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第18話 チリとなって消えても

 廊下の人数が増えて行く。みんな少しずつ気持ちが切り替わって行く。


「そろそろいいかあ!」

 桜田さんは部屋の中を覗き誰もいない事を確認する。

「では、移動する。ついてきてくれ」

 前を行く桜田さんも普段は普通のサラリーマンだろう。軍人はどちらかと言えば命のかかわる任務にはつかない。軍人ではない桜田さんが精鋭部隊を指揮する。そこにいる学生やサラリーマン達を。なんか俺たちらしい。日常生活と戦闘に明け暮れていた俺たちらしい。



 先に敵地を視察している映像や写真などから作戦や配置など様々なパターンで話は進む。

 ふと気になった。どうしても言いたい。

「あの! いいですか?」

「ん? ああ、東出か、なんだ?」

「あの……カメラを中継で繋げないですか?」

「カメラ?」

「全滅した場合に後続してくる精鋭部隊の参考になるようにした方が……だから全世界の人に向けて」

「ああ。そうだな。それは……世界中?」

「みんな、なんでか知りたいはずです。なぜマウスが襲撃を続けるのか? マウスの正体を」

 俺たちが最深部に行くかもしれない。どうなるかわからないんだ。すべてを伝えなければ、何かを残さねば気が済まない。チリになって消えるだけになんてなってやるもんか!

「そうだな。ちょっと待ってくれ」

 桜田さんはすぐに俺たちが乗る機体にカメラをつけるように、さらに小型カメラをヘルメットにもつけるよう交渉して電話を切る。

「あとは……宝田と矢部、君らにはカメラを持って行ってもらう。撮影する場面があるかはわからないがいつでも撮影可能な状態で頼む」

「はい」

 どちらも二十代だ。きっと年齢とかいろいろ考慮したんだろう。戦場で撮影なんてきっと難しい。というか予測不能な場所に行くんだ。何が起こるか、なにが待っているのかわからない。



 作戦会議は早くに終わる。食後はシュミレーターで少し慣らすといっても、ほとんどみんな今日も昨日も実践経験済みだろう。先がわからないから、作戦を練り様がないからこうなったんだろう。シュミレーターが終わると自由時間だ。

 南がシュミレーターし終わるのを待つ。女性も何名かいる。南だけでなくてよかった。決戦の前日に一人きりは辛いだろう。

「よお。感覚は戻った?」

 南は今日一日戦闘停止だった。なので声をかけたがそんなもので失う鍛え方をしてはいない。

「ふふ。全滅」

「マジで!」

 シュミレーターってめちゃくちゃ難しい。実践ではありえないぐらいに。俺なんて全滅なんて何回したっけ? ぐらいなのに。

「南、どこにその能力あるの?」

「ここ!」

南は自分の頭に指を指して得意げにこちらを見上げている。

「脳かよ! 運動能力ないのに」

「それ言わないでよ。ってか運動能力関係ないし!」

 くくく。健太郎に聞かせたい言葉だよ。



 就寝は早かった。マウスの襲撃時間を読めないからだ。

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