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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
5 さおき、半魔になった編
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『作戦会議、切られる火蓋』

「さてとっ!」


さおきはテーブルを叩くようにティーカップを置くと、立ち上がる。


「待って」


ウィクがさおきの服を引いてさおきがイスへと引き下ろされる。


「なんだ?さっさと討伐して終わりにしようぜ?」


その言葉にさおき以外の3人、否アルドラまで苦笑を浮かべていた。アミリエが少し紅茶を口にして、改めて咳払いをして魔物がいる方向を見た。


「うん。ウィクも気づいてたみたい。この尋常じゃない数に。私たち3人じゃ、とても全部倒せる数じゃない。もっとも、さおきが前みたいになれば話は別だけど」


「前の俺ってそんなやばかったのか?」


前。前の記憶はさおきの頭に何一つ残っていない。


ただ、召喚された有希を助けたことのみ。それ以外の記憶、セウイたちと交戦したことは覚えているのだがそれ以外のことはなにもない。


「って、ちょっと待ってくださいよ!なんで3人なんですか!?私、有希は参戦できないんですか!?」


「ちょっと有希に響くかもだけど、言い切るわね。有希さんはまだ非戦闘員。戦場に行ったら、この調子だとよくて3分と言ったところね」


「そんなに荒れてるんですか!?」


「そうね!私も有希さんには申し訳ないけど、今回はアルドラさんとここでお留守番だね!」


ウィクも右手に持っていたティーカップを力強くテーブルに置いて、有希を見て言い放った。


「どれどれ〜?」


さおきも、アミリエと同じ方向を向く。


「あれ?さおきくん千里眼持ってたっけ?」


「念のために作っといたのさ」


「使いこなせてるみたいでよかった」


ウィクもまたティーカップを手に取り、紅茶を飲み干した。有希は離れたところでなにやらブツブツと呟いていたのをアルドラが慰めていた。


「お?あれは…」


さおきの目に映ったのは、大きな陣営だった。しかも一つではなく2つ、3つ、4つと数えきれないほどあった。


「なあ、これって先に結構遠くにある本陣潰した方がよくないか?っていうか全員武装してるじゃん!これ勝ち目あんの!?」


「勝ち目ならある。私があれして、さおきもあれすれば圧勝で終わると思う」


首を傾げるさおき。だが、ウィクにはアミリエの言ったことが伝わっていた。


「ほら。魔神化よ魔神化。さおきくんのあれって言うのはよくわからないけど、ここでリエちゃんが悪魔族デーモンなんて言ったら取り返しのつかない事態になるかもしれないのよ?!」


ウィクがさおきの耳元で声のボリュームを大きくしたいのを全力で抑えながら言った。


「そっか…」


アミリエも残っていた紅茶を飲み干して、


「じゃあ、有希さんはここで待つってことで。アルドラさん、有希さんのことをお願い。あと、今討伐に出ている人たちに即時撤退の要請もお願い」


「わ、わかったのじゃ」


有希を慰めていたアルドラが、奥にある玉座に座る。


(皆!即時撤退を始めよ!これは指揮官命令じゃ!撤退しなかった者はそこで死ぬと思え!)


アルドラの言葉が、一瞬で戦場にいた兵士の脳内に流れ込む。魔物の討伐をまだ始めていない、陣形を組んでいた兵士たちは困惑していた。


「どういうことだ?」 「撤退だと!?アルドラ様は血迷ったのか?」「とりあえず撤退した方がよくね?」


「常に連絡取り合ってね!」


それぞれのバンドを通話状態にする。また、アミリエにはこのときだけ、髪飾りは外してもらって有希に預けることにしたらしい。


さおきが有希の元へと歩み寄る。


「有希にも一応これやるよ。使い方は自分でなんとかしてくれ。で、なにか不審な動きが見えたらすぐに連絡頼む」


そう言って、さおきは”付与”で有希に千里眼を渡した。


「心配すんなよ?さっさと終わらせて戻ってくるから」


さおきは前へ歩きながら、後ろにいる有希へと手を振った。それを見て、有希は優しく微笑んだのだった。


              △▼△▼△▼△


アルドラたちと有希を陣営に残して、近くの丘までさおきたちは向かった。その丘からは、魔物たちがアルドラ側の陣営に向かっているのがよく見えていた。


「さてとっ!リアさんや、どこから行きます?やっぱり本陣に不意打ち?それとも一気に戦場を駆け抜ける?」


さおきが背伸びをしながら、未だ魔物を数と敵の場所を見ているアミリエにあえてその場の空気を壊すような問いかけをした。


「もうっ!さおきくん、今からすごく大変な事を私たちはするんだからね?ちょっとは緊張感持ちなさいよ…」


「それっ!」


さおきがウィクの肩を叩く。


「ちょっ、なにして、って…え?」


「まあ一応あげるわ。使えるかどうかはウィク次第だな。あまり闇魔法に期待はしないほうがいいと思うが」


さおきは、ウィクの肩を叩くと同時に、闇魔法を”付与”で渡したのだ。五属性の魔法が身体に流れてきたせいか、ウィクはその実感を受け止めていた。


「よしっ!決まり!戦場を駆け抜ける!今まで私も含めて、見えたあのテントは全て本陣と見せかけた偽物。本物はさらに遠くにある。私たちが全速力で飛んで10分はかかるかも…」


アミリエが、再びいつものようにさおきの肩に両腕を掛けてぶら下がる。だが、今回は前の方だった。


「とりあえず、戦場を駆け抜けて、魔物全部殲滅して、それでおしまい?」


「そう!奥までみたけど、数え切れないほどいるから。ひとまず頼まれた分だけ全部やって、終わり!」


初めてこんなにテンションの高いアミリエを見て、さおきとウィクは少しこのテンションについていけなかった。


「それはそうと、さすがに後ろにしてくれ。前だと俺も、その、いろいろと困る…」


「?」


「あ〜、さおきくん照れてる〜」


「照れてねぇよ…」


「顔もっと赤くなった?」


両手で顔を隠すさおきをまじまじと見ながら、アミリエが腕を下ろす。


「みんな、散ろっか!そしたら早く終わりそうだし!」


「行こう!ちょうど、俺もいい経験になりそうだしな!」


「あれぇ〜?もう照れないんですか〜?」


嘲笑気味にウィクがさおきの頬をツンツンする。さおきはそれが紛れもない事実であるせいか、ウィクにジト目を向けながらツンツンされていた。


「それじゃ、また後で」


「うん!」


「おう!」


そう言って、アミリエが飛び立った。


「俺たちも行くか!」


「前みたいにすぐにやられないでよ?」


「前みたいにヘマをするつもりはないから安心しろ」


そう言って、さおきも背に黒い翼を顕現させる。


「その翼、本当の羽がついてないようにね…」


「?なにか言ったか?」


「ううん。なんでもない」


さおきたちの魔物殲滅の火蓋が切って落とされたのだった。


しばらく投稿できなくてすいませんm(_ _)m

これからまたちょくちょく更新していこうと思います!

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