『試してみた』(改)
修正2作目です。本格的に前の同じ部分とストーリーが変わってきます(笑)
昔の同じ部分は、消しません!なぜならストーリーについていけないかもだからです
「……」
「さおきくん、さおきくん!」
目が覚める。さおきは、再び知らない天井があってなぜか少し新鮮味を感じていた。
「あ、ウィクおはよ、っっ!」
急に苦しくなり、そのまま口を押さえて再び横になるさおき。それを見てウィクがポケットから小さい飴のようなものを取り出した。
「はい、これ飲んで!早く!」
さおきは、言われるままにウィクから手渡された飴を一気に飲み込む。
「っはぁー!何だったんだ?今の飴みたいなやつ」
すっかり元通りになったさおきが体を起こしながら、
「あれがないとね、さおきくんの特殊能力、言わば転生ボーナスが消えてたね」
「は?」
「やっぱりね、私たちの能力は体にかかる負荷が大きいの。それが一番来るのが今さっき。能力を体に入れる瞬間」
「つまりあれがなかったら、体が負荷に耐えきれずに能力が消えると…」
「そゆこと!」
案外おそろしいものだなと、この特殊能力を手に入れたことを実感しようと右手を開けては閉じるを何度も繰り返していた。
「ほら!行くよ!せっかくの異世界なんだから!始まりはちょっと嫌なとこからだけど…」
そう言ってウィクがさおきたちのいた部屋のドアを開けて先に行ってしまった。
「ここは…」
近くにあった窓を全開にするさおき。すると彼の目に映ったのはー
「水田じゃねぇか!」
普通の田んぼだった。すぐに窓を閉め、ウィクを追うさおき。下に降りると、受付の人がいる。すぐにここが宿だとわかった。
「おーい!ウィクー!待ってくれー!」
さおきより少し前を走るウィクを今ある力を出し切るかのごとく追うさおき。それでもなかなか追いつけない。
「ちょっとまてーー!」
さすがに体力が限界を迎え、その場に立ち止まって叫んだ。
「なにー?」
「ちょっとまってー!」
後ろで息を荒くしているさおきを見て、ウィクがさおきのところまで戻った。
「ったく、体力ないんだから…」
「ウィクが早すぎるんだよ…」
「あ、そうそう」と呟きながらウィクがなにかを黒い空間から取り出した。
「はいこれ。私の能力そのもの。これ付けとけばさおきくんも魔力が無限!」
さおきは依然息を荒くしたまま、渋々とした感じでウィクから差し出された黒いバンドをもらう。
「これでか?」
中央には、赤い水晶が埋め込まれていた。
「この水晶が壊れたらどうなるんだ?」
「さおきくんの魔力が有限になるだけだね。能力の持ち主を殺さない限りは生き続けるから」
「へ、へぇー」
結晶をいじるさおき。いろいろとやってみると結構いろんな機能があることがわかった。
「なあ、これってどんな機能があるんだ?なんかたくさん出てきたんだけど」
宙に浮かぶたくさんの青いマークが付いている丸い物。そんな中、さおきは大歓喜していた。
(すげぇなおい!!つまり、このバンドがあれば俺も魔力が無限ってことだろ?実質俺特殊能力2つ持ってんじゃん!)
「そうそう、さおきくんも作った魔法を付与ってやつで私たちに分け与えることができるから」
「魔法ってどうやって作るんだ?」
「えっと、自分の中でスキルが操作できると思うんだけど…」
『ここからは私が』
自分の中から急に聞こえる聞き覚えのない声。極めて高かったり、美しい声でもないシンプルな女性の声だった。
『誰だ?もしかしてスキル?!』
『まあそんな感じですかね。弱冠違いますけど』
『それはいいわ。とりあえずだな、お前がこの魔法創作を使ってくれるのか?』
『そうですね。それに関しては私に任せてください。あと、最初にあなたの目の前にいる人の魔力量を調節したので』
『ん?』
いろいろと意味のわからない単語が出てきて困惑するさおきだったが、お構いなしに話を進められてしまった。
『あんな莫大な魔力波、もろに喰らってたらよくて数時間で死にますよ〜…でも、彼女にはなんの変化もないので安心してください』
『お、おう…』
「さおきくん?大丈夫?」
ずっと中にいる誰だかわからないやつと話していたため、急に現実に戻ったせいか一瞬頭が痛くなった。
「大丈夫、だ。それで、なんだっけ?」
「魔法創作の扱いの話でしょ?どうだった?使えそう?」
「ああ。それなら問題ない」
不安はあった。でも全部、中にいる"あいつ"がやってくれるだろうと思って、そんな不安は散る。
「じゃあ試しに今からやってみてよ!」
「はい?」
いきなり結構な無茶振りされるさおき。少し考えて、まだ無理だと言おうとするとー
『大丈夫です。私に任せてください!』
自信満々に中にあいつが答えてくる。
『大丈夫なのか?心配しかないんだが…』
『大丈夫です!』
強気で言い張られては、流石に言い返せない。うまくいくか不安だがいやいや試してみることにした。
「…わかった」
また軽い痛みが頭を走る。手で抑えながら目を瞑ると、頭の中に文字が流れこんできた。魔法創作と唱えると急に体が重くなった。
「…っっ」
重すぎて、ひざまずいてしまう。
「まあ当然の反応ね。この能力って消費する魔力が多いもの」
「それを早く言えっての…」
『できました。試しに氷魔法を作ってみました。結構戦闘にも役立ちますので』
『…おう』
体がまだ重い。だが、しばらくしたらすぐに治った。立てるようにまで治ったため、汚れをはたきながら立ち上がる。
「なに作ったの?」
「氷魔法ってやつ」
「いいじゃんいいじゃん!」
ウィクが目を輝かせて笑っていた。未だ、反動が残っているさおきも頬が少し緩む。