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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
2 ダンジョン探索編
17/58

『リアがなんか変です…』

またいつものように投稿始めまーす!

というわけで俺たちは今またあのダンジョンの封印部屋にいる。昨日決定した自分の装備は自分で作る、のをやりにきたためだ。なお、全員鍛治スキルを所持しているからみんなある程度作れるはずだ。


「じゃあ、鉱石を取りますか!」


「「おー。」」


あんまりやる気を感じられない「おー。」だった。なぜだろう。俺はこういうのにちょっとワクワクするのだが…


「そもそも、このダンジョンに鉱石ってあるの?普通こういうのは洞窟とかにあるものじゃないの?」


言われてみればそうだ。ここはダンジョンだからなんでも取れると思っていた。だが、俺たちは昨日の試練でたくさんもらったし、それでまたここから何かもらおうなんて虫が良すぎる話なのだ。リアがなんとかすると言っていたが任せっきりも良くない。


「大丈夫。だって…」


そう言ってリアが右手を上に伸ばした。手に小さい魔法陣が表れる。途端に、この封印部屋にあった光属性の結界が破れた。その破片が落ちてくるも、魔力だから消えてしまう。


「すご!リエちゃん、こんなこともできるの!?」


ちょっとリアが微笑んだ。この見た目だから強くても中身は子供なのだろうか。


「この程度の結界、破るのは簡単。でも驚くのはまだ早い。」


この結界が簡単って。たしかこの結界って少なくとも俺じゃなにをしても割れない結界のはずだ。それを簡単にこなすとは…


引き続きリアが右手を上に伸ばしたままでまた右手に小さい魔法陣が表れる。さっきは黒い魔法陣だったのに対し、今のは白だ。白は初めて見た。


属性の色イメージ的に火が赤で、水が青。風はおそらく緑か黄緑だろう。で、闇が黒で光が黄色だとしたら白は存在しないのだ。だとしたらこの魔法は種類が違う物…ということか?


『私が説明しましょう。基本の五属性の発動前の魔法陣の色は全てあなたの言った通りの色です。当たりすぎておそろしいくらいですよ。』


(そんで?)


『その他の魔法です。他の魔法の場合、大抵色が白になります。ですが、禁呪の場合は色が確定致しませんので。』


禁呪。使うことが禁止された魔法だろう。例えば時間を遡るとか、天地逆転とかだろうか。


中にいるあいつと話しているうちに、天井から物音がした。


「たぶん…」


リアがなにか呟いている。だが音のせいでなにも聞こえない。音は次第に大きくなり、それとともに天井が開いた。まさかの隠し部屋とか!?


「やっぱり…」


「どうしたの?」


ウィクが落ち込んでいるリアの元に駆け寄る。頭を抱えてかなり落ち込んでいた。


「うぅ……」


ひどく落ち込んでいる。目に涙が溜まっていた。そんなに落ち込むことじゃないだろうに。そもそも、俺たちになにが起きるのかとか何も言われてないし。


「リエちゃん天井の上に鉱石があるって知ってたけど、別の人に取られたかどうかたしかめたけど、なかったから落ち込んでるみたい。」


ふむふむ。いや気にしないでいいだろ!元々自分たちで集める予定だったし!


ーーーーーーっ


「「「!!」」」


さっき開いた天井のそのさらに上からなにか音がする。納豆を絡めるときのあのねばねばのような音で気持ち悪い…


「ちょうどいい。」


さっきの悲しい顔から一転。リアがやる気になっている。少し怖い。


たちまちリアの背中からあの黒い翼が生えた。後ろのにはウィクがいるのに翼が当たっていない。透けている。つまりこの翼は魔力で作ったものなのだ。魔力なのであれば俺でもできそうだな。今度試してみよ。


と、やってみたい気分を置いといて、現状に俺はついていけていない。上の方に何かいるということはわかる。


現状を整理している時間すらなかった。突如、リアの身につけている物が変化してゆく。履いていたスカートが短くなり、髪が左右にリボンで束ねられていて、右手にはいつの間にか黒と紫色の短剣。おいおい…これはまさか…


リアが勢いよく上へと飛び上がる。俺たちもぐずぐずしてはいられず、リアの後ろまで飛んできた。前には…


「きもっ!」


そう、目の前に大きい蜘蛛。直視していると目がやられそうだ。だがリアは平然としている。これはいわゆる戦闘形態ってやつだろうか。


リアはこれでも魔神である。しかも結構おとなしいためあまり戦闘はできないと判断する人が多いだろう。だが今のリアは性格も雰囲気も全然違う。こんなのは初めてだ。


そっとリアが右手を蜘蛛たちの方に向けた。手に魔法陣が出現する。今度は黒だ。つまり闇魔法。


獄炎ヘルフレイム。」


声とともに、突然蜘蛛たちが燃え始める。炎の数でわかるがすごい量だ。だが、生存力が高いせいか、どの蜘蛛も完全に燃えきっていない。獄炎ヘルフレイムに包まれただけだった。それをリアは動じもせず、


爆発バースト。」


蜘蛛たちが次々と爆発していく。灰すら飛んでいない。これもリアの能力か。結局、右手にあった短剣は、使われずに終わってしまった。というか、リア、武器あるなら作る必要ないのでは?


蜘蛛の駆除?が終わり、リアが戦闘形態をといた。その証拠に束ねられていた髪は、すっかり元の長い状態に戻り、あの慣れない雰囲気も消えた。でも、短剣だけ消えていない。まさか、今から抑えられずに襲ってくるとかはないよな?


「終わった。」


よかった〜。元に戻っている。だがなぜか肩が…


「つかれた…ちょっと…借りる…」


俺の両肩に腕を乗せ、耳元で囁いた。そしてスースーと眠っている。本当に気楽なやつだ。そういえばあいつは…


俺は辺りを見回す。だがウィクはどこにもいない。肩にかけているリアの手を落ちないように気を使いつつ、俺はウィクを探した。


でもどこにもいない。そういえば両足に妙な熱を感じる。蜘蛛が残っていたのかと思い、俺は恐る恐る足元を見た。


「うぅ……」


ウィクだ。怖いのか、なぜか震えている。


「終わったぞ。」


「ほ、ほんとに?」


泣きかけている。なんだろう。虫NGってやつだろうか。


「……んん……」


リアが俺の右肩に頭を乗せてきた。か、かわいい!俺はよしよし、とやさしく頭を撫でる。かわいい!


「あー!ずるい!私も!」


さっきのあいつ(ウィク)はどこにいったんだ?まあ、元に戻ったからいいか。


ウィクもリアを撫でている。まあ、俺たちはとりあえず下に降りた。


「どうす…っておい!」


まだ撫でていた。撫ですぎだろ!そんなに撫でたら俺も嫉妬するわ!と、俺もリアを撫でる。


「……むぅ…………んぅ…」


「「は!」」


お互い、起こさないように手を離す。だが俺は手をまたリアの頭の上にそっと置いた。


「よしよし。……よしよぉ〜し。」


俺はやさしくリアをもう一度撫でる。


「……んん……気持ちいい…」


起きてる!この子、起きてる!やばい…つまり、バレていたのか!


「リ、リア、その、これはだなぁ…」


俺はなんとか答弁する。あぁーーー!恥ずかしいぃーーー!


「もっと〜。もっとして〜。」


「え?」「はい?」


あの冷静なリアが急に甘えんぼになってしまった!?俺とウィクは夢ではないだろうかとお互いの頬をつねる。


「痛い!痛いってば!」


俺の力が強すぎてしまったらしい。だが、夢ではない!しかも、リアの顔が赤くなっている。大丈夫か?


「私はだいじょぶだから〜」


いやどう見てもおかしいだろ!と、俺は引き続きリアを撫でつつ、元に戻らないものかと考える。ウィクが「私もぉー!」と手を差し伸べるがなぜかリアがそれを回避するという不思議な光景だった。


しばらく立ってリアが俺の肩にかけていた腕をはずし、降りた。元に戻っている。さっきの甘えんぼがまるで存在しなかったような感じがする。なんだ…


「ご…ごめん。恥ずかしいとこ…見せた?」


今度は違う意味でまた顔真っ赤ーー!もう、なによこれ!


「あ、あのね、私、よく体力使うこととか戦闘とかすると、その、なんか頭がボォーとして、その、さっきみたいに…」


そういうことか。いきなり人が変わったようになったからビックリしたけど…ギャップがすごい!


「もぉ〜かわいいんだからぁ〜」


と、またウィクがリアを撫でに行こうとする。だが、


「もう撫でるのはいい。」


「な……」


ウィクがその場に立ちつくしてしまった。まあなにはともあれ、鉱石もないことだし、なんとかしねぇとな。ダンジョンをもうちょっと探ってみるか?


「なあ、そういえばさっきあの蜘蛛たちを倒した技は…」


あれはすごかった。獄炎ヘルフレイムと、その爆発バーストだっけ?どんなモンスターでもイチコロそうだ。


「あれは私のスキル、『全能者パーフェクター。』あらゆるスキルが使える。」


あらゆるスキル!?つまり俺が持ってるものも、持ってないものも全部、使えると!これはすごすぎる!なんでもできるからその名の通り全能、なんでもできる。


「話を戻すが、ここにないってことはもう鉱石が取れないってことだよな?」


『ありますよ。この近くに。』


はい?俺もウィクのように頭が急に空っぽになって立ち尽くしてしまった。


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