4プロローグ『や、ヤキモチなんて、妬いてないから!』
俺たちは、今日で今住んでいるこの部屋から退出しなければならない。なぜなら、俺のダンジョン探索で負った怪我は完治しているからだ。
準備はあまりしなくていい。なぜなら、あまり荷物がないからだ。
俺たちは軽く朝食を済ませて、次の行き先へ向かう。とりあえず、今日は空飛びながらぶらぶらして、宿場町とかでもあったらそこに滞在して、また進む。という感じだ。
朝食を早く済ませた俺と有希は有希用の装備一式を買いに行った。さすがに制服だと不便だからな。
そして、俺たちはヤムリエを出て、すぐのちょっとした広場にいる。広場があると飛び立ちやすいからだ。
「さおきくん、準備はいいですか?」
「!?」
またピクっとしてしまった。まだ有希に名前で呼ばれることに慣れない。
ちなみに有希は飛べないため、今日はまたほうきに乗る。
(変身)
『かしこまりました』
俺の体が変化する。こうしなければいけないからほうきになるのはちょっとイヤだ。でも、気分転換にはちょうどいいと思う。
みるみる俺の姿が変化していくのを見ていた有希は目を丸くしていた。そして、瞬きを数回繰り返して目を擦る。
それを見て俺は得意気に「どう?どう?」と聞くと、意外すぎる答えが返ってきた。
「女だったんですか!?」
(なんでや!)
心の中でツッコむ。これが本当に学年で1桁の順位を維持していたなんてとてもじゃないが考えたくない。
俺は有希に解説した。
「なんだぁ〜私てっきりさおきくんが女の子だったと思ったじゃないですか〜」
そこでなぜかホッとしている有希をスルーしつつ、俺はリアとウィクの様子を見に行った。
こちらでもなぜかリアがむすっとしていた。俺は見て瞬きをする間に正面から俺に抱きついていた。
「あの、リアさん?」
俺を抱きしめる手の力と俺に顔を押し当てたときの力が強かった。痛いぐらいだ。
「…もうっ、離れないから…」
(がゔはっ!)
見た目は女でも心は男。ゆえに、さおきはこのシチュエーションに耐えられるはずもなく、実際には震えていないものの、中ではこれまでにないほどに足が震えていた。
すでに別の意味で心がやられそうな俺にウィクがさらに追撃を加えてきた。
「リエちゃん、今日の朝起きたときにさおきくんがベットにいなくて有希さんとベランダで話してるさおきくんを見てヤキモチ妬いたんじゃないの?」
と、笑いそうなのを必死に堪えながら。
(もういっそのこと笑ってくれ!)
俺は性別を元に戻し、一応その言葉を信じて、未だに同じ力の強さで俺を前ではなく後ろから抱きしめているリアの頭をやさしく撫でる。
「ごめんな…なんか嫌な思いさせちまって」
「……いや、その…」
リアが顔を上げると、さっきは下を向いていたせいで見えなかったところが見える。そう、頬がすごく赤いということだ!
羞恥心を振り切ったのか、リアは上の方を向き、少し目を逸らして言った。
「や、ヤキモチなんて、妬いてないから!」
(俺、あとでバチでも当たるのかな?)
まさかリアにツンデレな一面があるとは思わなかったという気持ちが半分。こんなにあついシチュエーションが起きるなんて、と驚き半分。
「じゃあまあ、行きますか!」
なんとか今自分の中にあるいろんな感情を抑え込んだ。
俺は性別をまた女に変化させ、リアと一緒にほうきに乗る。。ウィク、有希ペアと俺、リアのペアに分かれる。
こうして、俺たち4人の異世界での旅が本格的に始まったのであった。
本当は有希とさおきが一緒に装備を買うデート編みたいなのを書きたかったのですが、書いてみたらあまりに字数が少なかったので今回は割愛させていただきました。




