第45話:正規軍を凌駕する精霊の聖者
要塞線沿岸部から100キロメートル地点 沿岸 指揮揚陸艦 レイヴァス室内では
「陛下に会いたい……」
思わず口に漏らしてしまう。ヘルシア閣下も確かに魅力的な可愛らしい女の子だが、陛下の小悪魔顔は無茶振りのサインだがそれすら愛おしく、感じる。
すると魔導通信機が鳴る。
「こちら、レイヴァスです」
「ドルヴォーフだ。2日後に要塞線を襲撃する計画は届いているか?」
「はい、コーヒーを飲みながら見てましたよ」
すると向こうでも液体を啜る音が聞こえる。そして苦っという小言も聞こえてくる。
「はぁ、陸軍元帥なのに代用コーヒーとは悲しい話だ。そっちはどうだ?」
「コーヒーに関しては戦時前に輸送艦に詰め込んだので問題ないですね。作戦に関してはハーメルン中将からの報告を確認済みです。かなり思い切った作戦だと」
ドルヴォーフ閣下も重たいため息を出しながら答える。
「これでも上手く撤退戦を仕掛けて50師団ほど要塞から引っ張り抜いたんだ。感謝してくれ。2日後に補給を整えた我々主力軍が攻勢を仕掛ける。と言っても数は多くても、生存重視だ。だが敵は遠慮なく兵を投げ出してくるだろう」
自分は話を聞いてると違和感を覚えた。ドルヴォーフ閣下の声が僅かに震えている。
「閣下、懸念事項があれば仰ってくれても問題ありません」
マッチをする音と共に、葉巻が焼けるパチパチという音がする。
「実は要塞の一部が連邦本土と繋がっている可能性が出てきた。貴官なら分かるだろ?」
これが事実なら戦略的な悪夢もいいところだ。
「従来想定の要塞内500個師団がさらに膨れ上がる可能性がありそうですね」
「外交諜報部にも調査を急がしているが……800個は覚悟した方がいいかもな……」
ドルヴォーフ閣下の葉巻の吸う音と自分がメモをするペンの音の静かな混声合唱がしばらく続くとドルヴォーフ閣下は改めてと付け加える。
「レイヴァス特務中将、君の元正規軍の5個師団をお借りしたい。可能か?」
あーヴァルツさんが漏らしたか。だが今回の作戦で人類最強クラスの師団に匹敵するレベルまで叩き上げたこの5個師団を簡単には譲れない。要塞攻略においてこの5個師団は戦略予備の意味を持ってしても重要な要だからだ。
「簡単には渡せませんね。彼らは最優秀と言っても過言ではありません」
ドルヴォーフ閣下は葉巻の煙を撒き散らす音を出してから一言。
「私に出来ることなら何でもしよう」
これを待っていた……!!
「私を帝国城勤務に戻して頂けるのなら3個師団お貸ししましょう」
「陛下に会いたいとでも?」
「私は吸血姫の執事ですから」
ドルヴォーフ閣下はガハハ!と笑い、では、3個師団と共に帝国本土に来てくれ。と言って通話を切る。
さて、これで戦略予備は無くなった。損失6割での撤退に変わりは無いが見直すべきか……
すると国家保安局の第2課課長がノックもせずに入ってくる。
「ノックくらいしてくれ」
「失礼、急用でしたので」
「なんだ?」
とてつもなく嫌な予感がする。国家保安局ほど礼儀や管理に厳しい吸血鬼がノックもせずに、上官の部屋に入る。異例だ。
「パラディンズの1人、精霊の聖者アイリオーン聖騎士が要塞地下部にいると情報がありました」
あまりに突拍子もない報告でペンを落とす。
「……それは事実か?」
「わざと捕らわれた諜報員の報告です。精神鑑定の為のサインも忘れておらず、健常の証なのは間違いありません。双月の聖者を倒した閣下しか倒せない敵でしょう。奴が要塞から出た瞬間、戦局は一変します」
自分はコーヒーを飲むが苦味も感じないくらい、ストレスと不安が溜まっていた。
「ドルヴォーフ閣下に伝えてくれ、約束通り師団は送る。ただし自分は行けなくなったと」
「かしこまりました」
背の高く、綺麗なお辞儀をした第2課課長は退室する。
そして、自分は葉巻を持つ。
「ストレスが無くなるなら……いや、肺をやられて陛下に嫌われるよりはマシだ」
葉巻をしまい、陛下から頂いた陛下の血液のゼリーを食べる。陛下の血液100%だ。
食べ始めた時点で心が安らぎ、食べ終わる頃には覚悟を決めていた。
陛下直通の魔導通信機に手をかける。本当に死ぬかもしれないから。
こんにちは!昨晩から徹夜明けでめちゃくちゃ頭が重たいです笑
そんな中でもご拝読頂いてる皆様には感謝してます。徹夜理由は復元不可能と思われた小説のファイルを復元出来たのでそれの推敲と文章の追加約7000文字をしていました。
さて、今回お昼に投稿した理由は何かPV数とかに変化があるかな?と思って試験的に投稿しました。いつも夜に期待してる方には申し訳ないです。もしかしたら夜にもう1話投稿するかもしれないのでその時もぜひ、ご拝読頂けると幸いです!そして記念すべき45話!皆様に支えてもらって、投稿をし続けられる勇気を頂けました!本当に感謝してます!それでは、よい週末を!




