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第31話:連邦の鮮血の歌姫

ヴァルンデッド連邦 紅の城 秘密会議室にて

地下にあるこの会議室は薄暗いガス灯で温かみのある照らされ方がされているが会議のメンバー地獄のようなものだった。連邦書記長と首相、戦争大臣……ここまではちょくちょくあるがパラディンズの幹部が集結していた。

置き時計が午前零時を知らせる。そのゴーンという音と共に魔眼の才を持つ書記長が語り出す。

「よく来てくれたパラディンズ諸君」

「我々だって着たくて来たわけではないことをご承知を」

白い神父服に黒い十字架のロザリオを下げた男がそう言うと双月の聖者はイライラを隠せない様子だった。

「連邦にはすぐにでも帝国を亡ぼしていただきたい」

「そう慌てずに。今はまだ準備が整っていません」

戦争大臣の言葉に双月の聖者を帝国城から救出したお調子者が軽く答える。

「なーんかやけに国民が戦争に行けることを喜んでいたというか、従順というか。書記長、貴殿は魔眼を使いましたね?」

書記長はただでさえ国民が必死に労働と軍事訓練をする中で高級な葉巻を美味しくいただく。

「その通りだ、国民とは国の駒であり、最効率で運用すべきだ」

「気に入らないな」

1人のパラディンズのメンバー副聖騎士長にして、パラディンズの慈愛という異名を持つ彼が異議を唱える。

「なに?」

書記長が葉巻の煙を彼に吐く。だが慈愛の聖騎士は眉1つすら動かさない。

「国家指導者は国民を幸せに導くのが筋だと思うのだが、あなたの中では駒であり、自分の理想を叶える道具ですか」

すると聖騎士長が謝罪する

「書記長申し訳ない。彼は優しさ故に少々強気な発言を」

「悪いが私は書記長殿の指示には従えない」

副聖騎士長は断固として首を立てには降らない。

書記長は余裕綽々で葉巻を吸いながら、目線を合わせる。そして目が光った瞬間だった。

副聖騎士長の前で火花が散る。

「なっ……!?」

書記長の驚きの顔を見た、副聖騎士長は軽く疑問に答えながら、コーヒーを飲む。

「私を強制的に従わせようとした時点でもはや私の部下も動員させません。それにあなたが服従の魔眼を使うくらい読めてなかったとでも?」

コーヒーカップを皿の上に置くコンという音が会議の続行をより、険しくさせる。

「私の部下であり、信頼を置く彼に服従の魔眼を使ったことは許せない。しかし目標は同じだ。共に手を組み、帝国という悪しき宗教国家を滅ぼそうではないか」

聖騎士長の言葉に書記長もイラつきを隠せなかった。

「貴様らはあくまでも私の駒として動いてもらうつもりだったがね」

「ほーう、そんなちっぽけな魔眼1つで我々を従えるとでも?」

聖騎士長の発言で集まったパラディンズの幹部7名が武装をいつでも解除する準備を整える。

さすがに雰囲気が良くないと感じた争大臣が咳払いをした後に場を落ち着かせようとする。

「まぁまぁ。ここで争ってもしょうがないですよ敵の敵は味方というじゃないですか。我々には少なくとも現時点では共存の余地があると思いますよ」

だが、書記長の怒りは収まらない。

「我々は人間に従うつもりはない!高貴な吸血鬼で世界最強の国家を持つ我が国がたかが十数万名の人間に屈するものか!」

首相が呆れた様子で答える。

「書記長、私からも最後の警告です。共存の余地を」

「見い出せるわけないだろ!」

机をドンッと拳で叩き、場の空気を震わせる。

「鮮血の歌姫殿、入室を許可します」

首相がそう言うと赤いドレスに銀色の連邦の英雄を意匠した飾りをつけた、金髪ポニーテールの高身長美少女が登場する。その鋭い視線を一切ずらさず、書記長を睨み続ける。

「貴様は牢獄に閉じ込めたが警衛は何をしている?」

「私が解放させました」

首相がそう言うと書記長は再び、魔眼を使おうと目線を鮮血の歌姫に合わせようとするがフォーカスが合わない。

「な、なんだ……この感覚は……」

ついに聖騎士長が断言する。

「元々交渉決裂は想定済みでした。なので話が分かる彼女に戦場の女神の祝福を与え、対魔術は元より、身体能力や彼女の死の歌の力も覚醒済みです」

書記長は頭がクラクラしながらも言葉を絞り出しながら対抗する。

「死の歌がどれほど恐ろしいものか分かってるのか……!!聞いた者を精神的に殺すのだぞ!?」

「はい、それだけの理由で書記長。あなたに牢屋に入れられてました。この200年間、あなたへの復讐と憎悪はただ1度も消えたことがありません」

「首相として言わせてもらおう。書記長、あなたの時代は終わりを告げた。ここからは鮮血の歌姫アイレアス・ノストヴァリアーン総書記がこの国のリーダーだ」

書記長は葉巻を投げ捨てると同時に軍用拳銃を引き抜くが……遅かった。

鮮血の歌姫は既に書記長に対して死の歌を響かせていた。

「あっ……!ぐっ!!貴様ァ……!!」

拳銃すらろくに持てなくなり、ガチャンと音を立てて、拳銃を落とし頭を抑える。

「分かった……分かった!貴様が国家元首なのを認める!」

だが彼女の歌は止むことなく、書記長を死に追いやる。

「や、やめろ……」

力なく倒れた、書記長をゴミを見るような目で見た鮮血の歌姫アイレアスは彼の顔に1発蹴りをかまして、戦争大臣も今までの鬱憤を晴らすかのように書記長の肥えたでかい腹の遺体を椅子から投げる。

「どうぞ、総書記殿」

聖騎士長は改めて問う。

「我々と共闘しますか?」

鮮血の歌姫は無論、共闘し、帝国の戦争計画に終止符を打ちましょう。と答える。

すると戦争大臣が書記長が魔眼で操り、現時点でも効果を有する国民の資料を渡す。

「2000個師団……フフフ……ミスレイアを、帝国を、傀儡にするのが楽しみですわね。パラディンズの皆様もよろしくお願いいたします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

聖騎士長が頭を下げると幹部揃って頭を下げる。

「ひとつ聞いてもいいか?」

双月の聖者が問うと構いませんよ。と鮮血の歌姫はその可憐な声を響かせる。

「なぜ鮮血なのですか?」

すると彼女は近くに待機していたバトラー(執事)に紅茶を用意させてから1口飲む。

「覇権戦争時代に1000人ほど斬ってしまって、白の軍服風のドレスが真っ赤になったからですわ。この愛剣『血帝の利刃』は血を吸えば吸うほど期待に応えてくれる。これが私が鮮血の歌姫の由縁ですね」

双月の聖者がなるほどな。と答えると鮮血の歌姫は断言する。

「では、帝国との余命宣告に付き合ってあげますか……私はこれでも慈悲深いと自負しております。さぁ、始めましょう死の宴を」

全員が会議室を去るとガス灯の灯りは震えるように消えて、まるで会議など無かった雰囲気を醸し出す。鮮血の歌姫の野望と帝国のミスレイア陛下の望む平和、相反する理想同士が激突するまで残り2ヶ月半。吸血鬼の世界は戦火で燃え上がる。


いつもお疲れ様です!黒井冥斗です!ご拝読も毎日色々な方にしてもらい、感謝致します!

さて、これで第1巻と仮定していた話は終わるのですが、第2巻と仮定していた話はいよいよ戦火で帝国と連邦の全面戦争とレイヴァスとミスレイア陛下のラブコメなど、とても動きの激しい作品となっております。season1まで出来ているのであと20話前後最後までお付き合いして頂けると嬉しいです!

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