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第7話 合同部隊

 上空にあがる。まだ空は大丈夫そうだ。司令部から無線が入る。


『敵の数、多数確認。NTー16・17・18・19・20・22・23部隊に応援要請済んでいますが、敵に接触をしないよう迂回して下さい』


『り、了解しました』


 青山先生の声も震えてた。


 お、おい。どれだけの数なんだよ。今まで一部隊で倒せてたのに要請が七部隊って。さらに追加するかのように司令部から無線が入る。



『各部隊到着の遅れの恐れがあるのでNTー21部隊の戦闘員も招集済みだ。できるだけマウスを引きつけ、戦闘を開始しないように』


 いつも司令部からの声じゃない、男性の声が入ってきた。ますます緊張が高まる。これって完全な異常事態だよな。


『はい。迂回する。ついてくるように』


『はい』


 青山先生の声にみんなの不安げな返事。こんな事態は初めてだ。敵に向かって行くばっかりだったのに行く先を予想してそこまで退却して待機するなんて。


『敵の数は? 今までよりどれくらい多いんですか?』


 青山先生が迂回しながら聞く。やはり知らないと不安が膨れる。いや、きっと聞いても同じか。この事態は。


『こちらの測定器で今わかるのは今までの五倍だ。だが、これからも増えることも予想される。なので、他の部隊にも出動要請を出した。要請した全部隊が向かっている。できるだけ敵に接触をするな。全部隊にも待機要請している』


 全部隊って! これって相手が全面戦争に出たんじゃないのか?



 俺たちはできるだけ接触を避け飛行を続ける。ポツリポツリと雨が振り出してきた。最悪の状況だ。いくら迂回して味方の到着を待っても奴らが街を攻撃したらこちらも出るしかない。だけど五倍じゃあっという間に俺たちの部隊は散って行くだろう。それがわかってるから司令部は接触をさせないようにと命令を出しているんだろう。だが、避難してるとはいえ街の破壊をただぼうっと見てる訳にはいかない。早く来てくれ。祈るしかない。


 エンジンの音が響く。誰も話をしない。ただただレーダーを見つめる。敵の数は五倍どころではない。無数に点灯する敵の数。


 そこに司令部からの無線が入る。


『NTー20・22部隊、到着。そのままNT-21部隊と予備部隊と共に待機。いつでも戦闘体制に入れるように』


『了解』


 声が飛ぶ。各部隊の隊長と、うちの予備部隊の隊長だ。みんな声が緊張している。まだこれでも足りないんだ。


『NTー23・16・18・19部隊ももうすぐ到着。到着次第戦闘開始するように。敵を取り囲め。いつもと違う動きをしても気にせず撃破するように。17部隊もすぐに到着予定だ』

『了解』


 今度は少し緊張が解けた。司令部がゴーサインを出したんだ。これでいけるってことだ。



 司令部からの無線。

『最後の16部隊が到着した。すぐに取り囲むように』

『番号順に北から時計周りに囲むので、お願いします』

 青山先生が指揮する。そうだよな。どう取り囲めと言うんだ。今までこんなことなかったから合同での練習すらしてないのに。

『了解』


 司令部も慌てているんだろう、合同作戦は昨日がはじめてだった。しかし、味方は敵の背後から現れた。自然に囲い込む形になるから、何も言わないでもなんとかなった。

 けれど、今度は多い部隊で敵を取り囲まなければいけない。連携が必要だ。それぞれ綿密に場所を確認する。敵に逃げられると追撃しないと困るがそれに部隊の一部でも割きたくないからだ。

 一応うちの予備部隊が追撃班とされた。正直言って、実践経験のない部隊に一角を任すのは不安があるからだ。

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