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第2話 マウス

 そろそろ近づいてきたみたいだ。司令部から無線が入る。


『NT―21部隊戦闘開始! 』


 NT―21部隊は俺の所属している部隊だ。


『今朝よりも敵の数が多いぞ! 気合いれて一機でも多く撃ち落せ!』


 今度は先頭を飛んでる部隊長の声。さっき授業をしていた国語の先生だ。まだまだ若く細い体つきはとても戦闘員には見えない。顔ダチは甘い作りらしく女子がなにやらいつも騒いでいる。


『了解!』


 と無線で返す。みんなもそれぞれに返していく。南の声も聞こえてきた。南、女なのにこの前一番落としていたよな。南は小柄で華奢な体つきでとても戦闘機を動かしているようには見えないが、成績は上の上。戦闘機セイヴァーの扱いは天才的だ。肩の上までの黒髪を今は結んでいるだろう。黒い大きな瞳で小動物を連想させる顔つきは戦闘員という言葉が似合わない。

ここでは女も男も先生も生徒もサラリーマンもない。


 俺らは敵機マウスを撃ち落す。

 マウスとはネズミだが、そちらの意味ではない。昔のパソコンにはマウスというのがついててそれで操作してたそうだ。それに形が似てるので敵機にはマウスという名前がついた。グレーの光を反射する機体に赤や青や黄色などのいろいろな色でデタラメに塗られている。子供が集まって描いたと言われれば納得しそうだ。


 いったい何機マウスを落とせば終わるんだ!


 今朝の悪夢に拍車がかかる。多いとは聞いたが多すぎだろ! マウス。


 と、いい加減やる気が失せてきたところで司令部から無線が入る。


『敵軍後方から援軍接近中、間もなく攻撃体制に入ります』


 ほうっと、息を吐く。


『NT―20部隊だ。間違えて味方を撃ち落とすなよ』


 そういえば他の部隊との共同戦ははじめてだ。こんなに多くの数のマウスに襲撃されたのは初めてのことだ。


『前後から挟んでる状態だが、囲み込め一機たりとも逃すなよ』


 簡単に一機と言ってるがマウス一機逃せば被害は大きい。昔はマウス一機で街が一つを壊滅されたのだ。マウスを撃ち落とす兵器、今俺が乗ってる戦闘機セイヴァーが開発されるまでの間に、国のあらゆる街という街が破壊された。冗談のように言っているが本気である。俺らは一機も逃せない戦いをしている。毎日の日常生活を送りながら。



『任務完了。それぞれ元の部所に戻ること』


 司令部からの無線で終戦が告げられた。もう軽く昼は回っている。

 安心したら急にお腹の減りに気づく。

 とっとと帰ってお昼だ。

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