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第38話:開戦の幕開けと戦略的な指揮官分け

汽笛の音がする。あの日帝国に訪れた時よりも大きく、壮大な音が。

「レイヴァス閣下、通信魔導具の作戦全部隊に繋いでおいてくれましたかな?」

「はい、ヴァルツ閣下。大丈夫です」

君も慣れたものだな。と閣下は褒めてくれて、受話器を取る。

「海上作戦全部隊に次ぐ。天気、小雪舞れながらも波激し、戦場の神が激励してると思え、帝国の存続この一戦にあり、全作戦員の奮戦を命じる。帝国旗を掲げよ!」

そうすると艦橋から見える全ての船と高速揚陸艇が旗を掲げるのが見えた。それはまるで聖戦に赴く騎士団を彷彿とさせる。

「白桜級決戦戦艦及び各艦隊出航!」

再び大きな汽笛が鳴り響き、ゆっくりとだが動き始める。と同時に荒い潮風が身体に戦場へ向かうんだぞと告げた感じがした。

「レイヴァス閣下にはこの領海ギリギリまではこの白桜に居てもらいます。ここに到達した際に指揮輸送艦に移動してもらい、レイヴァス戦闘軍の指揮をお願いします」

「分かりました。閣下、ですが……ついに始まりましたね」

「そうだな……レイヴァス閣下は独り身でしたか?」

自分はこの質問をされたら聖夜祭後からは回答を決めていた。

「自分は陛下と共にです」

ヴァルツ閣下の葉巻ケースが無くなるのを見て、自分は一瞬気まずいことを言ったのかと思ってしまった。

「陛下が変わられたのもレイヴァス閣下のおかげです。あの傍若無人っぷりの陛下が、ここまで変わったのはほぼ運命とか奇跡のようなものですよ。ところで葉巻持っていませんか?」

自分が吸うわけではないが部下を労ったり、ヴァルツ閣下の為に3箱持ち歩いていたので、1箱渡す。

「おぉ〜これは中々良いものを。しかも22本入り。助かります」

そのまま世間話をしながら、その時にヴァルツ閣下が最近葉巻ケースの本数を管理できなくなったのは海軍上層部では有名らしい。そしてヴァルツ閣下の部屋へと入る。

「綺麗な部屋ですね」

「実家では、部屋を散らかすと妻に怒られるのでその癖です」

そして海図を見ながら自分の位置や駆逐艦の位置などを確認する。木で出来た駒を、出来たての海図の上を進ませ、架空の戦場の再現する。カタン、カタン、という音が進撃の音だ。

「閣下、1つお伺いよろしいでしょうか?」

「どうしたのかね?」

「何故閣下は最重要と言っても過言では無い工業地帯攻撃艦隊に乗らなかったのですか?」

ヴァルツ閣下は少し悩みながらも、答えを何とか絞り出してくれた。言おうか悩んでいたのは明白なくらい顔が歪んでいた。

「責任……でしょうか。私は陛下からレイヴァス閣下を託されたと思っています。何かあれば私よりも、誰よりも先に内火艇(船同士を移動する小型船)載乗せるつもりです」

すると船内の通信管からヴァルツ閣下部屋のみに繋がる音声が響く。

「ヴァルツ閣下!工業地帯攻撃艦隊の指揮官ラインルート准将より報告!我、戦闘に突入す。敵艦隊は少数、勝機は十分にあり。とのことです!」

そのまま閣下は好きなだけ砲弾をプレゼントしてやれ。とだけ伝える。

「レイヴァス戦闘軍の動きは決まってますかな?」

「はい、部隊特性均一型で行こうと思います。精鋭歩兵と言えども戦車相手には勝てませんから」

「なるほど、装甲戦闘師団が歩兵を守りつつ、自動車化師団が素早く展開と輸送。悪くないですな。正規兵の練度も高められましたか?」

自分はその件については。と鍵付きのメモ帳から1ページ切り取り、渡す。

「……これは面白い。ドルヴォーフのやつが見たら意地でも欲しがるぞ。人類最強の国家レアノール皇国の最精鋭師団第零師団に匹敵するとはな。私も覇権戦争時にはあの師団に我々の海上基地防衛隊をボコボコにされた悔しみがある以上は頼もしさ以外の何物でもない。貴官の素質を疑うわけではないが事実か?」

「はい、複数のシンクタンクや同盟国家の高官の評価です」

ヴァルツ閣下は楽しそうに笑いながら、お腹の音を鳴らす。

「失礼、歳をとると小腹がすいたり、葉巻の本数を管理できなくなるものでして……サンドイッチ食べてもよろしいですかな?」

「構いませんよ」

するとルンルンと鼻歌を歌いながら、手作り感満載のサンドイッチを口いっぱいにほふる。レタスのシャキシャキという音が室内に響く。香りも卵をベースにしているようでこちらもお腹が空く。

「うーーん!最愛の妻が作ってくれたサンドイッチは絶品だ。これは食べないのはもったいないが……私一人の物にしたい」

「分かりますよ。自分も陛下に何か作ってもらったら自分だけに物にしたいですから」

「はっはっはっ!ネックレスを渡すくらいですからもう閣下のものですよ」

しばらく船に揺られながら、予定通りならあと15分ほどで船移動だ。

「ヴァルツ閣下、第零師団ってどんな部隊だったんでしょうか?」

「……はぁ……殺戮のプロ。と言ったところでしょうか。第六感が優れ過ぎてます。殺意を感じた瞬間に数名がかりで圧殺、各個撃破と不利になれば損害が一割を超える前に撤退。そして追撃した部隊を逆襲。当時のドルヴォーフも3個師団潰されてます。いや〜あの時のドルヴォーフの悔し顔は懐かしさすら感じますよ」

そんな恐ろしい部隊までに成長したのか……確かに戦略学と吸血鬼の身体学を研究して追求したが……レアノール皇国……自分が人間の国にいた頃も移民として行った者も少ないが誰1人帰ってこなかった。まるであの世のように。

「さて、レイヴァス閣下。そろそろ内火艇に向かいましょう。操船は久しぶりに私に任せてくれませんか?」

「そうですね、ヴァルツ閣下の腕が鈍ってない事を祈りますよ」

ヴァルツ閣下は笑いながら、その時は共に人魚姫の物になりましょうと言い、甲板に出る。新鮮な潮風を浴びながらここは領海ギリギリのラインなんだなと思うと攻撃の怖さが脳裏を過ぎる。これが戦場なのだ。

こんばんは!黒井冥斗です!皆様お疲れ様です。今日は疲れ過ぎて、この吸血姫の執事シリーズの次に出す作品である「この少女、僕が買います(サブタイトル未定)」のストックを1話書いて、あとちょっと、この小説家になろうさんのサイトでこのレベルの作品はどう見られるのか気になる作品を少し書き始めたのでこの少女シリーズが出てから続報をお待ちください!さて、サンドイッチがこの話で出てきましたが自分にとってサンドイッチはお世話になった方の思い出が強く、思い出すと感じるものはありますね。今夜は早めの投稿でしたが皆様が楽しんで頂けたら幸いです!それでは、敵国の領海で

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