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第15話 鉄則

 ピー



『正規戦闘員、戦闘員は、2時から待機場所に集まってください』



 時間的に授業をはじめる訳にもいかないので、非戦闘員は自習。

 正規戦闘員と、今日の戦いで欠員となった戦闘員の空席に入ったメンバーをそれぞれ確認、青山先生の代わりの隊長は別の待機場所にいるので無線で陣形の組み直しが行なわれ、多分来るであろう明日の戦いに備えていた。


 ピー


 時間だ。僕らはそれぞれの位置につく。空席があちらこちらにある。席があるわけではないが、いつも同じ配列で並ぶから空席に気づくほど人数が減っている。今日の襲撃は時間的にも避けるのが難しかったのと機体を操作する技術がどうしてもあの場合必要になる。多くの空席は元戦闘員で、今回正規戦闘員になった者のいた位置ばかりだ。


『時間になりましたので始めます。まず始めに、本日のマウスの襲撃と同じことが昨日と同じく世界二十三ヶ国の首都で起こりました。マウスの数は各国によって違っていますが、昨日の四倍のマウスだということでは統一されています』

 四倍のマウスだったか。はじめの予測の二倍のさらに二倍。逃げていたマウスが多いはずだ。


『マウスはレーダーで観測されますが、これまでは国に接近するまでレーダーで観測されないようにマウス側が操作していたようです』

 それで今までこの百五十年以上の間、敵がどこから来るのかわからなかったのか。

『どこからマウスが来るのかまた何箇所拠点があるのか、地球上なのか宇宙なのか一切わかっていませんでした。が、昨日のマウスの移動と今日の移動で敵の居場所が判明しました。各国協議の上、どの国の追跡結果ともに同じだと確認出来ました』

 どよっと、どよめきが体育館に起こる。俺も興奮する。ついに敵地を攻撃できるのか?

『マウス移動後すぐに偵察機を飛ばし偵察をした結果、そこは地球上であり、そこには大きな爆弾が設置されていると解析できました。分析と解析を繰り返しましたがどうしても中の物質でわからないものがあり、一挙に爆弾を落として敵を殲滅するということは難しいと判断しました』


 体育館はさっきとは違うざわめきが起こった。これで一気に解決になるんだろうかと期待していた気持ちを裏切られた形になったからだろう。

『そこにはマザーコンピュータらしきものがあり、それとマウスを製造している様子を偵察隊が観測しました。この二つを破壊できれば我々人類の勝利となり、この闘いは終わります。この任務の為に昨日と今日昇格した正規戦闘員以外の正規戦闘員から有志を募ります。他の国々は昨日と今日の被害が凄まじくとても早急に精鋭部隊を派遣することはできないとのことです。これは我が国、日本だけで行う計画になります。今までは規則で国民全員の中から強制で戦闘員として働いてもらっていましたが、この任務は危険であり勇気、判断力、そして戦闘能力全てが必要になります。ということで、隊長にいたるまでこれまでマウスと直接戦ってきた者の中から募ります。精鋭部隊には科学者数名を同行させます。爆弾の物質の解析の為にです。その科学者の護衛はこちらの軍部の方でつけます。先ほど言ったマザーコンピュータの破壊とマウス製造機を破壊するまでの間のその場にいるマウスの殲滅が任務になります』

 みんな顔を見合わせる。どうする? と。

『この計画の決行は明日、マウスが出撃を行った直後に行います』

 これには体育館中が多いにどよめく。明日マウスの襲撃があるのは予測済みってことか。つまり、明日もマウスの大群が来ている、その間に精鋭部隊が行く。つまり、ここも守り敵も責めるのか。だから、他の国は対応できないんだ。

『できるだけマウスの数が減っている時に作戦を行いたいからです。昨日と今日の戦いで首都の正規戦闘員が減っています。そこからまた精鋭部隊を作るので首都は手薄状態になります。日本全国のすぐに動ける正規戦闘員が戦闘機に乗ってこちらに向かっています。彼らで正規戦闘員が欠けている首都の戦力を埋める予定にしています。部隊はすでに決まっている者と精鋭部隊で抜けた部隊に入るよう決めています。彼らは順次到着予定になっています。精鋭部隊の人数は部隊数と同じ四十人と隊長一人とします。隊長で名乗り出てきた者はこちらで精鋭部隊の隊長で適任か判断させてもらいます。他の立候補者もこちらで能力を判断した上で参加を決めます。以上』


『君たちのこれからを君たちで決めてくれ』


 ざわめきもなく静まり返る。最後は声が違って男性にまた代わっていた。


 前に物理の吉田先生が出てくる。青山先生がいないからだろう。

「精鋭部隊希望者は私か戦闘員の先生に申し出る事。もちろん能力により採用されるかは未定だが、明日の作戦であり、明日に部隊の出撃があるので正規戦闘員が抜けた欠員を補う必要がある。なので願い出るものは今日の授業が終わるまでとする。それぞれよく考えてほしい。戦闘員、正規戦闘員の補充が足りなかった場合または間に合わなかった場合、繰り上げがある可能性がある。心していつでも戦闘に行けるようにしておいてくれ。では、以上だ。それぞれの教室に戻り授業をはじめる!」

 こんな時に授業かよ。いや、それが鉄則なのか。変えればまた戦闘の日々になるから。

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