじつまが合うようになった。

例えば、夢を見たときになぜ昔のアミリエとネメシスが登場するのか、なぜこの魔法創作スキルクリエイションを使いこなせるのか。


『驚きました?』


『いいや?むしろ今まで自分に起きていた変なことの正体がわかってすがすがしい気分だ』


『そう。なら、そろそろ用意してくれません?』


『? なにをだ?』


『そりゃもちろん、私の身体ですよ』


『……』


『どうしました?』


「はーーー!?」


静かな森に、今度は一人の少年の声が木霊する。同時に、持っていたカバンを落としてしまい、


「いてっっ…!」


足首に直撃した。


「もうっ、大丈夫ですか?全部終わったので先輩はそこで休んでてください」


荷物を魔法で浮かせて運び終えた有希がさおきの元へやってくる。手にあったペットボトルに入っている水を飲む。


「地味に時間が流れてるのよね〜、もう7時だし」


「今日はどうします?今からどこか近くの町まで行けば相当帰りが遅くなるのでは?」


『そうでもないですね…』


有希とウィクの会話に加わるかのように、ネメシスが聞こえないにも関わらず反論した。


「そうでもないらしいぜ?」


即座にジト目を向けられるさおき。さおきも、魔物との戦闘が終わってから自分がただのお荷物でしかないことには気づいていたため、なにも言葉に詰まってしまう。


「じゃあ先輩が行ってきてくださいよ…」


「確かに、私もあの超強い五人の悪魔の一人の力を完全に手に入れたさおきくんの力は気になるかも」


「今のさおきはほぼ回復してる。多少の運動は大丈夫だと思う」


聞いていただけのアミリエまでもが加わって、さおきは行かざるを得ない状況になってしまった。


「おーい、うさぎさーん?」


有希が叫ぶと、再びあのうさぎの精霊が現れた。


「なにか用?僕も忙しいんだから」


「ここから出入りすることってできますか?」


「僕が許可を下せるから問題はないね。ただし、開放できる時間は長くて5分ってくらいだね。さもないと人間たちにバレるし」


「5分かぁ…」


5分。ここから出て町を探して、それから飛んでいって往復するのを5分で済ませなければならない。


(いや、無理だろ)


まだネメシスの力にも慣れてなくて、しかもまだ完全に回復してない。だが、


「ほら、行くよ。私もさおきについて行くから」


いつのまにか、アミリエがさおきを引っ張っていた。いやいや頭を掻いて、頷く。


「じゃあ、買い出しよろしくね〜」


そう言ってウィクが俺に買ってくるものが書いてあるメモ書きと、銀貨を渡してきた。

  

「えっと…買ってくるべきものは…」


案外たくさんあった。今日の晩ごはんと明日の朝食用の食べ物など。だが、さおきの目に留まったのが…


「なんだ?魔力結晶って」


「それは私が頼んだ。魔法を開発するために必要だから」


アミリエが頼んだものらしい。


「魔法って開発できるんですか!?先輩の魔法創作スキルクリエイション以外にも魔法って作れるんですね!」


「うん、魔法陣を一から作るんだけど、アレンジとかできて唯一無二の魔法ができるし。お姉ちゃんも本格的に活動できそうだし」


「ネメシスさんと一緒に作ってたんですか?」


「昔作ってた途中のものがあるからひとまずそれを完成させないと。完成すれば、もしかしたら秩序を揺るがすかもだけどね」


有希が興味深々にアミリエの話にくいついている。聞きつけたウィクもやってきて、


「なんの魔法作ってるの?」


「特殊な魔法で、どんな魔法もはね返す鏡を作ってる」


「鏡、ですか?」


一見、あまり強くはなさそうだがよくよく考えてみるとすごいのかもしれない。


「でも、鏡ってまさか本物の鏡なの?」


「違う。もちろん、魔力をベースに作った鏡で、いつでも顕現できるようにする。いずれは、この魔法を応用して魔法を反射する結界とか作ってみたい!」


いつも以上に、アミリエの目が輝きに満ちていて、さおきの中からそれを見たネメシスがクスっと笑ったのだった。


現在、修正版を出しながらストーリーもちゃんと更新してるのですが、両方同時だと特に修正版に時間がかかると変に思われる方も出てくると思うので修正版を進めていこうと思っております。なので、もしかしたら本編は一旦更新ストップになるかもです。(更新できるときはするので、こう言ってますけど普段通りになるかもですw)

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