『花摘み、残った2人は寝る』
そろそろ更新時間を変えようと思います…(あまりにも不定期になってしまったため)
「あまり多く摘んでいってもいらないし、数本だけにしようよ」
「ですね〜」
澄んでいるきれいな湖の湖畔に辺り一面に咲く花を見回しつつ、ウィクと有希は腰を下ろして花を選ぶ。
優しく吹くそよ風が花と有希の長く艶やかな髪の毛を靡かせて、深い森の中の静かな時間はすぐに終わりを迎えた。
「このくらいならいいですかね?」
「いいんじゃない?一人一本あるし」
「じゃあ、帰りましょうか!」
摘んだ花を両手に力をあまり込めずに握りつつ、有希は風魔法がまだ使えないため、ほうきに乗って戻る。
例の屋敷が見えたところで着地し、ほうきから降りる。
「戻ったわよー!」
ノルナとナルナの居場所に行きつつ、ウィクが叫んだ声が再び廊下に木霊する。
「あ、いた」
目の前に寝ているアミリエとそのアミリエを膝枕しているさおきがいたのだが…
「って、なんで2人とも寝てんのよ」
2人とも寝ていた。その真上にはノルナとナルナがいる。
「……なにがあったのよ」
距離を取りつつ、摘んできた花を近くにあったテーブルに置きながら聞く。
「話せばあまり長くはないわねぇ〜」
「たしかに、長くないです」
こうして、有希とウィクはあまり長くはないさおきが寝た経緯からなにが起きたのかまで全て話すことになった。
「ちょっと前、お二人がここを出てすぐのことくらいでしょうか」
△▼△▼△▼△
「でも、確証がないですけどねぇ〜」
「そうか…」
少し落ち込み気味に頷く。
「でも眠いなぁー、俺たちまだ起きてから2時間くらいしか経ってないし…」
大きく背伸びをした後、口を開けてあくびをするさおき。それを見たノルナがすかさず
「あとでウィクさんと有希さんも戻ってきますし、さすがに今から寝るのはちょっと…」
大きく口を開けてあくびをしたさおきに、今から寝るなという方が難しいのかもしれない。それを悟ったナルナがさおきの頭上に来る。
「寝てもいいわよぉ〜。あとであたしが起こしてあげるからぁ〜」
「ですが姉上、さすがに今から寝ると、睡眠のリズムが狂いませんか?それも心配です」
「まあまあいいじゃない。そう簡単に狂うものでもないしぃ〜」
ノルナがナルナにジト目を向ける。
「簡単に狂いますよ…」
「まあまあ〜」
ノルナのジト目をすぐにスルーするナルナ。そして、ナルナがさおきの目の前に降りて、
「ほらぁ〜。寝ていいわよぉ〜」
「どうしよ…」
(だんだんナルナの声が悪魔の囁きみたいに聞こえてくるんだが!?)
「ほらほらぁ〜」
(悪魔の囁きにしか…ってあれ?なんか体が、重たく…)
「…あ……」
「寝たわねぇ〜」
あっという間だった。体が前に傾き、そのまま前に倒れないようにある意味すごい状態で体制をとっている。
「言霊、ですか?」
「そうねぇ〜、この姿でも魔法は使えるからぁ〜。でも、人にまで効果があるとは思わなかったわぁ〜」
△▼△▼△▼△
「ということがありまして、今に至ります」
ノルナの話をウィクは顔色一つ変えずに聴いていたのに対し、有希は「へぇ〜」などのリアクションを見せていた。
「つまり、眠らせたの?」
「ええ。眠そうだったしぃ〜」
言い方によってはナルナのこのふわふわな感じがすごくうざく聞こえる。
「起こせるんですか?起こしますけど…」
「いいわよぉ〜。肩叩いてみてぇ〜、そしたら起きるからぁ〜」
有希がさおきの肩を叩く。
「……んん…?」
左手でその眠たそうな目をまた擦っている。
「目、覚めました?」
「…ああ」
それと同時にさおきの膝からも動きがした。
「……おはよ…」
アミリエも目を手で擦りながら身を起こす。
「リエさんも、目を覚ましてください」
「魔力チャージ完了」
「え?なに?寝ながら魔力チャージしてたの?」
ウィクもさおきのところまで行った。
「なんというか…その、私はまず魔力自体が闇属性の魔法、というのはおかしいけど、そんなものを帯びてるの。だから自然と取り込んだ魔力はちょっとしたらすぐに付くんだけど、ウィクのは使えばすぐ来るから一気にくるとこっちも困って…」
だんだんと口籠もる。つまり、まとめるとウィクの流れてくる魔力は一気にきて闇属性のを付けるのに時間がかかる、と。
「じゃあ、制限しよっか?できるし」
「お願い」
そう言って、リアが髪飾りを外してウィクに渡す。なにやらめちゃくちゃ真ん中にある結晶をくるくると回している。
「はい。終わったよ。とりあえずいつもの量の半分にしといた」
「ありがとう。多かったらまた言うね」
また付け直して、今度こそ。
「ちょうど2人とも起きましたし、始めますか!」
時間はかかったものの、ようやく今日ここに来た目的を果たすことができそうだ。
△▼△▼△▼△
各々花を一本ずつ取り、それぞれ自分の絵を描き始める。ノルナとナルナの分は俺が近くに置いてきた。
有希とウィク、ノルナとナルナが一緒に書いているため、自然と俺とリアが一緒に描くことになった。
だが、さおきはそれどころではなかった。
さおきたちの学校で、美術の授業は普通にあったもののペン画は1年のときにすでに終わらせているためすらすらとペンを進める有希に対し、さおきは頭をむしゃむしゃと掻いていた。
「さおき、ペン止まってる」
隣にいるリアが花を手に持って観察しながら言った。
「リアだって、ずっと花を見てるだけじゃん」
「…っ!」
なにか図星を突かれたような感じだった。
「私、ただ花見てるだけだから!そんな、絵が下手で描きたくないとか、そんなんじゃないんだから…」
後につれてだんだんリアの声が小さくなった。
(いや、そんなに落ち込むことないだろ。俺だって今ペン画の描き方忘れてるし…)
「そんなに落ち込まなくても、」
俺が話している途中に、有希は割って入ったきた。
「もう一度復習しますか?せぇんぱい!」
意外にも俺の肩を両手でポンと叩いて。
「「!?」」
「あ、やっぱり先輩を下の名前で呼ぶの慣れないので前のように先輩は先輩でいきます」
「お、おう…」
今朝はなぜか機嫌が悪かったようだけど、今にはすっかり治ったようでさおきは胸をなでおろした。




