『予想だにしなかった再会』
空に未だ浮かぶ魔法陣。それは青い空と対称に、少しずつ赤くなっていた。
そして、セウイたちも戻ってようやくひと段落したさおきたちにその猛威が襲いかかる。
ーーーーーー!!
「「「!!」」」
魔法陣から大きな爆発。気づけば大量の火球が森に降っていた。今からそこに行くのは自ら地獄に飛び込むようなものだ。でも、見過ごせない。やっぱり防がなければいけないという結果がさおきの頭をよぎる。
体中がまだ痛いが動けないほどではない。ちょうどいい足場もある。今こそ試したかったことの一つを試す。周囲の魔力を集め、練り、背中に付ける。
「ーーっ」
ひとまず深呼吸……大丈夫そうだ。勢いよく飛べた。翼を見ると黒色のリアと同じような翼だ。
「ちょっ!さおきくん!?」
ウィクが呼び止めようとするもそんなウィクの言葉を無視してさおきがさらにスピードを上げて降り注ぐ火球の元へ向かう。
「もうっ。バカなんだから。」
そう言ってアミリエもさおきを追って飛び出した。
「ちょっ、どういうこと!?」
状況を把握できていないウィクも追い始めたときには、さおきは魔法陣の真下にいた。遅かった。木が燃え、さっきまで穏やかだった森は一変。火はすぐに燃え移り、早く消さないと超大規模な山火事に発展しそうだ。
「さおきっ!」
後ろからリアがいつものように抱きついてきた。さっきまで俺は無視されてたからなにか悪いことをしたかと思っていたのに今では上機嫌だ。ほんと、女ってよくわからん。
でも、ちょっと痛みが和らいだような気がする。これが仲間の力ってやつなのだろうか。
「さおきくん!なにして…」
ウィクがきた瞬間、辺りに風が吹く。そのせいで火がさらに燃え移ったがそんなのは関係ない。だがその風がさおきにヒントを与えた。
「これだ!リア、協力してくれるか?」
「私にできることはなんでも!」
「じゃあ…」
俺はこの方法を全てリアに伝え、それぞれが行動に移る。そんな中、ウィクが唯一この3人の中で取り残されていた。
「あの…私もなにかやることない?」
「いや、ウィクはそこにいてくれ。それか、もう一つの魔法陣の様子を見に行ってくれないか?」
「りょーかい!」
なんとかやることを見つけてホッとしているのか、「よかった〜」と呟きながらもう一つの魔法陣の方に行った。
まず、消火から。ウィクの方は今はまだおとなしいが、またいつ火球とかそういうのを出すかもわからない。
できる限り早めに済ませる。短時間で行える広範囲の消火。つまり、雨を降らせる!
まず、リアが魔法陣のちょっと下にこの召喚の魔法陣と同じサイズの雨を降らせる魔法陣を作り出す。そこから雨を降らせるというものだ。
雨が降りはじめた。そこから俺が風魔法で風を吹かせて暴風雨にして広範囲の消火を行う。我ながらに悪くない作戦だろうか。思いつくまでに時間がかかって燃え広がったのは否めないが…
ーーーーーーーーーーーッッッ!!
すごい量の雨だ。これだったら消火も一瞬で終わる。
しかもリアの作った魔法陣が上にある魔法陣の冷気を放出してくれる。だからさらに火球が降ってくることはない。
「終わったな。」
またリアが俺のところに来ていつものように背中側から両腕をかけて右側からその小さいけれどもかわいらしい顔を出してくる。思わずよしよしと撫でたくなる。ここは欲望に忠実に。
「じゃあ、ウィクの方に行くか!」
消火が終わってまもないころ、魔法陣が消えた。魔力を全て放出したらしい。
俺はウィクがいるもう一つの魔法陣の方に向かった。そのウィクはというと、なにも起きないせいか、その魔法陣を触ったりしていた。まるで3歳の子供が新しく手にいれたおもちゃを慎重に触るかのように。
「なにも起きなかった?」
「うん。なにも。こっちのはすごいほどおとなしい。」
確かに、最初からもう一つの魔法陣はなにも起きない。雷が落ちたのも全部さっき消えた方だ。
思考する。さっきの魔法陣はいろいろと災害というべきことをして消えた。仮にあれを"あいつ"が言っていた召喚災害としよう。そして召喚が失敗したものとする。
でもこの魔法陣はなにも起きない。だとしたら考え得ることは一つと決めつけてもいいだろう。これは召喚が成功した。でも、肝心の召喚者は誰もいない。一番嫌なパターンがそのままここから降ってくることだ。
「さおき?」
「? ああ。どうかした?」
リアがなぜか俺の頬をつんつんと突いている。そして、魔法陣を指差した。
「ほら、あそこ。光ってる。」
「あ、ほんとね。ちょっと行ってくる。」
ウィクが光っている場所へ行った。俺はとあるやばい予想が出来上がる。信じたくない。まさかな…そんな、な。
「きゃっ!」
ウィクの声が聞こえた。なにか起きたのか、俺もウィクの方へ行く。光が大きくなって消える。同時にこの魔法陣も消滅した。俺は辺りは見渡した。肝心の召喚者がどこにもいないからだ。そんなとき、助けを求める声が聞こえた。
「キャァーーー!助けてーー!」
なんか聞き慣れたような感じの声だったが今は助けるのが先だ。
「リア、ちょっとスピード出すよ?」
一応リアに聞いておく。さもないとスピードを出した時にリアが振り落とされたらそれはそれでまずい。
「私は大丈夫。それより早くあの人を。」
俺は少しだけスピードを上げて飛ぶ。急に思い出したが、俺もうほうきいらなくないか?こうして翼ではあるが飛べてるし。
なんとか間に合った。下に行ってキャッチする。
「キャァァーー!」
まだ落ちていると思っているのか、まだ叫んでいる。
「もう大丈夫ですよ。」
「え?あ、ありとうござ…」
絶句した。それは彼女だけではなく俺もだ。右手にはスマホ。着ているのは制服。背の高さからして中学生。それは飛んでいる時の目測でおおよその検討はついていた。
だが、誰がこうなると予想しただろうか。
「せん、ぱい?」
それは、かつて自分が部活で可愛がっていた、後輩だったなんて。




