『お屋敷散策(ハプニングありまくり)』
俺はほうきを亜空間にしまう。リアに教えてもらったおかげで随分と便利になった。どんなものも収納できるし、保管できる。
「ねえ、これって絶対怖いやつだよね…」
ウィクがその屋敷の古びた扉を見ながら言った。上から見ればあまり大きくない屋敷に見えるが、いざ下から見るとすごく大きい。全長(推定)10m弱、といったところだろうか。
『いえ、それよりも長いです』
(そう?まじか…)
最初は手厳しかった"あいつ"も今では仲良くなったと思う。俺がミスしたときとかは助けてくれることもあり、いいヘルパーだ。
「まあ、そうだろうね…」
同じくその扉の近くにあるたくさんの雑草を避けながら進む有希が言った。
怖いのは言わずとも知れている。でも、結界の核を破壊しないと先には進めない。やるしかないのだ。
「い、行くぞ…」
俺はホコリだらけのドアノブをおそるおそる触ってみる。手にはホコリがついた。そして、ゆっくりと開ける。
「「「……」」」
「うっわ」
俺以外の3人は中を見てなにも言葉が出なかった。
中を見て思ったこと。第一に汚い、それかひどく散らかっている、というのを思うのではないだろうか。
落ちているシャンデリア、だろうか。が一番に目に入る。その後、見回すと無数の額縁と絵画。それは壁にたくさん飾られ、描かれているのは主に植物、花、人物画などなど…
俺たちは細心の注意を払いながら、落ちている絵を踏まないように歩く。階段を上がって分かれ道に到着した。
「このまま分かれていくか。ウィク、このバンドに通信機能はついてないんだよな?」
「いや?ついてるけど」
俺は地味に今までこのバンドを使ったことがない。ただ、このバンドバンドに付いている結晶を元にして、をつけるとウィクから魔力が供給されるということだけ。リアは青いバラの髪飾りにこの結晶がついている。
「あれ?リエさんはバンドがないみたいですけど…」
有希が言うと、リアは見せつけるかのように髪をすらっとなびかせた。
「あ!あの髪飾りに結晶ついてる!」
よく見えたものだなと思った。リアの髪飾りは表が青いバラになっていて、裏に結晶がついているのだ。それを髪をなびかせただけで見えるとは…
「じゃあ、俺とリアは左の方に行くから、有希たちは右の方を頼む。核みたいなのを見つけたら即破壊で、破壊したら連絡よろしく」
「「りょーかい!」」
言葉が重なる。
(こいつら息ぴったりだな)
と、距離が縮まって一安心するさおきだった。
△▼△▼△▼△
全体的に暗い。電気も通っていないから当然か。それに加えて、廊下の壁にはどんだけあるんだってぐらいの絵が飾られていた。
「うぅ…」
いつものように俺の肩に腕をかけて右から頭を出してぶら下がっているリアだったが今日は頭をふせていた。
俺はリアが怖いのに気づくと落ち着かせるようにやさしく撫でる。だんだんと怖さがおさまったのか、リアが頭を上げて、
「もう大丈夫。ありがとう」
「怖かったら言えよ。そのときはまたするから」
「……うん」
(? なんだったんだ?今の間)
さおきたちは注意しつつ、いくつかある部屋をも探した。
一方、ウィクたちはというと…
「あの…手、繋ぎませんか?」
左の方はあまり散らかっていないのに対し、右側は荒らされたのかとも思えるほどにひどく散らかっている。余計に怖く見えるのだ。
「う、うん!そうしよう!」
ウィクもあえて大声で答えて、気を紛らす。この二人は両方とも怖がっていた。
ーーカチャッ
ウィクが木の枝を踏んで折れた音である。それなのにこの二人は、
「「キャァァァーーーーー!」」
言うまでもなく、すっごい怖がっていた。その声は、反対側にいたさおきたちにも届き…
「ふふっ」
リアがウィクと有希を鼻で笑った。まあ、リアはもう普通に慣れたし、あいつらも笑われるのも無理はない。
「あの…すいませぇん」
さおきとリアの目の前にいたのは、透明な形をしたなにか。その正体は知らずとも、2人の体が危険信号を発した。するともちろん、
「キャァーーー!」「ウワァァーーーー!」
2人は急いで引き返したのだった。
「ああ…また怖がられてしまいました…」
その透明ななにかは、ゆっくりと、姿を消した。当然の如く、リアとさおきの叫び声は向こうの2人にも届き、
「あっちも大変みたいね…」
「そそ、そうだね…」
両ペア、特にさおきたちはさらに注意して元来た道に戻るのだった。
△▼△▼△▼△
どうも!私はウィクです!現在さおきくんたちと一緒に楽しくワイワイと旅してる魔力ポーターでもあります!
そんな私は今、とある超絶怖い屋敷に入っています!あぁ怖…
そんなことはさておき、隣にいる有希さんがすごい震えています。怖いのはお互い様ですね。
さっきギャァー、というさおきくんたちの声も聞こえました。あの二人はなにもそういう怖がるような声が聞こえてなかったので、逆に安心しています。
「あの…さっきの声って、さおきくんたち…だよね?ね!」
有希さんがあえて大声で話してくれます。私と自分の恐怖を打ち消そうとしてくれているのがわかってすごい優しい方だと実感してます!
「そうじゃ…ないのかな?それより、たくさんドアがあるけど…」
今、私たちの辺りにはドアが見える分だけで4つもあります。このまま進んでも行き止まりなので、絶対ドアを開けなければいけないのですが…
「「どれにする?」」
私たちは顔を見合わせて…また声が重なりました。実は、ドアを決めるのにすごく時間がかかっています。
「…じゃあ、こ、これにしませんか?」
私は自分の左手側にあるドアを右手で指さしながら言った。
「自分が開けるので、その、あったらお願いします!」
そう言って、有希さんがドアノブに恐る恐る手をかけ、ぎゅっと握りました。緊張しているせいか、その握る力はすごく強く、音まで聞こえてきて、体の震えもそれで治まったように思います。
有希さんが勢いよく、ドアを開けると目の前にはなにもありませんでした。でもそのかわり、
「はぁ〜れ〜?珍しいなぁ〜ここに人が来るなんてぇ〜」
ふわふわした声がしました。あまり聞き慣れなくて、私たちたちはまた顔を見合わせてしまいました。そして、その顔が青くなり…
「ん?なぁにしてぇんだぁ〜?」
幻聴ではないとわかり、有希さんが私の隣までゆっくりと後ろ歩きで来ると
「…ウィク、さん。今のって…」
「多分…」
「「おばけだぁーーーーー!」」
私たちは一目散に逃げたのでした…
△▼△▼△▼△
さっきウィクたちの叫び声がまた聞こえた。「おばけだぁー」って聞こえたから俺たちと同じ幽霊を見たのだろうか。
「ウィクたちも見たのかな?」
さっきと変わらず右肩から頭を出している。でも、その右手には懐中電灯があった。俺の右手にも懐中電灯。リアがこれ以上さっきみたいに正体不明の生物がいたらちゃんと照らせるようにと俺の記憶を元に魔力で作ったものだ。
ほんと、魔力さえあればなんでもつくれるのではないのだろうか。
「行くぞ…」
「うん…」
雰囲気を醸し出しつつ、俺たちは再び前進する。
懐中電灯で床を照らすと思った以上に汚かった。ホコリまみれで、飾られた花は完全にしぼんでて…もしかしたら懐中電灯を持たなかった方がいいかもしれないほどだ。
「えっと…ここ、よね?さっきの場所」
俺たちはさっき幽霊が出た場所まで来ていた。そして、またさっきと同じようにドアを開け、すぐさま懐中電灯を照らす。すると、目の前には、
「あっ…眩しいですね。こんな光、見たのは何年ぶりでしょうか」
さっきの幽霊と思わしき存在だった。
「さようなら」
そう言ってリアが魔法を発動させようとするのを俺は止めた。そして、リアも懐中電灯を幽霊に当て、さらに見えやすくしてくれた。
「お前、誰だ?」
幽霊だから物理的に攻撃はできないと判断した俺は、こいつから情報を聞き出そうとするのだった。




