『もう1人』
時間が違ってすいません。
というわけで翌日。久しぶりにいい目覚めができた。と思えばリアがなぜかいつもより近かった。
「ごめんな…」
小さな声で呟き、やさしく起こさないようにリアを撫でる。途端、あのときの言葉が脳をよぎった。
『そういう優しいところも、好きだよ』
同時に顔が熱くなり、鏡を見ずとも赤くなっていることがわかる。俺は頭と顔を両方冷やそうと(物理的に)身を起こそうとすると、少女の小さな手は俺もパジャマの袖を掴んではなさなかった。そこにすかさず、
「……もぉちょっと…」
その声はさっきまで赤くなっている俺の顔をさらに赤くする。その甘い言葉の誘惑に負けてしまい、もうしばらく寝ていることにしたのだった。
△▼△▼△▼△
「はいっ!いつまで寝てんのお二人さん!」
俺は自分の眠たい目を擦りつつ、起き上がる。目の前には時計を持ったウィクがいた。その時計が指していた時間は…
「9時半!?」
「んん…」
リアも俺の声で起きた。俺は何度か瞬きをしてもう一度時計を見る。間違いなく9時半を指していた。
「ほら!早く準備して!今日は絵描くんでしょ!」
「あ、ああ…」
俺は服を急いで取って、着替えるために風呂場に行った。ちょうどウィクと有希も着替えたから俺が風呂場に行って着替るのがいいと寝起きの脳で判断した。
「リエさんと、さおきくんって毎日一緒に寝てるんですか?」
「私が知る限りだと、最初の日だけだったかな?別々に寝たの。それ以降はほぼ毎日リエちゃんがさおきくんのベットに入ってる」
「へ…へぇ〜」
着替え終わって、出てきた俺が有希からなにやら変な視線を向けられていたがスルー。一通り全部済ませた後、有希がなぜかもじもじしながら話しかけてきた。
「さおきくん。いや、先輩」
すごく改まっていて、俺も急に緊張し始める。
「ど、どうした?」
「先輩って、リエさんのこと好きなんですか?」
「なぁっ!」
突然有希の口からこんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。でも、俺の身体はというと、
「顔赤くなってますね?」
自分の顔を触ってみると、確かに熱くなっていた。そして、なぜか俺は有希に追い詰められている。
このままだと有希に勘違いされかねない。俺は一度深呼吸をして自分を落ち着かせる。
「違う。リアは確かにいつも俺のところに添い寝してくるけど、恋愛感情はない。リアがどう思ってるかは知らないけど」
「ふ、ふーん」
有希のもじもじも止まる。俺は心臓が飛び出すくらいバクバクしているのをあえて足音をたてて歩きながら聞こえないようにした。
△▼△▼△▼△
「おーい、来たぞー」
俺たちは再びあの屋敷に訪れ、ノルナのいる部屋を探していた。そんなときだった。
「ねえ、後ろになにかいるの、感じる?」
ウィクが変なことを言い出した。俺が後ろを振り向くと、なにもいなかった。
「思い過ごしじゃねぇか?もう他の幽霊はいないだろ」
俺は前を向き、引き続きノルナの名前を叫ぶ。それでもウィクは一定時間経つと、「なにかいる気がする」を言ってくるのだ。
「リア、懐中電灯あるか?」
いつも通り俺の肩に両腕をぶら下げて、右側から顔を出している。
そんなリアが履いているスカートのポケットから懐中電灯を取り出した。
(いや、亜空間繋げすぎだろ…)
リアのスカートのポケットは小さい。とても大きな懐中電灯がはいるような大きさではないのだ。
「ウィク、前向いてろよ。もし本当にいたらどうなるかわかんねぇから」
「う、うん…」
俺は自然と出てきた唾を思いっきり飲み込む。俺は懐中電灯を右手に取り、
そして懐中電灯をつけた。
目の前には…
「なんもねぇじゃねぇか」
なにもなかった。というわけでもなかった。きちんとなにか浮いているものがいた。
「さおき、あれって…」
俺は急いで左手の人差し指でリアの口を抑える。すこし強制的だったかもしれないが今は許してほしいところだ。
「むぅー」
リアがその小さな頬を膨らませていた。
(かわいい…)
その光景は非常に愛らしかった。それに対し、有希が俺に軽蔑するかのような視線を向けていた。
「なあ有希。どうしたんだ?」
「いや?別に…」
と有希は答える。だが、その身体は小刻みに震えていた。
(先輩、よく見ればすごいなかよしどころかそんなことまでできるほどになってるじゃないですか!?)
さっきのさおきがアミリエの口を左手の人差し指で抑えた瞬間にそれはわかった。
どんなに仲のいい男女やカップルでも口止めを人差し指でするのは現実でもあまりしない。
さおきからしたら口止めをする方法がほかに思いつかなかったせいでその行動に出てしまっただけであって他の感情はなにもない。だが、確かに他の人からみたら有希のように勘違いしかねない行動だ。
「っはぁ…、もう!ウィクの後ろに普通になにかいるっての!」
俺が指を取ったと同時にリアが暴露してしまった。
「うそ!?」
ウィクが振り返る。でも、そこにはなにもいなかった。懐中電灯を切ってしまったため、見えるはずもない。
「っ、しょうがねぇなぁ…」
「こういうのはちゃんと言ったほうがいいの!」
そう言ってリアが俺の右頬をどんどん指で突いてくる。なんどもきたけど痛くはなかった。それ以上にこうやって突いてくるリアが愛らしい。
「ほら。いくぞ」
俺はそう言って懐中電灯を構える。照らすと、そこには幽霊の姿があった。
「あー、また気づかれてしまいましたぁ」
なんかすごいふわふわしているような話し方だ。口調からしてノルナではない。となると、ノルナの家族、兄弟とかだろうか。
「誰だ?」
「私は、ナルナですぅ〜。ここにいた者ですぅ〜。昨日から急に自由に動けるようななったんですよぉ〜」
やはりなんかふわふわしている。
(ナルナって…。ほんとにこいつらの親の顔を見てみたいもんだな。もうちょっといい名前あっただろうに…)
「なあ、ノルナってやつしらないか?俺たちはそいつを探しにきたんだが…」
「え!?ノルナもいるんですかぁ?私も会いたいですぅ」
「ちょうどいいな。じゃあついてきたらどうだ?」
「いいんですかぁ?」
「まあ、目的は一緒だろうし…」
「ありがとうございますぅ〜」
ナルナは一礼して、一番前に行ってもらった。ウィクの後ろだと怖がるためである。
2021年最後の投稿になります。
今まで読んでいただきありがとうございました!そして、これからも『勇やめ』をよろしくお願いします!
※略称考えました




