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勇者なんてやめて旅をすることにした  作者: じゅじゅ
2 ダンジョン探索編
11/58

『仲間が増えました』

少女はそう言ってあたりを見渡した。


「俺はさおき。おまえは?」


「私は、アミリエ。ずーーーーーっと前にここで眠らされて、意識はあったんだけど目を開けることができなくて。それでたくさんの人がここに来て、私のあの封印は解けたけど私は目を開けることだけができなかっ

た。」


アミリエがあの封印の箱に座って話す。ずっと寝ていて動けなかったせいか、腕を前後に動かしていた。

というか、ずーーーーーっとって抽象すぎだろ。


「それで、俺がその眠り姫を起こしたってわけね。」


「そう。さおき、絶対闇属性の素質ある。でないと、私を起こせない。」


「というと?」


俺の体に一筋の悪寒が走った。いやな予感がする。


「私、悪魔族デーモンの姫。お父さんがあの悪魔王デーモンキングで、お母さんは……よくわからない。」


やばいやつに出くわしてしまった!悪魔王デーモンキングってあの夢に出てきたやつなのか?だとしたら俺はこの世の解いてはいけない封印を解いてしまったことに…


「私は生まれたときから魔神だった。そのとき、みんな人間と戦ってた。でもお父さんは私に戦場に行かせてくれなかった。私の他に5人魔神がいた。みんな私を可愛がってくれた。」


5人の魔神ってまさか…いや、まさかな。


「それで、なんで俺みたいな闇属性に素質があるやつじゃないと起こせないんだ?」


「それは私を起こそうした人たちから闇の魔力を何一つ感じなかったから。でもさおきからはすごい感じる。闇の魔力。」


まあおそらく闇属性に適正があるやつなら誰でもアミリエを起こせるだろう。ただ今までここにきたやつが闇属性に適正がなかっただけだ。俺はそう確信した。


「で、アミリエはこれからどうするんだ?」


アミリエは左手の人差し指を顎にあて頭を揺らしながら考えていた。


「決めた。」


「どうするの?」


「さおきたちと一緒にいく。」


「は?」


この選択だけはしないだろうと思っていた。だから驚きがより大きい。


「いや、いいことないぞ。ただ俺は旅してまわるだけだから。」


なんとかついて来させないようにする。こんなやばいやつ連れてたら何が起きるかわからないからな。


「やだ!絶対に連れてって!」


さっきまであまり大きくなかった声が急に大きくなった。これは世間で言う、2歳くらいの子を連れておもちゃ屋の前を通ったらおもちゃ買うまで帰らないってやつだ。


実際アミリエは今、俺のお腹あたりに抱きついている。つまり、連れていくって言うまで話さないやつ。

ずっと抱きつかれてもなぁ。しょうがない。ここは、


「一応、仲間もいるんだ。そいつらにも許可を取らないと。」


アミリエが目を輝かせている。ああダメ。これ絶対連れて行ってもらえると思ってる!


「それで、どうやってここから出るんだ?」


「それなら…」


アミリエが門に向かって手を出した。その手に魔法陣が現れる。それと同時に門が少しずつ動きだした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ


門が開いた。そういえば、今までに来た人ってどうなったのだろうか?


「なあ、今まで来たやつらはどうやってここから出たんだ?」


「さおきの今立ってる場所に落とし穴がある。それを動かせばこの入り口に戻る。」


いや、ここって地下だよな?落とし穴でさらに落として地上に戻すって…


「それと、後ろ向いて。」


なぜか未だにアミリエが俺に抱きついているため、俺にとっての前はアミリエにとって後ろなのだ。


俺は後ろを向いた。すると…


ーーーーーーッ


急に後ろの壁にすごく大きな魔法陣が出現。すごい規模の魔法陣だ。


「ちょっと揺れるかも。気をつけて。」


魔法陣の色が一斉に変わり、後ろからすごい物音がする。


「後ろでなにが起きているんだ?」


「ちょっと待って。もうすぐ終わるから。」


そのあと音がさらに大きくなり、地面が揺れてきた。揺れはそんなに大きくないため、普通に立つことはできた。


「終わった。」


そう言ってアミリエが瞬時に今度は俺の背中に抱きついた。首に重力がかかって絞められてる感がすごい。


「抱きつくなとは言わないけど、もうちょっと場所を考えてくれ。でないと、俺の首が絞まっていつか死にそう。」


アミリエが俺の首にかかっていた腕を肩の方に移動させた。まだこっちの方がマシ。

俺の右肩からか顔を覗かせて、


「これでいい?」


「……」


なにが起きたか知りたかったため、俺はすぐにまた後ろに向いた。


「……ぇ………」


声も出ない。このキラキラして目も開けられないほどの財宝の量に。


「これって…」


「全部お父さんの。もうお父さんはいないから全部持っていっていいと思う。」


いや、全部って…相当な量だぞ。


「この量は全部は無理だな。よさそうなものだけ。」


「じゃあ全部持っていこう。」


「?」


またさっきみたいにアミリエが右手を前に出した。同じ魔法陣が現れる。


「空間収納。」


一瞬でここにあった財宝が全て消えた。その名の通り別の亜空間に収納されたのだ。


「すげ〜」


「これでも一応魔神だからね。」


俺たちはあの落とし穴を使って外に出た。


「うわぁぁーーー!」


結構なスピード落ちていく。本当に地上に着くのか心配になってきた。


「今から転移する。声を抑えないと後で恥ずかしい目にあうよ?」


アミリエがちょっと笑い気味に言ってくる。実際、アミリエは無反応だ。俺みたいにうわぁー!とか言ってない。


「いい?」


頷く。俺はすぐに手で自分の口を塞いだ。目も瞑った。


「さ、さおきくん?」


「!?」


外はすでに夕方になっており、ウィクがダンジョンの前でほうきに座っていた。


「よかった〜ちゃんと戻ってきてくれた!」


ウィクの後ろの方に負傷者が並べられている。その中にはレクライトの姿もあった。俺はすぐに駆け寄った。


「大丈夫か!?」


「……さおき、か。………おまえ……は……無事……だった……んだな。」


声が掠れている。よく見るとすごい傷だ。頭から足までに包帯が巻かれている。


「さおきくんその子、誰?」


アミリエのことだろう。やはりこうなる運命だったのか…


「話せば長くなるんだが…」


「話して!」


ウィクが強く言い張った。絶対悪い方向に思われてる…


「そういえば他の9人は?」


なんとか話題をアミリエのことからそらす。


「あの人たちは全員救出されたの。なんかドラゴンに遭ったらしくて、戦ってたら急にドラゴンが消えたって言ってる。」


「私の目を覚ましたせいだと思う。お父さんが私をここに封印してからたくさんモンスター置いていった。」


……おい。今衝撃的な発言がなかったか?お父さんが封印しただって?


「まあそんな感じでみんな怪我はしてるけど全員生きてるし。さおきくんは大丈夫?」


そういえばさっきから背中の方がやけに冷たい。このときさおきはようやく自分が今どういう状態だったのかを思い出す。


そうだ、俺はたしか…

体中が重くなり徐々に前に傾いていく。


「さおきくん!?」


「ごめ…ん」


俺はその場に頭から倒れてしまった。


目が覚める。どこかわからない知らない天井を見て。


「さおき!起きた!」


隣にはアミリエがいた。ずっと俺の容体を見てくれていたらしい。


「話は全部聞いたわ。眠り姫のを起こした王子様!」


なぜかウィクがニヤニヤして俺を見てくる。ちょっと気持ち悪い。


「にしてもさおきくんにそれほどの闇属性の魔法の才能があったなんてねー!」


いつのまにかウィクがどこかにまた行った。俺は少しずつ体を起こす。


「大丈夫?手伝う?」


「問題ない。このくらいなら…」


ゆっくりと体をベットから起こしあげた。すると俺はウィクが向かった先になにがあるのかを知る。それは…


「キッチン!?」


そう、キッチンだった。つまりここはそこらのホテルとかじゃない。となると…


「ここはヤムリエの冒険者ギルド4階の一室。主にギルドが総出で行った捜査などで負傷した人の治療やリハビリをするところ。」


アミリエがやけに冒険者ギルドのことなどについて詳しくなっている。さては、あいつ(ウィク)が叩き込んだか。


「できた!ふぅ〜。疲れた〜」


どうやら料理を終えたらしく、ウィクがベットに向かってダイブする。俺の隣にベットが2つあった。つまりここは3人部屋なのだ!


「なにを作ったんだ?」


正直に気になる。俺も料理ができないといえばできない方だがまずいご飯は食いたくない。


「カレー。」


か、カレー?あの、インドから伝わって、今や日本でその食べ物の存在を知らない人はほとんどいないというあのカレー?


ウィクが起き上がってまたキッチンの方に行く。

すると、ウィクが皿にカレーを盛り始めた。量はそれほど皆、多くはなさそう。


「食べよ〜」


「おぉー」


あの2人(ウィクとアミリエ)が仲良くなっている。ほんと、女子って怖いものだな。


俺もテーブルまで歩いていってカレーを食べた。見た目は悪くない。カレールーにじゃがいも、牛肉とにんじんなどメジャーなものが入っている。


俺は恐る恐る皿の近くに置いてあったスプーンを使って食べた。


「・・・・・・・」


「どう?どう?」


「・・・・・・・・・・・・」


「さおき、なにもしゃべってない。」


ゴクリ。


「普通だ……」


普通だ。それ以外の言葉でこのカレーを表現することはできない。


「やっぱりね。私ってなに作っても普通の味になるの。」


「でもこの普通くらいがちょうどいい。」


アミリエがウィクを慰めながら言った。俺そんなに悪いことした!?


「ところで、結構大事な話なんだけど…」


ウィクとアミリエが同時にスプーンを置いた。俺も一応スプーンを置く。


「アミリエちゃん、どうする?連れて行く?」


これか。俺としては別に害もなさそうだし連れて行ってもいいと思っている。だが問題はその身分の特殊さだ。アミリエの言っていることが事実だとしたら他の悪魔デーモンたちが襲ってくるかもしれない。


「やっぱり、私、ついていったらダメだよね…」


泣きかけている。こうまできたら連れていかないわけにはいかないからな。しょうがない。


「私は別にいいけど、さおきくんがどうするか…」


覚悟を決めた。そもそも、この眠り姫の目を覚ました俺にも責任がある。これからなにが起きようと、頑張ってやり越していくか。


「いいよ。ついていきても。」


「ほんと!?」


「うん。」


さっきの悲しかった顔が一気に変わった。今はキラキラと輝いている。


「さおき、ウィク。よろしくね!」


アミリエが新たに仲間に加わりました。

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